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真希くんの家 ③

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「あ、やっぱりゲームあるんだね」


 洸平が帰ってきた真希くんにそう話しかけた。


「あぁ……うん……疲れた……」


 一体どうやって黒歴史を消滅させたのか。まあ深くは聞かないでおこう。


「やけにゲームが多いな。うわ、最新筐体揃ってやがる。金持ってんなぁ」


 農の言葉どおり、色々な筐体がよりどりみどり。……部室のゲームって真希くんが持ってきたはずだけど……え、何個もあるの? 金持ちか?


 金持ちっぽいんだった……。部屋広いし家広いし……まず伯父さんも色々事業持ってた……!


 この家、というか多分五常家大金持ちだな!


「あ、何かやる?」

「スマ◯ラやろうぜス◯ブラ」


 真希くんと農はいつの間にかゲームを起動させ、それに瞳も白ちゃんも洸平も参加した。


「……さて、亜美」

「うん、分かってる」


 私たちは互いに顔を合わせ、真希くんに話しかけた。


「ちょっとお花を摘みに……」

「あ、部屋から出て向こうのほうに――」

「あぁ大丈夫大丈夫。この部屋に来るときに見つけたから」

「そう?」


 ……よし、自然と部屋から抜け出す言い訳は出来た。


 亜美といっしょに部屋から出て、また視線を交わした。


「こっちが本題みたいなところはあるよね」

「まあ、確かに。それじゃあ亜美、『真希くんの家探索作戦』を開始する!」

「おー!!」


 家が分かった時点で、これはいつかするつもりではあった。


 彼、もしくは彼女、その秘密は今だ多い。あんまり語らないことが多いし、何となくぼかして語るばかり。ならばやるべきことは一つだろう。


「「この家で、五常真希の秘密を奪取する!」」


 全てはこのため、最悪不法侵入でもするつもりでいたが、招待されるとは思ってもみなかった。だが都合が良い。今後様々な理由で遊びにこれる!


「……さて、亜美隊員、どこから行く」

「隣の部屋が良いと思いますイエッサー!」

「サーじゃないでしょ」

「じゃあ何?」

「……いや、知らん」


 しかし、隣の部屋……。私室かここだとすれば、まあ何か隠しておくなら、隣の部屋がメジャーか。


 と、いうわけで、隣の部屋の扉を開けた。


 中にあるのは、今もなお生活感が残っている子供部屋だ。学習机に子供っぽいサッカーボール、何かしらのフィギュアにガシャポンで手に入れたであろう数多の小物。


 真希くんの部屋……ん? だとすると何だあの部屋。真希くんの部屋はあっちにあるし、自室でする大体のことはあっちで全て完結する。


 何だ、ここ。何でこんなところがある?


「……変だね、ここ」

「やっぱり亜美もそう思う?」

「いや、だって、ほら。まだ掃除されてる。机の上にホコリたまってないし」


 まだ使ってるってことか。


 いや、どっちかというと、管理されているって言ったほうが正しいか。この不気味な生活感も恐らくそういう理由だ。


 ……え、だとすると何? ここ本当に何?


 ベッドの上にシーツは無い。その枠組が残されているだけだ。少なくとも誰もここで寝てはいない。


 じゃあ誰の部屋? これ、誰の部屋? え、何、こわっ。


 亜美は置かれている棚を探り、恐らく小学生か中学生のころの教科書の裏を見た。


「……"五常――"……。……名前のほうが塗りつぶされてるや」

「え、こわ。何? 真希くんには兄弟か姉妹がいて? けど何かしらの事情があってどっかにいって? なぜか名前は隠されるように塗りつぶされてる? やっぱり怖いんだけど。最近ホラー要素多くない?」

「……ってよりは……何か、変な気がする。塗りつぶされてるにしては、やけに綺麗。黒いペンで綺麗に、丁寧に太くまっすぐ隠されてる。悪意や怒りってよりはもっと……冷静な物を感じる」

