廃部危機!
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
真希くんはすやすやと眠っていた。
その横で、少々危ない血走った目で瞳が真希くんの寝顔を見つめている。ちょっと怖い。
「ふへ……ふへへ……今の内にちゅーでも……」
あなたはそれで子供が作れるって思ってる純粋ピュアピュアガールでしょうが。そこらへんの貞操観念どうなってるのよ。
ついでに、白ちゃんは今日家庭の用事でいない。やはり料亭って忙しいのだろうか。
直後、瞳の動向を察知したのかは知らないが、真希くんは突然起き上がり、瞳の額と激突した。
「ああごめん瞳ちゃん!? いやそんなことよりも!! そんなことじゃ無いけどそんなことよりも!!」
真希くんは部室の扉の前を凝視した。それにつられて、悲鳴を発しながら死にゲーをプレイしている会長も扉のほうに目を向けた。
結果として操作が止まったため、会長がやっているゲームは簡単にゲームオーバー。また会長が悲鳴を発した。
すると、この部室の扉が勢い良く開かれた。そこから現れたのは、教師陣の中でもガタイが良いことで評判の教頭先生。名前は……もう忘れた。
……こう思うと、この学校の教師陣って本当にヤバいやつらしかいないんじゃ……? 一人は未成年淫行を狙うロリ教師、一人は爆発狂いの化学教師、一人は……この、うん。巨人。校長先生が唯一のマトモ人か。
教頭先生身長何cmあるんだよ。2mは超えてるじゃん。目も光が無くて怖いし。
よく見れば、肩にタカハシ先生が担がれている。恐怖で震え、なすがままにされているようだ。
「……部長は誰かな」
教頭先生は低くうなるようにそう言った。真っ先に手を挙げたのは真希くんだった。
「そうか。今日からこの部活動は、廃部とする! タカハシ先生は人質だ」
色々待てェ!?
「そんな横暴な! 職権乱用だ職権乱用!!」
亜美がそう叫んだ。いや……職権乱用って言うか……まあ、そうか……。
「元々部活内容も不明瞭!」
それはそうだ。
「部員も問題児だらけ! 入学時の書類でも性別不明の生徒! 危険物爆発物持ち込みの生徒! 生徒会の仕事をサボってゲーム三昧の生徒会長! 素行不良の生徒! 挙句の果てに担当顧問は職場にR18本を複数刊持って来て隠れて読んでいる始末!! 自由な我が校でもこれは問題である!」
こいつ至極真っ当なことしか言ってねぇ!! やりかたはアレだけど考えはごもっとも!!
「そして、昨日起こった爆発事件もこの部活が関与しているとシンカイ先生はそう証言した!!」
それに関してはとばっちりだ!! それはシンカイ先生を解雇しろ!!
「数々の問題! そして所属生徒の素行の問題! よって廃部とする!!」
シンカイ先生の爆発事件意外は結構そうされてもおかしくない問題ばっかりだぞ!? 何も言えねぇ!!
すると、どういうわけなのか亜美は部室の後ろに置かれていた机を一つ、教頭先生の前に置いた。
その机の上に、真希くんは右の肘を立てて手を出した。腕相撲の体勢だ。
「つまり、勝てば廃部は無しってことですね?」
亜美はそう笑いながらそう言った。
どこにそんな話があった?
「ああ、そういうことだ」
あ、そういうことだった。やっぱり教頭先生もヤバい教師だったか……。
すると、教頭先生はもう泣きそうになっているタカハシ先生を降ろすと、いきなりマッスルポーズを決めだした。
直後に教頭先生の服は風船に針を刺したように弾け飛び、その屈強な筋肉が広がった。
「このポーズの名前を知っているかね、五常真希くん」
「ええ、ダブルバイセップス・フロントですよね」
「そうだ。脚から上体にかけて前面から見える筋肉を見せるためのポーズだ。君はこの筋肉の前に、怖気づくこともなく立ち向かう。そういうことで良いのだな?」
「もちろん。廃部にはさせませんよ」
ぶっちゃけ廃部にしようとする理屈は真っ当すぎてぐうの音も……。ああ、こんなことは言わないほうが良いか。
教頭先生も右の肘を立て、真希くんの手をしっかりと握った。両者左手は机の端を掴み、息を整えた。
亜美が両者の手を包み、カウントダウンを始めた。
「スリー! ツー! ワン!」
ゼロのカウントダウンの直後、両者の間に光が爆ぜた。いや、まあ、錯覚だろうが、二人から発せられている異常なほどの熱量は、錯覚ではない。
両者拮抗している。いや、若干真希くんが有利か? 若干教頭先生の手が押されている。
「この細い腕にここまで力が……!?」
「何でなんでしょうねこれ! 聞いてみたら筋肉密度がなんちゃらかんちゃらって言ってましたけど、それにしては体重は標準ですし!!」
