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10話 行き方


 他の洞窟を周り、最後の一箇所。雨がやまない地。エンジェリア姫達が次に向かった場所です。ここでは、雨が止む事がありません。


「ぴちゃぴちゃなの。早く洞窟見つけたい」


「そうだね」


「ぷにゅ……エレの嗅覚がこっちだっていってるの」


 エンジェリア姫が一人ですたすたと歩いていってしまいます。


「早く見つけた分だけいっぱいお遊びなの」


「それは良いけど、危ないから一人で勝手に行かないで」


「ふにゅ……洞窟あったの」


 エンジェリア姫が洞窟を見つけて、そこへ向かいます。


      **********


「これで最後だけど良く分かんないの。世界を見る場所……みゅぅ? 」


「……あそこかな……一応一箇所思い当たるとこはあるけど、今直ぐにはいけないかな」


「どこなの? 」


「……普通じゃいけない場所。古代遺跡があるって話は聞いた事があるけど……まぁ、行ってみれば分かるよ」


 この世界は、ある世界の記憶から再現されています。その世界と全く同じというわけではありませんが。


 その世界では、そこは立入禁止区域にある古代遺跡。そこへ行くには、ある時期に特別な事をしなければいけません。


 秘匿されている場所なので、エンジェリア姫はその場所を知らないのでしょう。首を傾げて悩んでいます。


「……フォル、近いところで三日後に行けると思う。準備しておく? 」


「そうだね。準備しておこうか。エレ、行けるようになるまではふかふかベッドで寝かせてあげる」


「ベッド……ぷにゅぅ。嬉しいの。ベッド、ふかふかベッド。にゃんにゃんベッド。ゼロを抱き枕にするの」


 エンジェリア姫がゼーシェリオン様に抱きついて喜んでいます。


「エレを抱き枕にさせてくれんのか? なら喜んで一緒に寝てやる」


「ゼロが抱き枕なの。フォル、早くふかふかベッド。ふかふかベッドにねむねむさんするの」


「……」


 フォル様が若干不機嫌そうに転移魔法を使いました。


      **********


 フォル様が仕事が忙しい時に使っている別荘の一つでしょう。豪邸に転移しました。


「久々のひろひろさんの場所なの。エレはゆっくりねむねむさんしてくるー」


「俺もー」


 エンジェリア姫とゼーシェリオン様は、ベッドを求めてベッドの元へ向かいました。


「……フィル、道を開くための準備手伝ってくれる? あの子にやらせるのが一番早いんだけど、エレについて行ったから」


「ゼロの最優先はエレだから。ゼロに任せようとしているなら処理系? 」


「うん。正解。ゼロはそれが得意分野だから。そこまで時間はかからないと思うから一度休んでからやっても良いけど」


「疲れてないから休まなくて良い」


 フォル様とフィル様が魔法機械のある部屋へ向かいました。


      **********


 魔法機械で世界管理システムのある場所へ行ける日とその方法を確実なものにしようとしているのでしょう。


「……これ、行くまでに魔力持つ? 」


「んー、全員でわけても僕とエレだけかな。別にみんなでおんなじだけとかじゃないんだから、エレと僕だけで全魔力を補えば良いと思うけど」


 エンジェリア姫とフォル様の魔力量は特別多いです。それだけでなく、回復量も多いので、魔力がなくなる事はまずないですね。


「それだと二人にばかり負担が」


「気にしなくて良いよ。このくらいならそこまで負担にならないだろうから。それより、みんなに詳しい話しといてくれない? 少し用があって外に出るから」


「分かった。エレが心配するから夜には帰って来れる? 」


「うん」


 フォル様が転移魔法を使い、エクランダ帝国へ転移しました。残されたフィル様は、ゼムレーグ様の元へ向かいました。


      **********


 ゼムレーグ様は、ソファでゆっくりとくつろいでいます。


「ゼム、管理システムの場所に行く詳しい話がしたい」