「……えーと、つまり? そのー……何か、その名前を隠すのは良いことってこと?」

「さあ。けどとっさってわけじゃないよ。ちゃんとした暇の中で、丁寧に隠してる。どこか義務的にも思えるね」

「貴方探偵にでもなれば?」

「家出犬とか猫とかの捜索はやってるけど」

「それもうよく聞く探偵仕事じゃん」


 確かに亜美の収入源も不明だったが、まさかそういうことだったとは……。


 しかし今は……この部屋の解明に専念しよう。明らかに不可解だ。


 せめて何か名前の証拠でもあればと思ったが、どれだけ探しても徹底的に名前は隠されている。


「……日記もなし。というか……やっぱり真希くんにしては、やけに丁寧なんだよね」

「別に真希くんはずぼらじゃないでしょ」

「ああいや、そうじゃなくて、真希くんはなんて言うか……真希くんの手口としてはおかしいんだよね」

「じゃあ誰?」

「さぁ……?」

「……この部屋、出ない? ずっとここにいるわけにもいかないし」


 亜美は数秒だけ頭をひねったが、すぐに向き直り頷いた。


 そろそろ真希くんにも勘づかれそうだ。ここは怪しまれないためにも……。


 そう思い部屋から出ようと扉を開くと、その目の前に真希くんが立っていた。


 いや、違う。真希くんじゃない。服装が女のコになってるから真希ちゃんだ!?


 男子もいる中で着替えるとは到底思えないが、今はそんなこと心底どうでも良い!!


 見られた、見られてしまった! 予想出来うる中で最悪の事態! もうどんな言い訳も通じない絶対的な証拠!


 ワンチャン出禁! それだけは御免被りたい! 今後何度もお邪魔したい! それくらい良いお家だから!


「……見た? いや、まあ、部屋の中にいる時点で、もうばっちり見たってことだけどさ」


 ……どうする! 真希ちゃんのこの発言は恐らく! 処刑宣告!!


 どうする!! 最悪亜美を犠牲にすればいくらでも切り抜けられる方法は思いつくが、それは私たちの友情が崩壊するということ!! 今後のことを考えてもそれは避けたい!!


 どうする!! どうすれば良い!! どうすれば、ここを――。


 すると、真希ちゃんは意図の分からない微笑みを浮かべた。


「みんなには、秘密にしておいてくださいね?」


 その微笑みに、私と亜美は背筋を震わせた。理由は分からない。恐らく何もないのだろう。


 熊を見て怯えたり、虎を見て怖気づいたり、多分それと同じ。笑みとは、起源を辿れば牙を見せる威嚇行為であるという話を聞いたことがある。


 つまりこの笑みは、真希ちゃんにとっての威嚇行為!! いつでも貴様ら下等生物なんぞ噛みちぎれるぞという、処刑宣告!!


 哀れな被捕食者が取れる行動は二つ! 逃亡か、死!!


 ならば、私は、私たちは!!


「「大変申し訳ございませんでしたァ!!」」


 私と亜美は同時に超高速土下座を披露した。


 この土下座は、私が亜美といっしょに色々バカなことをやり続けた結果編み出された、もはや芸術の域にまで到達したと言い張れるほどの、美しく荘厳な土下座!!


 これにはさすがの真希ちゃんもたじろいでいる。どうだ第三の選択肢! 見逃してもらう!!


「いや、あの……誰にも言わないなら良いからさ、うん。顔上げて……!」

「「サーセンっしたァ!!」」

「謝罪が適当になってない!?」

「「ほんとサーセン!!」」

「だから良いって!! 誰にも喋らないなら!! ね!?」


 こうして、私と亜美は無事許されたのだ!


 アーハッハッハ!! 実質私の勝ちだ! 何の勝敗か分かんないけど!!


 ……それで、この部屋結局なんだったんだろ。謎は深まるばかりだ……。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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