休日の過ごしかた ①
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
「……何で、亜美が家に?」
「お邪魔してまーす」
亜美が、なぜか私の家のリビングに居座っていた。
「合鍵があるからね」
「いつの間に?」
「勝手に」
「……通報しよ」
「許してください何でもしますから」
亜美は土下座の体勢でしばらくそのままでいた。
十分ほどそのまま放置していると、ついに音を上げて立ち上がった。
「何で無視するの!」
「あ、ごめん。アイス食べてた」
「うかつだったね。差し入れにハーゲ◯ダッツのクッキーアンドクリーム買ってきたのに」
「これからも親友でいましょう! 亜美様!」
「それはもちろん」
亜美が、いや、亜美さまが買ってきたクッキーアンドクリーム、金属製のスプーンで一口分すくい上げて、舌の上でじっくりと味わいながら溶かす。
「んで、もう一回聞くけどさ。何で? 家に?」
「休日だからついでに。あーそうそう。来る途中に真希くんと会ったんだけどね? 誘ったけど今から約束があるから無理だって」
「約束? 誰と?」
「さあ? 『ひょっとしてデート!?』って聞いたら頷いたけど」
「……おっとぉ……?」
いてもおかしくはないと思っていたが、本当にいるのか? さては?
「けどその後に『デートに誘おうとしてものの見事に失敗したから気分転換』って」
「それは予定と言うのか?」
「多分……失敗することが分かってたね、あの感じ」
「あぁ……誰なんだろ、誘った人って」
「さあ……?」
亜美はずっと家に居続ける。
「趣味とか無いの? ああ、ツッコミか」
「それはあんたらが変なことばっかりやってるからでしょ」
「何か……寂しい人だね」
「やかましいっ!」
しかし、亜美の言っていることも確か。私の趣味と言えば……何だ? 甘いものでも飲み食いすること?
「どっか出かけようか」
亜美は立ち上がりそう言った。
「何でまた急に」
「どうせ暇でしょ?」
「暇っ……だけどさぁ」
「んじゃ決定。拒否権無し」
亜美はいつもこうだ。私の意見はほぼ度外視。いつまでも私の手を無理やりひっぱって私の先を歩く。私よりもちっちゃいのに。
私は、そんな所が――。
「涼夏?」
「……あぁ、何?」
「ゲーセンでも行く? 何なら女子高生みたいにショッピングでも?」
「それが同時に出来る場所が近くにあるでしょ」
「はい天才来た、行こっか」
「……お金とかは大丈夫なの?」
「多分へーき」
こいつ割と金遣い荒いからな……本当に大丈夫かな。
電車で乗り換え無し十五分。そこから徒歩一分もかからない地上六階地下十階の大型デパート……デパートかこれ? デパートって言って良いのか?
宿泊施設もあるし温泉もあるし、デパートかこれ? 多分違うよな?
日本の法律上、これは何だ? いや本当に、なんだコレ。宿泊施設にしては、それ以外の面積が広すぎる。
かと言ってデパートと言ってしまえば、あまりにもそれ以外の要素が多い。
本当に、何だここ。まあ、ここまでの広さとわけわからん店も多くあるため、私たちのような学生にとっては非常にありがたくもあり、非常に面白くもある。
一つ問題があるとすれば、広すぎて移動が面倒だ。
人の行き来が目まぐるしく流れ続ける入口を通り、何度見ても目が痛くなるほどに密集し経路もよく分からないマップとにらめっこを続け、とりあえず服屋に向かった。
とは言っても、服が買える店だけで何店も……マイナーから高級まで……かと言ってUNI◯LOはあれだし。
「マネキンって怖くない?」
私はそう話題を振った。
「何をどうしたら怖いって感じたの?」
「ほら……何か、喋らねぇくせにいっちょ前に人間みたいに服着てるのが」
「不気味の谷現象って言うんだっけ?」
「そうだっけ? それってこんなやつだっけ?」
「あー、じゃあもしかして日本人形とか、フランス人形とかも苦手?」
亜美は人差し指を立てて、それを揺らしながらそう言った。
「いや、あれは平気。マネキンって……動きそうじゃん?」
「……夜に見ると、日本人形もそうじゃない?」
「いや、人形は、動いても小さいからすぐに対処出来るから怖くない。蹴ったり投げたり」
「わーおアグレッシブ」
「マネキンは私よりデカいやつがいるし、めっちゃ硬いし、あれで殴られたら、多分死ねる」
「それはそう。えーじゃあ何でだろ」
「亜美はそういうの無いの?」
「私は……うーん……何だろ。あれ、あれだよあの……えーと、名前を忘れた」
「自分の怖いものの名前を忘れるなんてことある? 強烈に記憶に刻みこまれるでしょ」
「仕方ないでしょ、忘れっぽいんだから」
こいつはやけに忘れっぽいことがある。ただ、大事な場面では全然忘れない。つまりキャラを作っている可能性が大だ。
ま、それには触れないのが、大人というものだ。
目的の店に入ると、何だか見覚えのある大きな人影が一つ。
「あっ、白ちゃーん!」
一瞬早く気づいた亜美が、ぶんぶんと手を振って、試着室から出た白ちゃんを呼んでいた。
白ちゃんも気づいてくれたのか、会話用のノート片手に小走りでやって来た。
すぐにノートの上にボールペンを走らせ、それをこちらに見せた。そこには「こんにちはここで会うなんて奇遇ですね」と書かれている。
あいかわらず、よくぱっと思いつくものだと感心する。
「白ちゃんも服を?」
そう聞くと、白ちゃんはしつこいくらいに頷いた。すぐにノートに筆を走らせると、そこには「夏服を早めに買っておこうかと」と書かれている。
用意周到、というべきだろうか。それとも心配性?
まあ、夏にうだうだと考えるよりは、その前のシーズンにちゃっちゃか決めたほうが賢いとも言えるか。
白ちゃんは筆を走らせ、そこに「今日は真希くんはいないんですか?」と書いた。
「あー、そうだ。ちょっと聞きたいんだけどさ。真希くんがデートに誘ったっていう相手しらない?」
亜美が面白がってそう聞くと、白ちゃんは驚愕した様子を見せながら、がったがたに震えた字を見せた。そこには「私はそんな話は知りません」と辛うじて読める字で書かれていた。
本当に動揺してるなこれ……。そう言えば真希くんファンだったこの子……。
「あ、でも断られたから別の人との予定を入れたんだって。その人も知らない?」
白ちゃんは「知りません聞いていません本当に」と素早く書いた。
「ひょっとして瞳ちゃんかな?」
「瞳はテンパって断るタイプでしょ、あれ」
「そう? 嬉々として約束してあわよくばずっこんばっこんやろうとするタイプだと思ってるんだけど」
「迫られたら気絶するタイプだってあれ」
真希くんは秘密主義だからなぁ……ぼかさずに言ってくれれば、こんな考えることもないのに。
……何で私、こんなに気になるんだ?
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
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