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休日の過ごしかた ④

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「……それ、真希ちゃんの伯父さんじゃない?」


 亜美も同じ考えらしい。それに農はこう聞いた。


「伯父? 伯母じゃあなくて?」

「伯父さん。性格がはっきりしてるぶん真希ちゃんよりはややこしくないけど。初対面でも、白い手袋に白い派手な目隠ししてたよ」

「はぁ……性別詐欺はあの家系か」


 すると洸平さんがこう言った。


「というか……事務所に連絡すれば良いんじゃないかな。そんなに気になるなら。もしかしたらその、真希くんの伯父さんが出るかもしれないだろう?」


 ああ、名案。何で誰も思いつかなかったのか分からないくらいの名案だ。


 ネットで調べると、確かにある。口コミ良好。「美人で目が癒やされました」「疲れが吹き飛びました」「また相談したいです」などなど。


 ……いかがわしいお店か?


 風呂屋で風呂入って自由恋愛の後にヤッたのでセーフみたいなことじゃないよな。


「……これ、大丈夫ですかね。本当に」


 タカハシ先生が私のスマホの画面を覗きながらそう言った。


 プライバシーの侵害で訴えてやろうか。


「……じゃあ先生、お願いします」

「あ、私が連絡するんですか」

「こういうときは大人に任せるのが良いと思うので。私たちは学生、貴方は……まあ、ちっこいけど立派な教員」

「ちっこいって情報いりますかね!? ……まあ、良いでしょう。自分のクラスの子が危ないことに巻き込まれないようにするのも、先生の仕事ですから」


 これは個人的な好奇心で動いてるだけなんじゃ……? まあ私たちも人のことは言えないけどさ。


 タカハシ先生はネットで調べた電話番号にかけ、スピーカーで通話してくれた。


 何度かの着信音が聞こえた後に、静かで優しい声が聞こえた。


『はいこちら――』


 その先の言葉が聞こえることはなく、瞳の怒声が響いた。


「もしもーし!! そこに五常真希っていう子がいるはずなんですけどォ!?」


 私の耳の鼓膜が、というよりこの場にいる誰もが耳を抑えた。


 電話の相手は少々の沈黙のあと、声色を変えてこういった。


『真希の友達?』 


 おや、この声は。


「真希ちゃんの伯父さんですか?」


 亜美がそう聞いた。


『そうそう。えーと、亜美ちゃんだったっけ。あーなるほど。見られてたってことか。それじゃあ――』


 この場合の次の言葉って『生かしてはおけない』くらいしか思い浮かばないんだけど。


『事務所においで。案内通りに進めばつくから』


 良かった。穏健派だ。いや、私が警戒しすぎてるだけか。だって怪しいし。職業不定かと思えばもっと怪しいことに首つっこんでる人だな。


 確かに案内表示は分かりやすく、件の事務所の扉の前にすぐたどり着いた。


「『除霊、因習、調査、何でもござれ』……何か……アニメとかでこういうのあるよね」


 亜美のその言葉には同意しよう。だからこそ膨らみ疑念と、不気味さ。


 しかし白ちゃんはなぜか楽しそうだ。前に取り憑かれてたからかな。当事者だから興味でも持っているのか。


 すると、感情のまま瞳が事務所の扉を思い切り開けた。同時に、扉に付けられていた鈴の音が煩く鳴った。


「真希ちゃんはどこだァ!!」


 その怒声と共に、瞳はずかずかと足を進めた。すると突然、瞳の上から人影が落ちてきた。


 いきなり現れたそれはいたずらっぽく笑い、逆さまになりながら天井からぶら下がっていた。


「どうもー真希のお友達」


 瞳は一瞬の沈黙のあと、悲鳴を上げて私の背に隠れてしまった。


「あー、脅かしすぎたなこれ。昼間だからってはしゃぎすぎた」


 真希ちゃんの伯父さんは地面に足を降ろしてそう言った。


「さてと、ようこそ。ここがどういう場所かは知ってるだろ?」


 事務所の中は、風変わりな置物に支配されていた。


 信楽焼の狸の置物に、何の魚のか分からない一枚の鱗が飾られ、なんて書いてあるか分からない神札、壁にかけられたお守りに、ホワイトボードには刑事ドラマでよく見るような写真が数枚磁石で貼られていて、その隣に書き殴った文字の羅列があった。


 しかも魚拓まである。けど……何だか形がおかしい。尾ひれが三つもある。


 そして少し大きな神棚がこちらを見下ろしており、後ろに下がりながら何とか中を覗こうとつま先で立ってみると、どう見てもご神体には見えない何かのキャラクターフィギュアが何体か。


 それ以外にも怪しいものが多すぎる。そして例の金髪の女性はどこにいるのか。


 そう思っていると、部屋の中央に用意されている机の上に紅茶が置かれているのに気づいた。二つ置かれているカップのどちらも湯気が立っており、真希ちゃんの伯父さんが机を囲むように置かれているソファーに腰かけ、そのカップを手に取った。


 アフタヌーンティーだろうか、いつの間にかお菓子も置かれている。そして、もう一つのカップが白く細い指によって持ち上げられた。


 真希ちゃんの伯父さんが座っているソファーの向かい、そっちのアンティークなソファーに、金髪の女性が座っていた。


 確かに、さっき見たときにそこにはいなかった。突然現れたとしか言えない。


 そして、あいかわらず顔が見えない。今は窓ガラスから差しこむ日光のせいだ。


 女性はこちらを向くと、やはり顔が見えない。影になって見えない。だとしても影が強すぎる。


「初めまして、真希のお友達さん。何かご依頼? それとも……気になって来た、かしら」


 柔らかな声でそう言った。その後は何とも上品にティーカップに口をつけ、わずかに傾け紅茶を飲んだ。


「少し待ってて。お茶を用意してくるわ」


 何だか上品な人だ。浮き世離れした雰囲気のせいか、人の姿には見えない。


 そして金髪の女性は、また別の部屋へ行ってしまった。


「探してたのはあいつだろ。さっきからずっと何かを気にしてたからな。それじゃあやっぱりさっきまで真希といたあいつだ」


 真希ちゃんの伯父さんはけらけらと笑いながらそう言った。


「そこの五常真希ファンクラブの諸君! あいつは俺の友人なのでご安心を。ちょっとここのバイトの話を」


 バイト? バイトしてるの真希ちゃん。こんなところで?


