少女奴隷ニーア
奴隷市場は首都ヴァルデンクラウスの北区に位置していた。表向きは「労働力交換所」と呼ばれていたが、実態は変わらない。エルギア帝国の社会制度の一角を担う、れっきとした公認の市場だった。
レインは人混みの中を進みながら、周囲の表情を観察していた。好奇心に満ちた貴族、冷静に品定めする商人、緊張した表情の市民。そして、檻の中の奴隷たち——絶望と諦めの表情が入り混じった目をしていた。エルギア帝国では、借金返済のできない者、犯罪者、戦争捕虜、そして魔族の襲撃から生き残った者たちが、「社会の安定」という名目で合法的に売買されていた。
「全く変わらないな」
前世でも、形を変えた奴隷制度は存在していた。会社に魂を売り、自分の時間を差し出す労働者たち。レイン自身もその一人だった。違いがあるとすれば、この世界ではそれが制度として可視化されている点だけだ。
「今日の目玉は魔族襲撃の生存者だぞ!若くて質の良い品揃えだ!」
競売人の声が市場に響き渡る。レインは興味を持って近づいた。魔族の調査という仕事もあるし、何より彼自身の欲望を満たせるかもしれない。完全に支配できる誰か。その選択肢として、奴隷は理想的だった。
前世のレインは誰からも必要とされず、誰も本当に従う者もいなかった。無力感と孤独が彼の心を蝕んでいた。しかし今世では違う。彼は「恩恵視」という力を持ち、情報屋として一定の地位と富を得ている。今度こそ、自分の人生を自分の思い通りに生きたい——そんな願望が、彼を奴隷市場へと導いていた。
競売台に立たされたのは十代の少年少女たちだった。彼らの目は虚ろで、意思を失ったように見えた。競売人は彼らの筋肉や歯を誇示しながら、健康状態の良さをアピールしていた。
レインは恩恵視を発動させた。紫色に輝く瞳で少年少女たちを観察する。彼らの周りには灰色の絶望のオーラが漂っていた。だが、その中で一人だけ違う色を放つ者がいた。
列の一番端に立つ少女。褐色の肌に黒い髪、やせ細った体つきながらも背筋を伸ばして立っていた。彼女の周りには、他の奴隷たちとは明らかに異なる、青と金が混じった特異なオーラが漂っていた。
「あの子は...」
レインは思わず足を前に踏み出していた。恩恵視が彼に告げていた。あの少女は「恩恵者」だった。しかも、彼女の恩恵は特別なものだ。
「次は16歳の娘だ!名前はニーア!魔族の襲撃から唯一生き残った強運の持ち主!家事全般をこなせる優良品だぞ!」
競売人が少女を前に引き出した。ニーア。彼女は目を伏せたまま、ただ静かに立っていた。その姿に、レインは奇妙な懐かしさを覚えた。前世で感じたことのない感覚だった。
「では、50銀貨から!」
競りが始まった。次々と値段が上がっていく。レインも手を挙げた。恩恵視で見る彼女のオーラは、「記憶」に関する特殊な能力を示していた。「記憶の継承」——そんな言葉が浮かんだ。彼は単なる支配欲だけでなく、その能力に対する好奇心も抱いていた。
「150銀貨!」太った商人が叫んだ。 「160!」レインが応じる。 「200!」別の声。
競りは白熱した。ニーアは静かに立ったまま、時折チラリとレインの方を見ていた。彼女は何かを感じ取ったのだろうか。恩恵者同士の認識能力かもしれない。彼女の瞳には恐怖と警戒、そして微かな希望が交錯していた。
「350銀貨!」レインが最後の札を切った。ガラスの遺産のかなりの部分だったが、この少女の価値はそれ以上だと直感していた。
「350銀貨が最終値!落札!」
契約書にサインし、鎖を受け取ったレインは、初めてニーアと向き合った。近くで見ると、彼女の目は琥珀色で、その奥に強い意志が燃えているのが分かった。これは通常の奴隷には見られない光だった。
「私の新しい主人...ですか」
