ついに中間テスト ①
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
ああ、マズイマズイマズイ。メチャクチャ緊張してきた。
なのに、外はムカつくほどに晴天。いつもなら喜ぶところだが、気分的には場違いも甚だしい。
今日はテスト当日、しかも明日も。こんな制度を考えた野郎に恨み辛みを吐き続けたいくらいだ。
「……さて、と。おい涼夏」
農が私に耳打ちしてきた。
「カンニングペーパー一緒に作るか」
「……真希くんにはバレないように、分かってる?」
「当たり前だ。バレたら――」
会話の途中で、いきなり農が私から離れた。
後ろに視線を向け、一瞬で青ざめて離れた。……まあ、そういうことだろう。
後ろに、真希くんがいる。気配だ、なんとなくの気配で分かる。怒りか、はたまた呆れなのか、表情すらも見えない威圧感が、後ろから発せられている。
そして、何より……会話を、聞かれた……!
「……あっははは、やだなぁ農。カンニングペーパーなんて作ったらダメでしょぉー」
「あ、あはははは! そうだよなぁ! 冗談冗談!」
後ろからの威圧感は、すうっと消えた。
死の恐怖というのは、まさしくああいうものなのだろうと思い知った。
「……涼夏ちゃん?」
後ろから真希くんの声が聞こえた。
「……どう、したの?」
「テストが終わったあとだから、ザッハ・トルテ」
「あ、はいぃ……」
「もちろん、不正が発覚したと同時になし」
「はい! 承知しております!」
こういう人は、古今東西怒らせてはならないと、古事記にも書かれているんだから。危ない危ない。
さて、ついに地獄の時間が始まった。もう帰りたい。
テスト中の静けさは、どうにも気が滅入る。視界がちかちかと明滅をくりかえしている。
ああ、やっば。本当にやっば。意識が辛い……マジで辛い。
……だけど、分かる。テストの問題がすらすらと、なんてことは決してないが、それでも問題の理解は出来ている。
テストってたまに「何言ってんだこの問題」ってものがあるけど、今なら分かる。勉強の成果はきちんと出ている。うん、大丈夫、大丈夫。
ただ、それでもやっぱり不安が残るもので、緊張感が解けるわけではない。
終わったあとに真希くんからのご褒美がなければ、中学時代と同じような目に……。……いや、本当に勉強仲間がいて良かった。
そして、なぜか時間が早く感じた。すぐに終わり、またテストが始まり、そしてまた終わり、一日が終わってしまった。
「……あれ、案外、あっさり終わった」
「そうですね」
いつの間にか真希くんは真希ちゃんになっているし、開放感のお陰か頭が真っ白だ。
「明日も頑張りましょうね、涼夏ちゃん」
「分かってる分かってる。……どっか寄る? ファミレスでも」
何だかこのグループも、いつの間にやら男子も混ざって陽キャの仲間入りを果たしている。だいたい瞳が絡んでくるせいな気もするけど。
「ああ、ごめん」
私の誘いに、洸平が頭を下げて断った。
「ちょっとした用事があって、本当にごめんね。僕は参加できないや」
「おい待て洸平! お前が抜けたら男子が俺一人になる!」
農はあいかわらず叫んでいる。何でこいつだけこんな元気なんだ。
「じゃあ俺も不参加だ! すまん!」
そういって農も不参加になった。さて、白ちゃんを待っておこ。
すぐにでも白ちゃんと合流し、打ち上げのファミレスに向かった。
「はーいそれじゃ、テスト一日目無事終了ってことで、かんぱーい!」
私の掛け声に合わせて、真希ちゃんと亜美と瞳は元気良く「「「かんぱーい!」」」と言ってくれた。白ちゃんは変わらず声を出そうと喉を振りしぼっている。可愛い。
「それにしても、どうでした? テスト。手応えありました?」
真希ちゃんがそう聞くと、最初に答えたのは瞳だった。
「楽勝らくしょー、英語の文章問題ゲキムズだったけど、まあらくしょー」
まあ、こいつは本当にらくしょーだったのだろう。
次に答えたのは白ちゃんだった。
白ちゃんはすぐにノートに「程々に出来たと思いますありがとう」と書いた。まあ、この子もほどほどに大丈夫なのだろう。
次は亜美だった。
「ふっ……私の実力を舐めないでほしいね真希ちゃん」
お前が一番心配なんだよ。中学校のとき一回数学で0点取ったの、思い返してもまだ驚くくらいだからね。
「それで、涼夏ちゃんは?」
「私? ……まあ、まあまあまあまあ、うん」
「まあまあ、まあまあか……それダメなやつじゃ……?」
「……今はそういうこと言わないで、本当に心配になる。そういう真希ちゃんは?」
「まあまあですね」
「はい、一番ダメなやつ」
それでもこのグループの中だと、結構上位の成績を取りそうなのが、真希ちゃんのスゴイところだ。
だから、つまり、心配なのは、あいつだ、あいつ。
亜美だけが心配だ。こいつだけでも先に帰すべきだったか?
まあ、気を引き締めて、明日も頑張ろう。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
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