すると今度は、机から今にも砕けそうな音が聞こえてきた。よく見てみれば、二人の肘がついている机の部分に、ヒビが走っている。
すると、真希くんが大きく声を発した。そのまま教頭先生の手を一気に机へ押し倒そうとした。
しかし教頭先生の手の甲が触れる直前、その動きはぴたりと止まった。
「まだまだァ!」
真希くんの言葉とは裏腹に、その腕はぴたりと止まっている。
そして今度は、教頭先生が吠えた。一気に真希くんの手は反対側へ押し返され、その心意気も届かずに、真希くんの手の甲は机の上に押しつけられた。
二人とも汗だくで、今にも倒れそうなほどに息を荒くし、真希くんは机に突っ伏した。
「はっ……はぁっ……私の、勝ちだ。……何か他に策があるなら、受けて立とう」
「……これだけは、使いたくなかったけど……!」
そう言って真希くんは顔を上へ向けて、大きく息を吸いこんだ。何をするのかと教頭先生は身構えたが、真希くんはただ声を発しただけ。
「伯父さーん!!」
その声が部室内を木霊した直後、外が見える窓ガラスが割れ、誰かがここに飛びこんだ。
いや、見覚えがある。あの白い目隠し、あの白い手袋。見覚えがある。
真希くんの伯父さんだ。白いワンピースにつばの広い白い帽子を被り、窓を突き破って侵入してきたのだ。
真希くんの伯父さんは状況を一瞥すると、教頭先生の姿をじっと見た。
「……えーと、露出狂のかた……?」
「違います。教頭です」
「ああ、教頭先生……。この学校のお里が知れますね」
それは……困った。ちょっと否定が出来ない。
「それで? どういう状況? これ」
「かくかくしかじかで」
「うまうましかじかってことか」
それで伝わるのか。
「勝ったら明日いちごミルク果肉入りのちょっとお高めのやつ買ってあげますから、ね?」
「お、マジ? 甥に奢らせるのはちょっとアレだが……んー、分かった。じゃあ今度は俺とってことで」
さすがにこの部活に関係ない人は――。
「良いでしょう」
良いんだ。それで良いんだ。もう戦いたいだけじゃんこの人。
「右か? 左か? おすすめは左だ」
「いーや、右だ」
「もの好きだな。わざわざ負けるほうを選ぶなんて」
ずいぶんと挑発的に言う。本当に大丈夫なんでしょうね?
二人は腕相撲の体勢をとり、合図もないままいきなり始めてしまった。
やはり実力は拮抗。だと思ったのだが、教頭先生は顔を赤くしながら腕を倒そうとしているのに対し、真希くんの伯父さんは涼しい顔だ。
しかし腕は動かない。つまりこれは……。
「俺は普通の人間に負けるほど、衰えちゃいないんだ」
「これが本当に人間の力か……!?」
「人間人間。ちゃーんと人間」
逆に楽しんでいるそぶりにすら見える。まあ……真希くんの伯父さんなら、何となく強いのには納得するけど。
「さーん!」
真希くんの伯父さんの手はいきなり机の触れる寸前にまで押し返された。
「にー!」
真希くんの伯父さんは子供のような笑みのままカウントダウンを進める。
「いーち!」
すると、いきなり教頭先生の手が一気に押し返された。
「ぜーろ!!」
思い切り叩きつけられたときの衝撃は想像を絶するもので、机を破壊し、その下の床にまで叩きつけられた。
床材にヒビが走り、その破片が僅かに散った。
「と、言うわけで、俺はこれで」
ひょうひょうとした真希くんの伯父さんは、そう言って手を離し、突入して来た窓から外に飛び降りた。
……えーと、これで、廃部は回避って……こと?
教頭先生は立ち上がり、飛び散った自分の服を拾い、真希くんのほうを見た。
「……良いだろう。君たちの熱意に負けた」
いや、負けたのは真希くんの伯父さんにでしょ。私たちを巻きこまないで。
「廃部は無しだ!」
それは嬉しいんだけど……なんか……なーんか、釈然としないなぁ……。
そのまま教頭先生は部室を後にしようとしたが、そんな教頭先生の手を真希くんは掴んだ。
「教頭先生」
「何だね」
「机と、窓、ついでに床の修繕費は頼みました」
「……学校の費用から――」
「教頭先生の決闘のせいなので教頭先生の責任ですよね?」
おっと、最後に真希くんが嫌がらせをしている。
教頭先生は少しだけ悩んだ素振りを見せると、そのまま走り出してとんでもない速度で逃げた。
やっぱりこの学校、おかしい人しか集まってないよな……?
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
しっかりした大人役の教頭先生。本当ですよ?
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