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真希くんのザッハ・トルテ

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 私は浮足立っていた。


 もう、この屋敷の厳かな雰囲気も気にならない。それ以上の喜びに支配されている。


 前のテスト終わりの打ち上げはそこら辺のファミレスだったが、今日は農も洸平も参加し真希くんの家でやることになった。しかも、打ち上げ用の料理とお菓子も添えて。


 真希くんのお菓子作りの天才ぶりは、あのクラスの住人はみんな知っている。そんな彼が、私のために作ってくれたザッハ・トルテ。


 大層美味なことだろう。期待が胸の内に広がって、ああ、もう、理性を失いそうだ。


「お邪魔しまァす!!」


 私は真希くんの屋敷の門を潜ってそう叫んだ。


 すると、庭の湖を眺めていた頭が白髪に染まった女性が驚いた表情でこちらを見た。


「どうもお邪魔してまァすッ!!」

「え! あ、うん! いらっしゃいませ!!」


 おや、声が以外に若い。と、なるとあの白髪は染めてるのか、それともそう言う病気なのか。


「あ、そっか。真希の友達、ああ、成程なるほど。あの大量のケーキやら何やらは……」


 そうなると、この人さては真希くんのお母さんか……? そう言えばアルバムでも見たことがある顔だ。


 やけに若い、まあ、伯父さんがあれだから納得はするけど。


 真希くんは私たちをリビングに招待すると、そこには色とりどりのスイーツで一面を彩られていた。


 そして、その中央に佇むのが、黒く宝石のように輝く、ザッハ・トルテ。


 さすがチョコレートケーキのKING、威厳が凄まじい。


「……さて、真希くん」

「ん、どうしたの? 涼夏ちゃん」

「天才ってよく言われない?」

「まあ、結構言われた記憶はあるけど……」


 でしょうねあなたは。


「お金払うから毎日これ作って」

「お金はいらないけど毎日ザッハ・トルテは太るよ?」


 あ、プロポーズ成功した。はいっ、終身雇用決定!! 一生私のお嫁さんかお婿さん!


 似合わないと思っていた洋菓子と和の建造物は、意外にも絶妙な親和性を発揮している。


 食欲、期待がともに高まり、私の中のザッハ・トルテ欲は更に昂った。


「さ、早速、食べても?」

「あ、お皿準備するから待ってて」


 焦らすのが得意なんだから真希くん!!


 真希くんは、その人間離れの身体能力であっというまに行って戻ってきた。


「それじゃあいただきます!」


 もう他のやつらの目線なんて気にならない! 気にしてたらザッハ・トルテなんて食べられない!!


 I! LOVE! CHOCOLATE!! それこそが私の生きがいであり、存在理由!!


 このザッハ・トルテには、色んな飾りで彩られている。クマの形とか、クリスマスツリーの頂点に付ける星型とか、ハート型も。さすが真希くん、細やかな技術が光る。


 その漆黒の身をフォークで切り分け、まず一口ぶん。ここで勇ましく、そして無様に、そして不躾に、大きく取るべきではない。


 まずは吟味のための一口、判定のための一口。それなら小さいほうが良いのだ。


 口に運び、舌の上に置くと、その繊細な味わいと趣向に魅了された。


 濃厚なチョコレート、杏の酸味、違和感なく混じり合っている。それにこの杏のジャム、何か別の酸味を感じる。


 これは……いちご? けどそこまで多くない。あくまで隠し味として、それでいてちょっとしたアクセント、アレンジだ。


 それにこのチョコレート、私の舌の記憶に覚えがない。少なくとも、市販のチョコレートとは少々違う。


 組み合わせた? 違う、もっと根本的に違う。


「このチョコレート、どこの?」

「ああ、これは伯父さんの謎の経由で仕入れたもの」

「え、カカオから?」

「らしいよ? 詳しくは知らないけど」


 植物農園でも持ってんのかあんたの伯父は。


 ……まあ、あの人普通に考えて、カタギの人間ではなさそうだし……まず人間かも怪しい。広い土地くらい持ってるか。勝手なイメージだけど。


 まあ、この涼夏の舌に間違いはなしということだ。


 なぜか他のやつの手が止まっているが、どうしたのだろうか。こんなに美味しいものならさっさと食えば良いのに。


 私は遠慮をすることもなくさらにザッハ・トルテを口に運んだ。


 一口食べるごとに、新たな発見を見つけられる。ああ、これこそ、私が求めた真希くんのザッハ・トルテ。


 このために、辛い思いをしながら勉強をしたかいがあったものだ。これさえあれば、私は次の期末もきっと乗り越えられる。


 ああ、そう思うと涙が……。


「どうしたの涼夏ちゃん!? 泣いてるっ!?」


 真希くんが慌てた様子で私の顔を覗いていたが、ただ、今はあなたに感謝を。


「違う、感動してるの……。これほどまでのザッハ・トルテをよくぞ……作ってくれて、生まれてくれて、ありがとうっ……!!」

「そんなに!? いや、まあ、作った側はすっごく嬉しいんだけどさ……。ちょっとオーバーリアクションじゃない?」

「これはそれにふさわしいほどの、美味……!! シェフを目指してその店での第一の客として私が入りたいくらいにはっ……!! もうお金払いたい……三万、割り切れないから……」

「なんでここでご祝儀!? まずお金いらないから!! しっかりして涼夏ちゃん!」

「こんなものを食って正気でいられると思ってるのか貴様ァ!?」

「さっきから情緒が不安定すぎる!!」


 今は、ただ静かに……これを味わい尽くしたい……。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


チョコレート狂信者涼夏ちゃん。

チョコレートのことになると早口になったり情緒が不安定になったりする女の子だぞッ!!


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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