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29話 原初の樹


 天界の原初の樹へ続く道を歩くエンジェリア姫達。草木に囲まれて道とは言えない道ですが、エンジェリア姫は楽しそうです。


「ふにゅふにゅにゅーん」


「エレがご機嫌そう」


「ゼムもご機嫌になれば良いの。みんなご機嫌とってもご機嫌。そうなればエレは嬉しい」


 エンジェリア姫がご機嫌な様子を嬉しそうに見ているゼムレーグ様にエンジェリア姫がより一層ご機嫌になっています。


「……ふにゅ……あれなの」


 黒い渦のようなものが木々の間から見えます。禍々しいその黒い渦のようなものを見つけたエンジェリア姫の手をゼーシェリオン様とフォル様が握りました。


「ぴゅぅ。ふにゅ」


 エンジェリア姫が一度深呼吸をすると、ゼーシェリオン様とフォル様が手を離しました。


「……今こそ三種族の同盟を見せつけるのとかって言って宝剣を持ってないエレなの」


「この世界だったら、願えば出てくるんじゃない? 宝剣は元々……とりあえずやってみようよ」


「そうだな。できなかったら考えるか。もしかしたら、調ねぇだけで持ってるのかもしれないからな」


 エンジェリア姫達は、三種族の長となるものに与えられる宝剣を握りました。


「本当に出てきたの。あとは浄化魔法だよね? 」


「うん」


 宝剣を重ね合わせると、エンジェリア姫達は同時に浄化魔法を使いました。宝剣は媒介としても優秀というのは知っていましたが、三人の力が合わさってか、本来ではありえないような効果を発揮します。


 黒い渦のようなものは浄化され、周囲の魔力や空気、自然すらも浄化され、神聖な空間のようになっています。


「ふにゃぁ。ここにずっといたくなる空気なの」


「そうだね……まぁ、基本的に人がこない場所だから良いか」


「ふにゅ? 良く分かんないけど良いの。あとはフォルのお仕事で原初の樹に行くだけなの……あとだいたい半分くらいだからがんばるのー」


 エンジェリア姫が言っている通り、現在地は原初の樹への道の中間あたりです。


 残り半分も雑談を交えながら歩いていきます。


      **********


 原初の樹イェリウィヴェ。古くより天界を見守る彼女の元へ辿り着きました。


 周囲を湖で囲まれている浮島に彼女は存在しています。


「久しぶりなの」


『ええ、幾千ぶりでしょうか。姫君』


「ぷにゅ。今日はフォルのお仕事のお手伝いできたの。エレが必要って言うから……これ重要なの。エレが必要って言うから」


 どや顔で二度も行っています。


「エレは扉を開けるのに必要だったからだけなんだけど。それは良いとして、きたのは定期のだよ。なにか変わった事とかある? 原初の樹に聞くのが一番早いから。ついでに最近多発している魔力異常について何か知っていれば教えて欲しいんだ」


「魔力異常? まりょ? 」


「……最近各地で魔力が異常に増えたり減ったりしているらしいんだ。ルノから聞いた話だと、突然魔力が消えて、辿れないらしくて」


『……人間の世にいる同胞が、突然魔力を奪われるような感覚があったとおっしゃっております。もう少し聞こうとしたのですが、突然寝てしまったようで、起きる様子もなく……お力になれず申し訳ありません』


 原初の樹(われわれ)は、根の深くの繋がりを通じて意思疎通ができます。眠る事なく、常に世界を見守っております。


 突然眠る。それ自体が異常事態なのでしょう。


 黙り込み、一人で何かを考えているフォル様をエンジェリア姫が心配そうに見ています。


「……イェリウィヴェには何もない? 」


『今のところは。いつ同じようになるのかは分からない状態です。多くの同胞が、この現象を世界から薄れてきたための衰えと考えております』


「……衰え」


 我々は目には見えない繋がりによって自我を持つ事ができています。その繋がりが薄れてしまえば、自我も消えてしまうでしょう。今まで一度もそのような事がないので、実際にどうなるのかは存じませんが。


