シンカイ先生の新発明
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
「新しい薬が完成したぞ。聞いて驚け」
シンカイ先生が私にそう言った。
「怪奇現象を経験した私に驚くことはありませんよ」
「非科学的だな。まあ良い」
「大丈夫ですか? 爆発しません?」
「当たり前だろ何言ってるんだ愚者」
シンカイ先生が部室に突然乱入してきたかと思えば、これだ。
手には三角フラスコに満たされた……あれ、何色の液体って言えばいいんだ……?
赤味がかった白……に、緑色の泡が湧き出している……何だ……? 毒……?
こんな肝心なときに真希くんはいないし、どうしよ。飲むか? いや爆発するしな……。
「……爆発って、どれくらいの威力でしょうか?」
「知らん。多分口の中が爆ぜるくらいだろ」
「安全性くらい保証して下さいよ!?」
「まあ、傷は出来ないだろ。あたしの計算によればだが。しかしこのあたし、恥ずかしいことに計算が苦手でな。コンピュータを使うのもプライドで許せん」
「め、めんどくせぇ……」
「とりあえず飲んでみろ。先ほどあたしも飲んだが、死にはしないはず」
「……それと、飲んだらどうなるんですか?」
「目が光る」
「……目!? 目ってこの目!?」
「原理は知らん」
「そんな危ないもの生徒に飲ませようとすんじゃねぇ!!」
「わがままなやつだな。よし分かった。ならこっちだ」
そういってシンカイ先生は、白衣の裏に隠し持っていた蓋された試験管を掴んだ。
中には紫がかった夕焼けの様な色に、気泡が延々と出ている。やっぱり毒の色だ。
「それは?」
「飲むと男子なら紫色に胸が光って、女子なら黄色に光っているように見える」
「……それの原理は?」
「知らん」
「それでも科学者かよ先生!!」
「貴様! 原理は証明されずとも、病気の原因を特定し、それを根絶させた例だってあるんだぞ!? 科学とは全て未知から始まる物だ! 貴様の発言は科学の愚弄だ!! 今すぐに訂正しろ!! さもなくばこの部室を爆破するぞ!! それにこの薬はあたしが責任を持って臨床し、安全性は保証されている! ちょっと腹の中で爆発するだけだ! しかも傷はつかない程度に調整されている!!」
「だからその爆発を無くせよ!?」
「爆発は必要だろうが!?」
「もっともいらない部分だろ!!」
しかし……まあ言ってしまえば性別が分かる薬だ。
半信半疑だが、飲んでみる価値はあるか……? シンカイ先生だって一応は、ギリギリ教員だ。生徒を犠牲にすることは、まあ無いだろう。
「……分かりましたよ。飲みます」
「おおそうか。愚者が愚者なりに考えた結果か。バイト代として諸々を礼として支払おう」
思ったより悪い条件じゃない気がする。臨床バイトと思えば、まあ……金額にもよるけど。
手渡された試験管は、ほんの少し動くだけでその気泡をさらに沸き立たせる。蓋を開けると、どうにも人が摂取していい匂いではない悪臭が漂った。
鼻を動かすだけで吐き気をもよおすそれは、自然と手がそれを遠ざけた。
……しかし、真希くんの性別を明かすため。決してお金のためではない! 決して!! お金のためではない!!
この部活動設立の目的を思い出しただけ!!
鼻をつまみながら、一気に試験管の中身を飲み干した。味は……一切の妥協も配慮もなされていない激マズ。
そして、食道を通り、胃の中に落ちたとき、わずかに私の腹の中から音がした。痛みはない。ただ息苦しい。
嘔吐のように吐き出すと、ちょっとした黒い煙が口から出て来た。本当にこれ爆発したんじゃ……?
「おお、どうだ。あたしの胸は光って見えるか?」
そう言われてシンカイ先生のほうを見ると、確かに先生の胸が紫色にほんのりと輝いている。
「……これ、何で紫色なんですか? 意味あるんですか?」
「いや、知らん。と言うかこの効能はあたしも予想していなかった副作用だからな。その副作用のほうを強めた薬だ」
「本当の作用は?」
「利尿作用」
「それで何で胸が光るように見えるんですか……しかも性別によって変わるって……」
「いや、だから、知らん。現在解析中だ」
この人、マトモに育てば人類の進歩を純粋に願う科学者になりそうだったのに、何がどうなったらこんなおかしな人になってしまうのだろうか。
両親の教育のせい……にしては、頭のネジが百本単位で吹き飛んでるし。
すると、偶然タカハシ先生がやって来た。
「あれ、シンカイ先生。また生徒に何か……」
「失敬な。危険なことはやらせていない。タカハシ先生こそ、生徒をモデルにした漫画を描いているという噂が出回っているが、そのほうが問題なのでは?」
どっちもどっちだろ。この学校の教師陣は頭がオカシイ人しかいない。教頭先生もあんなだし。
マトモなのは、さては校長先生だけ? 校長先生はしっかり二人を怒れる人だからなぁ……校長先生なんて目立たないし名前も覚えてない人がほとんどなのに、しっかり感謝出来るしマトモな人だし、尊敬出来る。
それはそうと、タカハシ先生の胸は黄色に輝いている。効果は確かなようだ。
やはりこれで真希ちゃんを見れば、今度こそ性別がはっきりするのでは?
さっそく、どこにいるのかも分からない真希くんの捜索が始まった。
道行く人に地道に聞き取り調査を続けていく内に、この効果はもう疑いようがなくなった。男子は紫色だし、女子は黄色。例外はない。
つまりだ。今日で決着がつく。この入学してから続いた疑問に、ついに決着がつく。
真希くんは、中庭で眠っているという目撃情報がある。つまり目指すはそこだ。
すぐに向かうと、そこにまだ真希くんは寝ていた。下校時間なのに何をしているのだろうか。
しかし、さすが真希くん。すぐに私に気づき、目を開いた。
「……どうしたの涼夏ちゃん」
「ああ、ちょっと野暮用が」
真希くんは起き上がり、大きくあくびした。
……真希くんの胸は、黄色に輝いていた。
……ん? いや違う。紫色だ。いや? 違うなこれ? 赤色だ? いや? なんだコレ?
ピンク? 青? 緑? でも黒色でもあるし、全然白くも輝いた。
えーと……つまり……その……? 何だ……? 何が起こってる……?
真希くんはもう性別すらもない……? 男子であり女子である……?
シンカイ先生だってこんなことになるのは予想していなかったはずだ。臨床実験は自分でやってたはずだし。
「……えーと、何? さっきからずっと僕のこと……」
「ああいや……真希くんの性別がますます分からなくなったなぁって」
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
たまには思い出さないと。
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