真希くんの家 ①
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
「……さて、と。何で?」
そんな声が漏れてしまった。
真希くんに指定された住所にやってくると、私と亜美、そして白ちゃん以外に、瞳も、なぜか農も洸平も来ていた。
「誘われたからだけど何か?」
瞳が不機嫌そうにそう言った。むしろ邪魔者はそっちだろと言わんばかりだ。
「いや、前いなかったし」
「それでも誘われたから良いんですぅー」
「ムカつくなこいつ」
「それを口に出すなんて本当に友人が疑わしいわね」
「瞳が言えることじゃないでしょ。前に罵詈雑言浴びせてきて」
「そうだっけ?」
「そうだった。……っけ?」
「何でそっちが曖昧なのよ」
「いや、想像で喋ってたから」
「私のイメージどうなってんの」
まあ……悪い方のギャル。口が裂けても言えないけど。
すると、瞳は農と洸平に指を指した。
「聞くならこっちでしょ! 部活に入っても無い部外者でしょ!」
しかし農はそれに向かって叫んだ。
「同じだ同じ! 真希に誘われて来たんだよ!!」
あいかわらず洸平はにこにこと笑うだけ。これなら農のほうが話しやすいか?
すると、その騒がしさに気づいたのか、真希くんが扉を開けてひょっこりと覗いてきた。
一瞬の瞬きの後にぱぁっと屈託のない笑顔を見せると、楽しそうに張り切った声を出した。
「いらっしゃいみんな! さっ、入って入って」
招かれた家は、まあ……豪邸って言えるほどでは……いや、充分デカいな。
何坪あるんだこの土地。一般的な民家の土地の三倍……までは流石にないだろうけど。二倍は確実にある。
中々に趣と歴史がありそうな日本家屋。しかも門と白い壁まである。さっき真希くんが顔を出したのはその門の……なんていうんだろ。小さい扉のほうからだ。
門の中に入ると、雅な匂いを感じる広い庭園が広がっており、今も庭師の人が仕事をしている。
何だこの、何だ!? 前言撤回!! やっぱり豪邸!!
何だ、元華族とかか!? 割と歴史ある由緒正しい家とかか!? 確かに五条って元華族だしな!!
いや、でも、五条じゃなくて五常か。漢字が違う。
じゃあ本当になぜ? 湖にでっかい鯉も泳いでるし。
「……これ、錦鯉じゃねぇか……?」
消え入りそうな声で農が呟いたのが聞こえた。
「銀鱗……紅白……目算50cm近く……」
「それ、何かスゴイのかい?」
洸平の問いかけに、農は少し興奮してみせながらまくし立てた。
「それこそ数十万とか、ワンチャン百万行くぞこれ! 模様も綺麗だし体調もすこぶる良さそうだ! ……捕るか」
「盗らないでよ?」
「わぁーてるよ洸平」
……いや、何でそんなのが泳いでるのかを疑問に持てよ。
金持ちだろう金持ちだろうとクラスで噂されてきたあのコが、やはり相当な……。
玄関広いし! 何か高そうな掛け軸もちょっと向こうに見えるし! 何かでっかい壺置いてるし! 何だこの家!? 何だこの家庭!?
私たちの緊張も無視するばかりか、真希くんは何度も手招きして家に入ってくるように促す。
「お父さんもお母さんもどうせ今日いないし、あがっちゃって。僕の部屋に行ってて。ジュースとお菓子持って行くから。あ、僕の部屋は上に行って右に進んだ突き当りの部屋だから」
こんなところ赤の他人が歩くだけでも萎縮する! 辞めて! 私たちを残して行かないで!!
しかし真希くんはすぐに向こうへ行ってしまった。
何とか、体をガッチガチに固めながら廊下を歩いた。何か……廊下の材質も……高そうな木材……。
もう、ヤダ。気が気でいられない。頭がおかしくなる。平民には平民なりの空気というのがやはりあるのだ。上流階級の空気を吸うとアレルギー反応が出る。
階段、階段すらも、何か厳か! もう嫌!
ようやく二階の突き当りにたどり着き、そこの襖を開けると、やけに現代的な高校生らしい私室があった。
それと同時に、消臭剤とは違う仄かな優しい香りが鼻をくすぐった。
すると、亜美が真っ先に部屋に入り、こちらに振り返った。
「さて、と。ここまで来たらやるべきことは、一つだよね!」
先に動いたのは白ちゃんだった。恐らく服が入っているであろう棚を特に抵抗もなく開いた。
瞳も何をしたいのか察すると、白ちゃんと同じく棚を漁り始めた。
その光景を、農は冷たい視線で見下していた。
亜美もそれに加わったが、それよりやるべきことがある。
「亜美、瞳、白ちゃん」
少し冷めた目で見ていた農が、私にだけは輝いた瞳で見た。
「探るなら下着でしょ」
農の表情は私を軽蔑するものになった。
まあ、もうどうでも良い。下着である程度の性別の情報が探れるのだ。やらない理由はない。
下着を漁ってみると、男物も女物も等しく同じ数入っている。
すると、白ちゃんが真希ちゃんのブラを手に取り、そのサイズを確認していた。
亜美もそれを覗きこむと、少しだけ驚いた表情を浮かべた。
「真希ちゃんDカップなんだ」
それに瞳が食い入るように答えた。
「アンダーが細いんでしょ。……ちょっとそのブラを拝借」
「……何に使うの」
「え、匂い嗅ぐだけだけど」
「いやー流石にそれはライン超えっていうか……」
ふと農と洸平のほうを見ると、二人はひそひそと密会していた。
「こいつらおかしいぞ……全部ライン超えだろ」
「みんな友だちが大好きなんだよ」
「どう考えても邪な感情だろ! 下着漁るなんて友だちならまずしねぇ! だぁ! ツッコミが俺しかいねぇ!!」
すると、洸平が視線を動かすと、どうやらあるものを見つけたようだ。
手に取ったのは、恐らくアルバムだろう。今の時代に紙の写真のアルバムとはまた珍しい。
洸平はぺらぺらとめくると、その笑みをより一層深めた。
「あぁ、ご両親かな、これ。やっぱりどちらも容姿端麗だね」
すぐに私たちは、そのアルバムを覗きこんだ。
映っているのは、背が高く大人しそうな中性的な男性と、アイドルでもやれば覇権が取れるであろう元気そうな女性。そしてその間にいる小学生か、中学生のころの真希くん。……くん? 格好は女のコだから真希ちゃんか。
すると、白ちゃんがメモに「この二人、どっちが父親ですか? 母親ですか?」と書いた。
……確かに。私たちの考えはそれに統一された。
いや、でも、うーん?
「やっぱりこれ、ぱっと見で正しいほうじゃ?」
亜美がそう言ったが、すぐに農が返した。
「いや、だとしたら伯父さんが分からなくなる。確か伯父さんの妹が真希のお母さんだろ? ……お母さんってどっちだ?」
すると、瞳が男性と思われるほうを指差した。
「こっちよ多分。中性的だし」
どれだけ議論しても、決して答えが出ることはない。
もうすぐ来るであろう、真希くんにでも聞こうかな。それよりも前に、荒らした真希くんの下着を整理して証拠隠滅しないと……。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
五常真希っていうか、五常家って滅茶苦茶金あるからなぁ……。
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