声は低く、しかし明瞭だった。恐怖や怒りはなく、ただ静かな諦めがあるだけだった。しかし、その瞳の奥には何かが燻っていた。
「そうだ。レイン・カノヴァだ。情報屋をしている」
レインは鎖を手に取ったが、彼女の首には付けなかった。「市場の外まではこれを持っていなければならない。奴隷商人たちに解放したと思われると面倒なことになる。だが、実際に付ける必要はない。行くぞ」
二人は人混みを抜け、市場を後にした。レインの家に向かう道すがら、彼は少女を観察していた。彼女は周囲を警戒するように目を光らせ、時折足を止めて遠くを見つめた。何かを探しているようだった。
ニーアの表情からは読み取れない多くの感情が、彼女の中で渦巻いていることをレインは感じ取った。恐怖、悲しみ、怒り、そして希望と絶望の入り混じった複雑な感情。彼女は明らかに普通の奴隷ではなかった。
「お前は恩恵者だな」レインが切り出した。
ニーアは一瞬動きを止め、驚いた顔でレインを見た。彼女の瞳が大きく見開かれ、体が微かに震えた。
「...どうして」
「俺も恩恵者だ。『恩恵視』という能力を持っている。お前の能力は『記憶の継承』だろう」
少女の顔から血の気が引いた。彼女は震える声で言った。
「どうか...それを誰にも」
彼女の声には明らかな恐怖が含まれていた。その反応からすると、彼女はかつて自分の能力ゆえに危険な目に遭ったか、あるいはそれを恐れていたのだろう。
「心配するな。秘密にしておく。恩恵者が奴隷になれば、特殊な実験台にされかねないからな」
エルギア帝国では、恩恵者は登録制度があり、能力によって軍や研究機関に徴用されることもある。レインは情報屋という立場で自由を得ていたが、身寄りのない奴隷となれば、即座に研究対象にされるだろう。特に「記憶の継承」のような珍しい能力は、軍事利用の可能性が高かった。
ニーアは少し安心したように見えたが、なお警戒心は解けていなかった。彼女の目からは、過去に裏切られた経験が読み取れた。
「主人は...私の能力を使うつもりですか」
レインは正直に答えるべきだと思った。「興味はある。だが、強制はしない。まずは信頼関係を築きたい」
「信頼...ですか」
少女の顔に複雑な表情が浮かんだ。信じたいが、信じることへの恐怖も同時に抱いているようだった。彼女は何か言いかけて、それを飲み込んだ。
「俺の家はここだ」
レインの家は、情報屋として成功した証であると同時に、ガラスの遺産でもあった。二階建ての石造りの家で、一階が事務所、二階が居住スペースになっていた。
「まずは鎖を外そう」
レインは約束通り、家に入るとすぐに鎖を外した。ニーアは首周りをさすりながら、おずおずと家の中を見回した。彼女の目には、長い束縛からの解放感と、新たな環境への不安が交錯していた。
「ここが...私の新しい家」
彼女の声には、希望と不安が入り混じっていた。彼女は明らかに過去の記憶と今の現実の間で揺れていた。
「そうだ。まずは風呂に入って、新しい服に着替えろ。それから食事だ」
レインの指示に、ニーアは素直に従った。彼女が風呂に入っている間、レインは食事の準備をした。簡素だが栄養のある食事。長旅と市場の疲れを癒すには十分だろう。
ニーアが戻ってきたとき、彼女はすっかり別人のように見えた。古い服のほこりと汚れを洗い落とし、レインが用意した質素ながらも清潔な衣服を身につけていた。彼女の表情も少し和らいでいた。
食事の席で、レインは少女の過去を聞いた。
「魔族の襲撃で家族を失ったと聞いたが、本当か?」
ニーアは一瞬、箸を止めた。そして小さく頷いた。彼女の目には一瞬、恐怖の色が浮かんだ。
「ヴェルデン村という小さな村でした。一か月前...夜中に魔族が襲ってきて」
