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真希ちゃんの秘密 ①

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「真希ちゃんって色々秘密があるよね」


 亜美がそう言った。


 まあ、確かにそうだと私は頷いた。


 と言うか、この部活ってそう言うのを探る為じゃ無かった? まあ、あくまでテキトーな理由付けだけどさ。


「両親とかはまあ、そりゃ会わないけどさ。家も分からないんだよ? どこら辺に住んでるかも分からないし、前の中学校も分からない。一人くらい同じ中学からの友達とかいても良いのに」

「まあ確かに……気になるけど……わざわざ聞くことじゃなくない? どうせもうどうでも良いんでしょ。真希ちゃんが言わないってことは」

「そうだけど気になるじゃん! 逆に! 何で気にならないの!!」


 亜美の気持ちは分からないでも無い。


 しかし、私からしてみればそれは真希ちゃんのプライベート。アイドルのマンション突撃は流石にアレなのと同じ理屈だと思ってくれれば良い。


 ……しかし……まあ、兄弟姉妹とかいるのだろうかと気になったことはある。


 その場合、やっぱり真希ちゃんと同じで性別不定なのだろうか。


 すると、クソゲーに心を壊されてうなだれている白ちゃんが、震える指で紙に「私もそれすごくすごく気になります」と書いた。無茶しなくても良いんだよ白ちゃん……。


 真希ちゃんが持ってきてるクソゲーの中でも、白ちゃんが選んだ物は持ってきた本人直々に「まだみんなには早いから部室では封印」って言ってた指折りのやつだから……。


 はたから見てるだけでも、わけの分からない、良く言えば前衛的な色彩で彩られて操作性極悪だし、音楽は聞いているだけで気分が悪くなる。


 あんなゲーム存在しちゃダメだ。何を思ってあんなの作ったんだあのメーカー。


「白ちゃんは白ちゃんが心配だけど……大丈夫?」

「大丈夫じゃないでしょあんなゲームしてて」

「……まあ、確かに。やっぱり封印しておこうかあれ」


 亜美は胸から出した、いかにもなお札が貼られた白い箱を取りだし、クソゲームカセットを入れて封をした。


「なにそれ」


 つい聞いてしまった。


「あぁこれ? 真希ちゃんの伯父さんから」

「個人的な繋がりでも?」

「仲良くなった」

「あぁ……そう」


 女子高生と個人的な交友関係のある四十代男性……こう言うと、少々、と言うか結構アブナイ気が……。


 さて、真希ちゃんはもう帰えると言って部室を後にしている。今から全速力で準備を整え、全速力で走れば、まだ間に合うだろう。


 私たち三人は目を合わせ、即座に帰宅の準備を終わらせ、全速力で廊下を走った。


 途中何か叫んでいるタカハシ先生とすれ違ったような気がするが、まあ気のせいだろう。


 真希ちゃんの背が、遠く、遠くに見えた。


 さて、ここから隠密活動を開始するわけだが、白ちゃんデカいから目立つな……。


 しかしあれだ。真希ちゃんの後ろに、猫の列が出来ている。


 何とも可愛らしく、何とも幻想的な光景ではあるが、いったいどこから、こんな数の野良猫が現れたのか、それだけが気になる。


 真希ちゃんが「にゃーん」とふぬけた声を出せば、野良猫たちはその鳴き声を返すように一斉に鳴く。猫と真希ちゃんの大合唱が始まったのだ。


 白ちゃんはそんな光景を見ながらいそいそと手帳に筆を走らせた。


 白ちゃんが言うには……言う? 書くには? まあ、そこはどうでも良いのだが。白ちゃんは趣味で自作俳句を作る。


 唐突に訪れるインスピレーションを逃さないために、要素を手帳に記録するらしい。


 まあ、これを句にして残したい気持ちは分からないでもない。ただ私にはそういう才能がないからなぁ……小さいころやってた絵でも続けてたら良かったかな。


 すると、尾行した真希ちゃんは、偶然にも帰宅していた農と洸平に出会い、手を振った。


 農はどこか挙動不審で、洸平はいつも通り。農のはあれか。女子と話してキョドってるだけか。


 ……けど真希ちゃんが男のコのときは自然と話せたよな。


 まあ、今は真希ちゃんは女のコ。そういうものなのだろう。


「あぁ、真希ちゃん。スゴイね、後ろ」


 洸平がにっこりと笑いながら真希ちゃんの後ろの猫の列を指さした。


「ああ、これは……何でついて来るんだろうね。マタタビの匂いでもあるのかな」

「けど迷惑そうには見えないけど」

「カワイイからOK」

「なるほど」


 真希ちゃんは農に視線を向け、ただただ可愛らしく笑った。


「辞めろお前ぇ! そういう顔ぉ! 友だちとしてみれなくなるぅ!!」


 農がそんなことを叫びながら、真希ちゃんに背を向けて全速力で逃げ出した。


 洸平はそんな農を追いかけてどこかへ行ってしまった。


 ……さて、真希ちゃんはまた歩きだした。


 まず、これ本当に帰宅しているのだろうか。


 家に向かっているなら、右に行ったり左に行ったり、方角が定まっていない。


 ……もしかして、バレてるのか? 尾行が、バレているのか? 真希ちゃんのことだ。可能性はある。


 けどこっちを見た素振りはなかった。やっぱり杞憂だろうか。それとも……。


 真希ちゃんの足取りは、やはり不安定な方向だ。


 時には橋を渡り、時には商店街を走り、時には木陰の下を歩いている。


 そして、トンネルの中を歩いて、そろそろ山の中に入りそうだ。虫とか色々心配だが、真希ちゃんはうろたえることなくずんずんと前に進む。


 見失わないように小走りで近づいても、それ以上の速度で真希ちゃんは先へ行く。


 山道というのは、やはり整備が進んでいないのだろう。まあ、まず整備する理由なんてないのだろうが。


 ……いや、でもこれ、ほぼ獣道じゃ……? この先に何があるんだ。


 真希ちゃんの前に、高い壁があった。コンクリートなのは分かる。だがなぜこんなところに、そしてこんなに、横の端が見えない長い壁があるのか、それが分からない。


 ……と、言うより、この空間自体が、どこかおかしい。違和感、気づけばそれはどんどん広がる。


 やがてこの場所が違和感の塊となり、やがて目に見える全てが恐ろしく感じる。


 そんなとき、真希ちゃんは壁の前で膝を曲げて屈むと、勢いよく戻した反動であり得ないほど高く飛び上がった。


 真希ちゃんの高い跳躍は、その壁の上に足を置き、天性のバランス感覚と柔軟性で直立し、その先へ歩いてしまった。


 さあ、どうする。登るか。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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