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真希くんとナカノさん ②

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 ナカノさんは保健室のベッドの上でうなされていた。


 私と真希くんは、色々いたたまれなく、彼女の傍にいる。


「……何か、あれだね」

「……何?」

「……この子、猥談の時どうするんだろ」

「取り巻きが阻止してるんじゃないの?」

「あぁ……」


 真希くんはもうしわけなさそうな顔を浮かべながらも、マジックペンを片手に持っていた。


「じゃあ、何書く?」

「イタズラはほどほどに。イジメって騒がられたら嫌だし」

「じゃあ辞める」


 危ない危ない。また取り巻きに言いがかりをつけられるところだった。


「……ねえ、涼夏ちゃん」

「今度は何?」

「クッキー食べる?」

「……食べる」


 一体いつの間に作っていたのか。私はハート型に焼かれたピンク色のクッキーを口に放りこんだ。


 先生に見つかったら厄介だぞぉー?


 すると、ようやくナカノさんが目を覚ました。彼女は辺りをきょろきょろと見たかと思うと、真希くんに視線を固定させた。


「……何か……悪い夢を見ていたような……」

「……気のせいですよ、気のせい」


 言えない……放送禁止用語をささやいて気絶してたなんて……取り巻きも言わないだろうから別に良いか……。


「それじゃあ僕は、先生呼んで来るよ」


 そう言って真希くんは保健室を後にした。


 ……さて、若干気まずい。


「……あのー……」

「……何よ」

「……もしかして、真希くんのことが好きだったり?」

「何か文句でも?」

「いや、別に文句だなんてそんな。わたくしのような芋女が貴方様のような一軍女子に言いたいことなど何も」

「……好きだったらなんなの?」

「いや、別に。聞きたかっただけ」


 ナカノさんは顔をしかめ、私が食べているクッキーを口から奪い取った。


「何これ」

「クッキー」

「あんたは私が地面を指さして『これは何?』って聞いたら『地球』って答えるの?」

「うん」

「でしょ? だから――。……うんなの?」

「まず分かりにくくない? その例え話。例え話は明確に知能が浮き彫りにされるから辞めたほうが良いと思うんだけど」

「……あんた、だいぶ辛口ね」

「試してみる?」


 私が唇をつき出すと、ナカノさんは露骨に嫌な表情を浮かべた。それはそれで失礼だろ。


「で、あんたはどうなの?」

「何が」

「真希くんのこと」

「あぁ……ま、ただの友達。それ以上でもそれ以下でもない」

「本当に?」

「本当に。ただ私の家に泊まっただけ。その時は女のコだった」

「……ふーん。ちゅーはしたの?」

「……それさぁ、貴方にとってはそん何大事なこと? いや、してないんだけどさ」

「もちろん。大事じゃないの?」

「……いや、まあ、大事と言えば大事だけどさ? もっとあるじゃんこう……」

「愛し合ってる二人がするのは、それくらいでしょ。他に何があるの」


 あーもうなんだこのプリキュアみたいなピュアピュアさ。だんだんめんどくさくなってきた。


 言ってしまおうか……いや、そんなことしたらまた気絶するなこいつ……。


「じゃあもう押し倒して真希くんとヤれ。私は止めない。真希くんがどう思うかは知らないけど」


 するとナカノさんは、その顔をリンゴみたいに真っ赤にさせた。


「そ、そんな……真希くんとちゅーだなんて……恥ずかしい」


 その歳で性知識皆無のほうがよっぽど恥ずかしいだろ。おっと危ない。つい口から出そうに。はしたないですわ涼夏。おほほほほ。


「……あーもうお似合いお似合い。さっさとキスしてゴールインして」


 もう話すのも面倒くさくなってきた。さっさと離れたい。


「じゃあ、あんた、練習台になってよ」

「……は?」

