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24話 研究所


 ラーグ様を助けてから数日が経過しました。フォル様はラーグ様を助けて以降、ずっと管理者の拠点の方で調べ物をしていました。


 エンジェリア姫はいつになったら帰ってくるんだろうと思いながら毎日のようにフォル様を待っています。


「ラーグ、何か分かる? 」


「……聞いた話じゃが、聖獣は元英雄。聖獣を手中に収めようとしておるとか、元英雄である聖獣のあるべき場所へと考えておるとか、そのような連中がいるとの事じゃ」


 ラーグ様を助けた時に隠れていた相手の事で話をしているようです。エンジェリア姫はあまり外へ出る機会がないので、外の噂というものには疎いのでしょう。


「そうなんだ。でも、それがどうして隠れて見てるの? あんな魔法使ったの? 」


「それが分かれば苦労せん」


「ふにゅ。とっても暇なの。ゼロもいない……ていうかなんでゼロまでいないの! ゼロはエレのところにいつもきてお世話してくれるのに! 」


 ここ数日、フォル様どころかゼーシェリオン様まできていません。エンジェリア姫は心配になったのでしょうか、暇すぎるからでしょうか。ゼーシェリオン様を探すために魔法具を取り出しています。


「ふっふっふ、ゼロがどこに隠れていても意味ないの。エレにはゼロを見つけるための秘密魔法具があるんだから」


「なんじゃそれは? 」


「ゼロに持たせている魔法具のペアなの。これがあれば、ペアの魔法具を持っている相手の居場所が分かるの」


 得意げに言うエンジェリア姫。これを普段からつけていないというのと、ゼーシェリオン様には言っていないというのは故意的なのでしょうか。


「これでゼロの居場所を探して、ゼロを連れ戻すの。という事で、ヴィー様、ラーグ、いくよ」


「まだいくと決めてはおらん」


「いくのー」


 エンジェリア姫は花の髪飾り型の魔法具を頼りに転移魔法を使いました。

 どこにいてもすぐに行けるよう、魔法具に転移魔法を使いやすくする効果を付与してあるのでしょう。


      **********


 真っ白い壁に天井。床までもが真っ白です。


「……研究所? 」


 エンジェリア姫は以前似たような場所にいた事があるためでしょう。すぐにその言葉が出てきました。


「……ゼロ」


 手に持っている花の髪飾り型の魔法具を手がかりに、エンジェリア姫はゼーシェリオン様を探しています。ですが、研究所の中は複雑で、魔法具も大まかにしか反応せず、ゼーシェリオン様を見つける事ができません。


「ふにゅ。地図なの」


 地面に地図が落ちています。明らかに怪しそうですが、エンジェリア姫は地図を手に取りました。


「ふにゅふにゅ。全然分かんない。というか、ヴィー様もラーグもいない」


 頼れる仲間がいない中でもエンジェリア姫はゼーシェリオン様を探すため、地図を地面に置き勘を頼りに歩いていきます。


      **********


 勘を頼りに開けた扉の先で、ゼーシェリオン様が銀色の椅子に座っています。


 部屋の中は何に使うか分かりたくないような機械ばかりです。実験施設だったのでしょう。


「ゼロ」


 エンジェリア姫がゼーシェリオン様の元へ駆け寄ります。


「ゼロ、ゼロの大事なエレなの。起きないと泣くの」


「……エレ? ……どこ? 」


「知らないの。それよりゼロ、なんでこんな場所にいたの? エレを放って。エレを放っているのは重罪なの」


 心配はしているのでしょう。それを感じないような言い方をしているだけで。


「……俺の方が聞きたい。普通に部屋で寝てただけなんだが……お前こそこの前どこ行ってたんだよ。エレいなくて寂しかった」


「今はエレのお話違うの、それより早くここから出るの。数日間見なかったから念のためこれも持ってきたから」


 貧血防止薬と人工血液です。ゼーシェリオン様には必要なものですが、どちらも美味しくはないようです。


「……強制? 」


「ぷにゅ」


 こういうところはお似合いなのでしょう。エンジェリア姫は笑顔でゼーシェリオン様に薬を飲ませています。


「まずい」


「まずくてもがまんなの。これも飲んで早くここから出ないと。エレはそろそろお疲れなの」


 ゼーシェリオン様が嫌々人工血液の方も飲んでいます。エンジェリア姫に強く言われては反抗できないのでしょう。


「なぁ、ここを分かった事から説明要求」


「分かった理由は簡単なの。ゼロに渡してある魔法具が場所を特定してくれるの。それでゼロの居場所を特定してから転移魔法で……場所分かってないの。ゼロがここにいるから転移魔法も使えない」