彼女の声が震えた。レインは追及せず、彼女が続けるのを待った。
「スウィフトクレイダーとブルートクレイダー...十匹以上いました。スウィフトクレイダーは風のように素早く、血のような赤い瞳を持ち、長い爪で人々を切り裂きました。ブルートクレイダーは人の二倍はある巨体で、青黒い皮膚に覆われ、何でも壊せる力を持っていました。村は...誰も」
彼女の声が途切れ、震える手で顔を覆った。魔族の姿を思い出すだけで、彼女は恐怖に震えていた。レインはその反応を見て、彼女の心の傷がいかに深いか理解した。
「すまない、無理に話さなくていい」
レインは少女の苦痛を察して話題を変えた。彼はガラス老人から魔族について多くを学んでいたが、実際に襲撃に遭った者の生々しい記憶は別物だった。スウィフトクレイダーは速度と切断能力に特化した魔族、ブルートクレイダーは破壊力に特化した魔族。どちらも終焉の地に生息する魔族の中でも危険な部類だった。
「明日から、家の雑用を手伝ってもらう。情報屋の仕事も少しずつ覚えてほしい。質問は?」
ニーアは慎重に言葉を選びながら尋ねた。
「私の恩恵について...どうして知っていたのですか」
レインは自分の能力について詳しく説明した。恩恵視で見えるオーラの色と形、それが意味するもの。
「お前の周りには青と金の光が渦巻いていた。それは『記憶』に関連する能力を示している。間違いないか?」
ニーアはしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。彼女の表情には、自分の秘密が見抜かれたことへの驚きと、それを共有できる安堵が混じっていた。
「私は...他の人の記憶を引き継ぐことができます。でも、全てではなく、特定の記憶だけ。そして、その記憶を...保存できるのです」
レインは興味をそそられた。「他者の記憶を自分のものにできるのか?」
「はい。でも、相手が望まない限り、記憶は取れません。強制はできないんです」ニーアは急いで付け加えた。「そして...一度取った記憶は、元の持ち主からは薄れていきます」
その能力の可能性に、レインは目を見張った。情報屋としては垂涎の能力だ。しかし、彼の中で単なる道具として彼女を見る気持ちと、一人の人間として彼女を尊重する気持ちが入り混じり始めていた。
「面白い能力だ」
夕食後、レインはニーアに二階の小さな部屋を与えた。かつてはガラスの書斎だった場所だ。
「ここがお前の部屋だ。鍵はない。逃げようと思えば逃げられる。だが、外は危険だ。特に恩恵者の奴隷には」
ニーアは部屋を見回し、静かに頷いた。彼女の目には感謝の色が浮かんでいた。
「ありがとうございます...主人」
「レインでいい」
「はい...レイン様」
少女が部屋に入り、扉が閉まった後、レインは複雑な感情に襲われた。前世での孤独な人生。今世での特別な能力。そして今、彼の家には完全に彼に従属する存在がいる。彼がガラス老人から引き継いだ家に、新たな存在が加わった。
「これが...俺の求めていたものか」
心の奥底で、彼は自問していた。当初抱いていた「誰かを完全に支配したい」という欲望は、少女と実際に対面することで少しずつ形を変えていた。彼女は単なる所有物ではなく、感情と意思を持った存在だった。彼の中で、支配欲は少しずつ保護欲へと変化し始めていた。
同時に、彼女の能力「記憶の継承」は、魔族調査という仕事にも関連しているような気がしていた。魔族の襲撃で生き残った少女。「共食の儀」という謎の言葉。そして彼女の特殊な能力。全てが何かの糸で繋がっているような感覚があった。
「何か繋がりがあるはずだ」
レインは自分の部屋に戻り、窓から夜空を見上げた。星々は前夜と変わらず輝いていたが、彼の世界は確実に変わり始めていた。