「良いけど、エレとゼロ呼んだ方が」


「だから今から二人がいる部屋に行く。そこで話をする」


「分かった。薬飲んでから行くから先行ってて」


 ゼムレーグ様は貧血防止薬を飲んでから向かうとの事なので、フィル様が一人でエンジェリア姫とゼーシェリオン様の元へ向かいました。


      **********


 ベッドの上で寝転んで抱き合っているエンジェリア姫とゼーシェリオン様。恐らく起きているでしょう。


「すゃすゃ」


「にゃぁにゃぁ」


「エレ、ゼロ」


 フィル様の声が聞こえると、エンジェリア姫とゼーシェリオン様は素早い動きで起き上がり、その場で座りました。


「ゼムが来てからだけど、話がある。管理システムへの行き方とかで」


「分かったの。おとなしく聞くの。おとなしく聞くからなで」


 ゼムレーグ様がくる間、エンジェリア姫はゼーシェリオン様とフィル様に頭を撫でてもらっています。


「お待たせ。ゼロも薬飲んだ? 」


「……クスリシラナイ。ゼロにはエレがいる」


「……きょぉせぇまずまずお薬なの」


 貧血防止薬は液状の薬でかなり苦いのでしょう。嫌そうな顔をしているゼーシェリオン様にエンジェリア姫が無理やり飲ませています。


「……ふにゅぅ。これで満足なの。フィル、お話なぁに

? 」


「さっきも言ったけど、管理システムのある場所への行き方。転移魔法を使っていけない範囲。魔力を消費する事でできる道を出現させる必要がある。その魔力をエレに頼みたい」


「……ぷにゅ? すゃ……にゃむ? 分かったの。魔力使えば良いっていうの分かったの」


 エンジェリア姫は良く分からなそうな表情で言っています。


「それと、道を歩いている時は、周りを見ない事を薦めておく。特にエレは。透明な壁があるから魔力が尽きない限りは落ちる心配はないから、エレだけ目隠ししていくのも良いかもしれない」


「ぷにゅ? エレが苦手そうな場所なの? 虫さん多いとかならゼロも苦手だから違う気がするの……どこなの? 」


「……上? 」


 できるだけエンジェリア姫に気づかれないような言い方をしようとしているのでしょう。エンジェリア姫は理解できていないようです。


「にゃむ? うえ? ……分かんないけどエレは目隠しなんて必要ないの。怖かったらフォルにぎゅむぎゅむしておくから大丈夫なの」


「……フィル、古代遺跡とか言ってたが、どんな場所なんだ? 行った事なくても多少は知ってんだろ? 」


「……本来の世界では、歴史に残されていない種が使っていた礼拝堂。おれ達がいけないというわけではないけど、必要以上には行かない方が良いと一度も行った事はない」


 歴史を残すためというより、その場所に何があるのか分からないからという方が多いのでしょう。


「ふにゅ? だから何も知らない? 」


「知っていたとしても、フォルの許可なしに話す事はできない。この話はこれで終わりにしよう。行く日までは自由にしていて良いから、ゆっくり休んで」


 フィル様がそう言うと部屋を出ました。


「……何か知っていそうなの。フォルに聞いてみれば分かるかもだけど」


「俺らには話してくれないだろうな」


「ふにゅ。お話してくれないと思うの。エレは古代遺跡とかあまり興味ないから良いけど、ゼロとゼムは興味あるの? 興味あるならこれ貸すから調べてみれば? 」


 エンジェリア姫は古代遺跡だけではなく、歴史に関するものは一通り興味ないはずです。自分が見聞きしたものが一番重要という方なので。


 ふかふかそうな枕と小型の魔法機械をゼーシェリオン様に押し付けて、エンジェリア姫は部屋を出ました。


「……これでどう調べろと? 俺らがこれで調べられるとでも思ってんのか? 」


「エレなら思っていそう。魔法機械って誰でも扱える代物じゃないんだけど」


「簡単に扱えるからな、あいつは」


      **********


 星の音 一章 十話 行き方

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