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真希くんと二人きり

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「今日誰も来ないねぇ」

「そうみたい。……ねぇ真希くん」

「んー?」

「これ、どこにアイテムあるの?」

「ああ、ドロップ品」

「確率は?」

「詳しくないけど、僕がやったときは二時間くらい」

「ストーリー進行必須アイテムを低確率ドロップにするなよ!!」


 私は、真希くんと共に歴代クソゲーをしていた。


 クリア困難、まず人間には不可能、ゲーム性最悪、様々な問題を抱えているそれらをやる手は、もう動こうとしない。


 私の怒りは正しいものでしょ! これ作った会社はなんでこれでいけると思ったんだよ! 誰もやってない独自性は、それをやったら不快になるものとは別なんだぞ! 独自性と不愉快さを見間違えるな!


「もームリ! 頭痛くなる!」

「プリン食べてもダメ?」

「ダメ! そりゃ、美味しかったけど。けどこのストレスは解消されない! 何で好きなのこんなのが」

「うーん……何でかって言われるとちょっと言いにくいんだけど……。クソゲーってさ、クソを作ろうとしてクソならもっと割り切ってクソになると思うんだよ。だから何を思ってこんなクソにしたのかを想像するのが面白いっていうか?」


 ふーむ、理解出来ない感情だ。


 まあ、そんなものなのだろう。クソゲーハンターとかいう変態は。


「そういえばさ」


 私がそう切り出すと、真希くんは手を止めた。


「んー?」

「真希くんって、結局どっち?」

「どっちっていうのは?」

「性別」

「どっちも。その日の気分。あーでも、わりと都合良く変えるかな」


 やはり性別不定、というか真希くんにとってもどっちか分からないんじゃ……?


「……もう一つ聞きたいんだ」

「んーん?」

「真希くんの伯父さんの名前って?」

「名刺貰ったよね?」

「あれ名前が読めないの。いや、読めるんだけど……すっぽり忘れるっていうか……」

「あーやっぱり? 伯父さんの名前分からないんだよね」


 やっぱり真希くんの周りの環境ってメチャクチャおかしい。本当に人間? あの人たち。


 結局そんな話もすぐにどこかへ流れてしまい、ゲームの音だけが続いた。


 私と真希くんの周りには、会話が無かった。真希くんはあいかわらずクソゲーを続け、ときおり自分が作ったであろう牛乳プリンをスプーンで一すくいして、口の中に入れる。


 ほんの少しだけ、気不味い。会話が続かないというのは、やはり気にしてしまうのだ。こういうときに亜美が役に立つのに……。


 今日に限ってなぜか来ないし、何なのよ。だーれも来ない。


「じゃあさ」


 真希くんがそう呟いた。


「今度は僕から、良い?」

「ん……どうぞ、お好きなように」

「そんなに僕の性別が知りたいの?」

「そりゃまあ……それを盾にして作った部活だし」

「ふーん……」


 真希くんは、今は男のコ。しかし、なぜだろうか。


 決して男性的な色っぽさではなく、女性的な蠱惑が、真希くんの瞳には宿っている。


 いや、これは、()()()()なんだ。真希くんは性別不定ではあったが、はっきりと性別を別けていた。


 中性的、では無く、女性的のときもあり、男性的のときもあった。


 しかし今は、それが曖昧だ。男性的でも、女性的でもない。しかし中性的でもない。どちらの要素もあるけれど、どちらとも違う。


 誰もがつい見惚れてしまいそうな、そんな官能的な瞳。


 普通ならそうなのだろう。しかし私は、ほんの少しだけの心の揺らぎのあとに、平穏を保っていた。


 津波のあとに海が凪になることはない。それは違和感を覚えるはずだ。ああ、だから私は、今、自分自身に違和感を感じている。


「それは、何で知りたいの?」

「何で? 何で、か……」

「好奇心? それとも、好意?」

「その二択なら、好奇心だと思う」

「……そっか。そう、なるほど」


 もう一度、胸がどくんと高鳴った。しかしすぐに平穏を取り戻す。


 真希くんは、私に瞳を向ける。蠱惑的で、官能的で、私の隅から隅まで、中の中まで見渡そうとする瞳を、私に向ける。


 ほんの少しだけ、怖いと思ったのは秘密にしよう。この怖さもきっと、今まで出会ったことがないほどの誘惑があるからだろう。


 性的に見たことはある。しかし基本的にはおふざけ、冗談、まあ一歩間違えれば普通に警察沙汰にはなるだろうが。


 とにかく、そのつもりはない。そういう目で見ることはなかった。今までも、これからも。


 それを揺るがしかねないほどの、誘惑がたった二つの瞳だけにある。


 ああ、やっぱり彼は、いや、彼女だろうか。五常真希は、普通じゃない。だからこそ、気になるのだ。


 彼を恋愛的には見れない。彼女を恋愛的には見えない。ただただ、誰よりも純粋で人間的な感情だけが広がるだけ。


 それを人々は好奇心と名付けた。


「なら、ちょっと見てみる? 私は気にしないよ?」


 一人称が変わっている。真希くんは、女のコのときに一人称が「私」になる。男のコのときはぶりっ子のように「僕」だ。


 いや、どちらの性別でも使えると思えば、五常真希らしい一人称とも言えるのかもしれない。


 この子の本質は、女のコのほうなのかもしれない。しかし性別までも女のコなのかは、分からない。


 真希くんは体を少しずつ私のほうへ寄せながら、シャツの一番上のボタンを外した。


「そういえば、あのときもスカートたくし上げると、すぐに覗いてきたね」

「ああ、あのときね。花冠作ってたとき」

「覚えてくれてありがとう、涼夏ちゃん」


 少しずつ、真希くんの雰囲気は人間離れしていく。声を聞くだけで、何だか溶けてしまいそうだ。


 しかし私の視線は、真希くんのさらけ出された鎖骨に集中していた。それでもやっぱり、私の心は不気味なほどに冷静で、平穏で。


 真希くんは私の左手の手首を撫でながら、唇が触れ合いそうな距離で囁いた。


「……待って、真希くん」

「……んー?」

「まだ、知りたくない。知ったらなんだか……」

「……なんだか?」


 真希くんは笑っていた。


「……もう、皆と一緒になれない気がする」


 真希くんは、笑みを崩した。けれどすぐに、人間らしい瞳で、私の瞳の奥を見つめた。


「……なーんてね」


 真希くんはぱっと私から距離を離し、ボタンを閉じた。


「嘘、ウソウソ。じょーだん。ちょっとからかいたかっただけ。いやー、案外表情変えないんだね。ちょっとだけ、残念」


 そういって真希くんは両手でコントローラーを握り、またゲームを始めた。


 このクソゲーは一度でもミスればあっという間にザコ敵にハメられ、ゲームオーバーになるまで延々とハメられる姿を見なければならないというクソ仕様。


 しかしハメ技はこちらも使える。そして真希くんは一度もそれを失敗したことはないと自負していた。


 今回、真希くんは初めて、ハメ技を失敗していた。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


すっげぇ楽しいです。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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