「……原初の樹の魔力が消えれば、世界は消える。昔からずっと言われている話。それが本当なら、その世界は」


「報告があったのは、妖精の国と魔族の国と精霊の国、管理者の拠点の外……フィルとゼムは何かあった時と情報収集のために待機してもらうとして、エレとゼロでも連れていくか」


「扉開けに必要だからエレは分かるが、俺いる? 俺よりゼムの方が良いだろ。つぅか、休みたいからゼムで」


 エンジェリア姫がゼーシェリオン様に特製栄養ドリンクを与えています。エンジェリア姫の特製栄養ドリンクは良く効くので、休みたいという言い訳をなくそうとしているのでしょう。


「栄養ドリンク渡したから行くの。エレはゼロと一緒が良いから。最終手段的に」


「……栄養ドリンク貰ったからがんばる。魔族の国から行きたい」


「ふにゅ。ゼロの心配をなくすためにも魔族の国から行くの」


 ゼーシェリオン様は魔族の国との関わりが深いので、他の場所以上に心配なのでしょう。


「順番はどうでも良いから君らで決めて。どんな順番にしたとしても、情報を仕入れられるようにはしてあるから」


「ふにゅ? そんなに早く情報仕入れられてたっけ? 」


「最近新しい情報源を手に入れたんだ。王宮の建て直しのお礼にって」


 王宮の建て直し。最近聞いた話です。ロスト王家の皆様が協力してくださっているのでしょう。


 ゼーシェリオン様も知らなかったようできょとんとしています。


「ロスト? 」


「うん。頼んだらいけた」


「自分達で決めたなら別に良いが、俺にもそれ見せて」


「良いよ。君らにも共有してあげる。情報伝達方法とかはどうでも良いって言ったら、面白い方法をとっていてね。しかも、仕事には関係ない事まで教えてくれるんだ」


 連絡魔法具にある機能の一つで情報公開をしているようです。フォル様が、エンジェリア姫とゼーシェリオン様も見られるように紹介しています。


「……ふにゅ。デートに最適な場所まで教えてくれているの。しかも実際に行ってる」


「観光案内とかもある。誰がロスト観光案内見て行きたいと思うんだよ。普通の人は入れない極寒地帯で有名だぞ」


 やってみたら楽しかったのでしょうか。必要な情報が埋もれてしまいそうなほど、様々な内容の記事があります。


「……これ、大丈夫なの? 」


「うん。僕の方は、必要な情報が重要案件としてすぐに見られるようにしてあるから。あの子らがほんとに必要な情報だとちゃんと埋もれないようにしてくれてるんだ」


「ふにゅ……魔族達の異変とかある。これ重要そう……魔族達が突然魔法を使えなくなるだって。現場へ向かったら、魔力が感じられなかったって書いてある。これ、何か関係あるのかも」


 ロストの王族達の調べによりますと、一部の地域でのみ発生しているようで、その地域では、魔力が消失。さらには、謎の結界まで張られているようです。


 エンジェリア姫は、他の情報を探しますが、これに関してはこれ以上情報がなかったのでしょう。連絡魔法具をしまって、ゼーシェリオン様に抱きついています。


「……これどうするの? エレ達が思っているよりもひどい状況かも」


「だとしても、どうにかするしかない。魔力消失に関係あるかはまだ調べ途中だけど、近い場所で禁止指定魔法の使用が確認されている。それの関係と、どんな魔法が使われたか分かれば、解決方法も見えてくるはずだ」


「ふみゅ。とりあえず、現地に行ってみるのを希望するの。そうしたら、魔法を使った跡を調べる事もできるかもしれないから……ふみゃ。現地っていうのは、禁止指定魔法の使われた現地なの」


「うん。それは分かってるんだけど……まぁ、あとで考えれば良いか。フィル、ゼム、あとの事よろしく」


      ********** 


 星の音 三章 十三話 原初の樹   

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