***
翌朝、レインは仕事机に向かっていた。魔族の動向調査のため、各地からの報告書を整理している。
「よろしいですか」
小さなノックの後、ニーアが朝食を運んできた。昨日より少し元気そうに見える。新しい服も彼女に似合っていた。それは単なる奴隷の衣服ではなく、一般市民が着るような質素だが清潔な服だった。
「ありがとう」
彼女が置いた朝食は、予想以上に美味しそうに見えた。焼きたてのパンと卵、そして香り高い紅茶。
「料理が得意なのか?」
「はい。村では毎日家族の食事を作っていましたから」
そう言って、彼女は少し悲しげな表情を浮かべた。失った家族の記憶が蘇ったのだろう。その表情に、レインは何か胸の奥が痛むような感覚を覚えた。彼は前世でも今世でも、こんな感情を抱いたことがなかった。
レインは食事をしながら、魔族の襲撃パターンを地図に書き込んでいた。ニーアはその様子を興味深そうに見ていた。彼女の目には、単なる好奇心だけでなく、過去の恐怖と向き合おうとする決意のようなものも見えた。
「何か気づいたことはあるか?」
レインの問いに、彼女は少し驚いたように目を見開いた。奴隷に意見を求めることが珍しいのだろう。彼女は躊躇った後、おずおずと答えた。
「あの...魔族の襲撃地点が、全て主要な街道から離れた場所であることに気づきました」
ニーアの言葉に、レインは内心で驚いた。鋭い観察眼だ。単なる奴隷として見るには惜しい才能だった。
「そうだな。彼らは人目を避けているようだ。でも、なぜ食料を狙う?特に発酵食品と調味料だ」
ニーアが震えるのが見えた。「彼ら」という言葉に反応したのだろう。その細い肩が小刻みに揺れている。
「すまない、辛い記憶を思い出させたか」
「いいえ...ただ」ニーアは言葉を探していた。「村が襲われた時も、彼らは食料庫を真っ先に襲いました。塩や醤油、漬物の樽を持ち去りました」
その情報は重要だった。レインはニーアに恩恵視を向けた。彼女の周りの光の筋に、わずかな乱れが見える。何か隠していないが、言葉にするのが難しい何かがあるようだった。
「何か思い出したことはないか?魔族について、特別なことを」
ニーアは目を伏せた。そして、ほとんど囁くように言った。
「...共食の儀」
その言葉にレインの背筋が震えた。これは偶然ではない。ガラスの本にも出てきた言葉だ。まさにレインが調査していた謎のキーワードだった。
「何だって?」
「夢で見たんです。村が襲われた夜、意識を失う前に...魔族の一人が『共食の儀のために』と言っていました」
レインは身を乗り出した。「それについて、もっと知りたい」
レインの真剣な様子に、ニーアは困惑した表情を浮かべた。彼女の中で、新しい主人への警戒心と、自分の記憶を共有したいという欲求が葛藤しているようだった。
「私には...断片的な記憶しかありません。夢の中で見るような...」
彼女は両手で肩を抱くように体を縮こませた。明らかに恐怖と戦っていた。
「お前の能力を使えば、もっと明確になるかもしれない」
ニーアは怯えたように体を縮こませた。「私の...能力ですか」
彼女の反応から、その能力の使用が彼女にとって簡単なことではないと理解できた。何か深い恐れがあるようだ。
「強制はしない。だが、もし協力してくれるなら...」
レインは言葉を選んだ。「お前の村の真実も分かるかもしれない。なぜ魔族が襲ったのか」
少女の目に、迷いと決意が交錯した。彼女は深呼吸して言った。
「協力します。でも...どうすればいいのでしょう」
「まずは、お前の能力について詳しく教えてほしい」
二人は一日をかけて、ニーアの能力について探った。彼女の説明によると、「記憶の継承」は三つの段階があるという。