 ゼーシェリオン様を探す事が重要で他は考えていなかったのでしょう。エンジェリア姫は、ゼーシェリオン様に抱きついています。


「頼る」


「……ここは転移魔法で外に出れそうにねぇな。とりあえず、外に出るか。歩いて」


「ふにゅ。歩いてはやだけどそれしかなさそうだからそうするの。でも、エレはどうやってきたのかとか知らないよ。地図はあったけど分かんなくて置いてきたの」


「は? 」


 ゼーシェリオン様がぽかんとしています。エンジェリア姫が読めなかったとはいえ、ゼーシェリオン様は地図が読めるので、なぜ持ってこなかったとなっているのでしょう。


「むにゅ? 良く分かんないの。それより、そういう事だから」


「……地図どこ置いてきた」


「知らない。ここまでなんとなくできているから。きっとなんとなくでどうにかなるんだと思うの」


 エンジェリア姫は能天気とかではなく、本当にそうなだけなんですよね。エンジェリア姫は


「……そういえばお前は直感でどうにかなるんだったな」


「そうなの。本当に何も考えずただなんとなく行くだけだから、ちょっとでも考えているとすぐに変な場所にいっちゃうけど。でも疲れたからやんない。ゼロががんばるの」


「……地図自分で作るくらいでがんばる。エレのために」


      **********


 部屋を出て真っ白い廊下を進む事一時間。広いというのもありますが、迷っていたというのも大きいでしょう。


「ぷにゅ? なんだろ」


 ぽつんと怪しげな赤い結晶があります。赤というよりピンクに近いでしょうか。


「……不思議な物体。ゼロ、これはなんなの? 不思議な物体以外で答えて」


「……不思議な物体。俺だって聞きたいのになんで分かるんだよ。分かるわけねぇだろ」


「ぷにゅぅ。良く分かんないの。怪しいけどほっとく? 」


 エンジェリア姫はじっと赤い結晶を見つめています。


「ふにゃ? ふきゃ⁉︎ 」


 突然赤い結晶が眩く光り出しました。


 赤い宝石を中心とした破壊魔法です。研究所は崩壊し、更地になっています。


「……みにゃ」


 エンジェリア姫とゼーシェリオン様は防御魔法により怪我一つなく無事なようです。


 何かあった時のためにと、十年前の誕生日にフォル様が渡したネックレスのおかげでしょう。


「……更地なの」


「ああ……結晶がない」


 研究所を更地にした赤い結晶が消えています。どこかへ行ってしまったのでしょう。


「……ねぇ」


「……ああ」


「どうする? エレ達だけでなんとかするのむずかしいと思う。でも、ここで助けを呼ぶためにぐだぐだしてたら、ここだけじゃ済まないかもしれないの」


 この一帯を簡単に更地へ変えてしまう赤い結晶を放置しておくという選択肢はないのでしょう。


 エンジェリア姫とゼーシェリオン様は、互いの顔を見合わせると、意を決したかのようにこくりと頷きました。


「ふにゅ。とりあえず、こっちの方な気がするの」


「ああ。いってみよう。できるだけ早めに見つけねぇとだ。エレ、疲れてるとは思うが頼んだ」


「ふにゅ。分かってるの。そんな事言ってられる場合じゃない時はがんばるから」


 エンジェリア姫とゼーシェリオン様は、あの赤い結晶を危険なものと判断して、エンジェリア姫の直感を頼るに探す事にしたようです。


      **********


 星の音 三章 八話 研究所

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