「あのー……」


 農が気負いながらも手を挙げた。


「ここは、一体どういうことをやってる場所なんすか」

「扉に書いてあったろ? まあ、第一目標が調査なんだけどな。超常的な現象を調査する事務所、機関と言っても良い。依頼さえあれば除霊もするが。何かないか? そういう話。割高だが解決してやるぞ。何せ俺が噂のどんな強い幽霊でも必ずブッ殺す最強霊媒師だからな!」

「……本当に、真希の、伯父なんすか」

「伯父です。こう見えて四十代でーす。ついでにあっちも四十代」

「姉とかではなく」

「伯父。真希のお母さんが、俺の妹」

「……家系っすね」

「まあちょっと違うんだが……。……子供に話す内容じゃないか」


 まだ何か秘密があるのか、あの五常真希っていう子は。


 すると、別の部屋から、真希くんが急いで扉を開けてこっちの部屋に入った。真希()()()ではない。真希()()だ。


 あの部屋で男装したのだろう。……いや、女装から普段着に変えた……? どっちだ……? どっちだこれ……?


「伯父さん!」

「はいはいそーゆー大きな声は出さない。お友達も来ていることだし」

「え、うわっ!? ほんとだ!?」


 あ、気づいてなかったんだ。


「どうしたの皆、こんな怪しいところに来て」


 やっぱり真希くん目線でも怪しいんだ、ここ。


 すると白ちゃんが「偶然にも見付けてしまったんです」と書いた。これは自由律俳句なのか? ちょっとギリギリじゃないか?


「あーそっか。僕全然気づかなくて……」


 尾行は思っていた以上に上手くいったようだ。


「真希さん、ここでバイトするんだって?」


 洸平さんがそう聞いた。やはり笑顔のままだ。


「そうそう。やっぱり高校生になったからね」

「へぇ、どんなバイトなんだい?」

「うーんとね……まあ、何というか。ここの接客? 宣伝? 事前調査? とかとか」

「やっぱり除霊とか?」

「除霊が出来るほどすごくないんだ、僕は。それはどっちかというと伯父さんの役割。あくまで僕が出来るのは説得だけ」


 白ちゃんに取り憑かれたときは、結構実力行使を使っていたような……?


 すると、今まで背中に隠れていた瞳が顔を出して、ようやく口を開いた。


「……お化けって、ほんとにいるの……?」

「いるかいないかで言えば、全然いる。伯父さんたちが言うには、二十年前に比べれば少ないらしいけど」


 瞳の視線は、自然と真希くんの伯父さんに向いた。


 真希くんの伯父さんは、何やらタカハシ先生と話していた。


「あのー……私、言わば同人作家でして、ちょっとした取材とか、出来ないですかねぇ……?」

「あー、責任者が今不在なんで、戻って来てからで良いですかね?」

「じゃあちょっとだけ……やっぱり怪奇現象とか、見たことあるんですか?」

「それならあそこの大きな子にでも聞けば、それとも、本物が見たいですか?」

「ええ、出来れば」


 真希くんの伯父さんは意地悪そうに笑い、無数の本が収納された本棚を指差した。


 それが突然がたりと震えたかと思うと、その本棚の中の一冊が床に落ちた。


 真希くんの伯父さんはその一冊の本を手に取ると、それを本棚に直した。


 それと同時に、嫌な気配が両肩に覆い被さった。やがてそれは悪寒を感じさせ、それは視線を感じさせた。


 本棚は更に揺れ、狸の置物から何か、呻く声が聞こえる。


 どんどんとそれは強まり、私たちの額には冷や汗が浮かび始めた。そのとき――。


「こら」


 優しい声が聞こえた。


 その声が朗らかに広がると、全ての怪奇現象は唐突に鳴りを潜めた。


 金髪の女性がティーポットと、カップを人数分抱えて戻って来たのだ。あいかわらず、顔は見えない。今回はティーポットから昇る湯気だ。


「普通の人をあまり驚かせるのはダメよ。私たちとは無関係の、現し世の人なんだから」


 注意するように、金髪の女性は真希くんの伯父さんに言った。


「分かってる。ジョークだよジョーク。別にあいつらもこの子たちを殺そうとしたわけじゃないんだから、な?」

「貴方たちも貴方たちよ。もちろん、妖怪や怪異っていうのは驚かして力を強めるのも知ってるわ。だけどやりすぎ、怖がらせすぎよ。ほら、真希のお友達の一人が腰抜けちゃってるじゃない」


 ふと横を見ると、亜美が床にぺたんと座りこんでいる。


 ……それにしても、真希くんの周りもちょっと、ヤバい人が多い気が……?

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


お気に入りキャラ、金髪の女性。

名前は……どうしましょう。今はまだ明かしたくないんですよね。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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