第一段階は「共感」。相手に触れることで、その人の特定の記憶に共感し、一時的に共有する。
第二段階は「吸収」。相手の許可があれば、特定の記憶を自分のものとして吸収できる。その記憶は元の持ち主からは薄れていく。
第三段階は「保存」。吸収した記憶を、世代を超えて保存し、次の「継承者」に渡すことができる。
「継承者?他にもお前のような能力者がいるのか?」
ニーアは目を伏せ、かすかに頷いた。
「母も同じ能力を持っていました。そして祖母も...代々受け継がれてきたようです」
レインは考え込んだ。これは単なる個人の能力ではなく、血筋に関わる特殊な恩恵なのかもしれない。その希少性を考えると、彼女がなぜ自分の能力を隠そうとしていたのか理解できた。エルギア帝国では、特殊な恩恵者は国家の資産として扱われることも少なくない。
「母から何か...記憶を受け継いだのか?」
ニーアは悲しそうに頷いた。「ほんの少しだけ。母が亡くなる直前に...でも、はっきりとは覚えていません」
彼女の声には悔いが含まれていた。もっと多くの記憶を受け継ぎたかったのだろう。家族を失った彼女にとって、母の記憶は何よりも貴重なものだったはずだ。
この能力を魔族の調査に活用できるかもしれない。だが、それは彼女の心の傷を広げることになる。レインは葛藤した。情報屋としての使命と、少女への配慮。そして、彼自身の欲望。
最初は単なる所有欲から彼女を買ったはずだった。完全に支配できる存在を得るために。しかし今、彼の中にはニーアという一人の人間に対する関心と心配が芽生えていた。彼女の能力は貴重だが、彼女自身も同じく貴重な存在に思えてきた。
夕方、レインは決心した。
「今日はここまでだ。無理に思い出さなくていい。時間をかけよう」
ニーアは感謝の表情を浮かべた。彼女の目には安堵の色が浮かんでいた。
「ありがとうございます、レイン様」
彼女の表情に、レインは不思議な満足感を覚えた。彼女を安心させることができたという喜びは、前世でも今世でも経験したことのない感覚だった。
その夜、レインは自室で考え込んでいた。ニーアは彼の期待以上の存在だった。単なる所有物ではなく、魔族調査の鍵を握る可能性を秘めている。同時に、彼女の存在は彼自身の内面にも変化をもたらしていた。
「彼女を保護しなければ」
その思いは、単なる所有欲からではなく、なぜか彼女自身を大切に思う気持ちから生まれていた。彼女の力を利用したいという功利的な思惑と、純粋に彼女の身を案じる感情が混在していた。この感覚は前世でも今世でも初めてのものだった。
「俺は...何を求めているんだ」
窓の外の月を見つめながら、レインは自問自答した。彼の欲望は、形を変えつつあった。支配することから、守ることへ。所有から、共有へ。だが、その変化に彼自身がまだ完全には気づいていなかった。
翌日、仕事に出かける前、レインはニーアに言った。
「今日は早く帰る。夕食を一緒に食べよう」
ニーアは少し驚いたように見えたが、嬉しそうに頷いた。彼女の目には、初めて素直な喜びの色が浮かんでいた。
「はい、レイン様。お待ちしています」
レインは街へ向かいながら、不思議な感覚に包まれていた。前世では決して味わうことのなかった、誰かを気にかける感覚。誰かに待っていてもらえる安心感。
「これも恩恵の一つなのかもしれない」
夕暮れの街を見上げながら、レインはそう思った。彼の歪んだ欲望は、少しずつ形を変えつつあった。だが、その道のりはまだ始まったばかり。魔族の謎、ニーアの能力の秘密、そして「共食の儀」。全てが彼を未知の世界へと導いていく。
そして何より、レインはまだ気づいていなかった。彼がニーアに与えた「自由」は、実は彼自身をも長い孤独から解放する鍵になるということに。