「流石にぶっつけ本番は無理」

「……いや、ぶっつけ本番以外無いでしょ……キスって……」


 ナカノさんはベッドから飛び降り、私にじりじりと近寄った。


「な、なんで近づいてくるの……」

「あんた言ったでしょ。『試してみる?』って」

「いやっ……それは、ノリっていうか冗談っていうか……」


 私とナカノさんはベッドを挟み、にらみ合いを続けていた。


「ほら、ファーストは好きな人に。ね?」

「これはファーストにならないってことで」

「……おかしいでしょ色々! それで良いのナカノさん!?」

「練習くらいさせろよ!!」

「なんでそっちがキレてるんだよ!! キレるの私の方でしょ!!」


 なんなんだこいつ!! 基本的で普遍的な話の一切合切が通じない!! 周りと違う価値観で生きてる!! 親はどんな教育をしたんだ親は!! 親の顔が見てみたい!!


「いいから、減るもんじゃないしさ! ね! ね!!」

「減るだろ何かが!! 尊厳っていうか、女子高生としての何かっていうか!! とにかく色々!!」

「大丈夫! 私は同性愛に関しても寛容だから!!」

「そういう問題じゃねぇだろこれは!!」

「ほら! ほら! 別に私は気にしないし! 誰も見てないし!」

「そういう! 問題じゃ! ねぇだろって! 言ってんだよ!!」


 つい先ほどまで気絶していたとは思えない身のこなしでナカノさんは私の背後に回り、そのままベッドの上に押し倒された。


「いやー! イヤだー!! こんなわけ分からないファーストキスはイヤだー!!」

「ちょ! 暴れないでよ! どうせ唇を合わせるだけだから!」

「それがイヤだって言ってんだろ!! 真希くんに頭焼かれたせいで脳が機能不全に陥ってんのか!!」


 私の抵抗が虚しくも抑えられ、少しずつナカノさんの顔が近づいてくる。


 ああ、本気で嫌だッ! こんな、こんなギャルとなんて嫌ッ!! これならまだ真希くんとのほうがマシッ!!


 ついには、唇が触れる直前。保健室に真希くんが戻ってきた。同時に、私と視線が交わった。


「……」

「あッ……いやっ……」

「……――ないと……」


 真希くんはポケットをまさぐり、そこからマジックなら上出来の包丁を出した。


「殺さないと……!」

「真希くん!?」


 真希くんは血走った目で私を押し倒すナカノさんを睨んでいた。


「殺さないと……!! 殺した後は水酸化ナトリウムで肉を溶かして骨を砕いて東京湾に撒かないと……!!」

「物騒! 物騒だから辞めて真希くん!! ほら! ほらほら!! 私は無事だから!! さっさと離れろナカノなんとかさん!!」


 私の全力の蹴りはナカノさんの体を宙に舞わせた。


 真希くんはそんな状況に困惑しながらも、その包丁を背中に回すと、どこに隠したのか消えてしまった。


「……それで、何があったの、涼夏ちゃん」

「……まあ、意味不だとは思うんだけど……キスの練習って言われて迫られた」

「……うん、意味不明! けど分かった。ちょっと待ってて」


 真希くんは床に倒れているナカノさんに近づくと、クッキーが詰められた小袋を手渡した。


「僕は好きじゃないなぁ、そんなことをするの。初めてはちゃんと好きな人と、でしょ? きっとそのほうが胸がどきどきするし、良い思い出にもなる。今は――」


 真希くんは自分の指に唇を重ねると、ナカノさんの前髪を上げて、額にその指で触れた。


「これだけ。今はこれで満足してね」


 真希くんは天使のような笑みを零し、慈愛の目でナカノさんを見下ろした。


 ナカノさんは再度真っ赤に頬を染め、そのまま悲鳴を発しながら保健室から走り去った。


「あ、クッキー渡そうと思ってたのに」


 真希くんはほほ笑みながらそう言った。


「けど、本当に性知識が幼稚園児で止まってるんだね。あれだけで赤面して逃げるなんて。……食べる? このクッキー」

「じゃあありがたく」


 ……なんだろう。なんだか少しだけ、心に影が見える。……真希くんのクッキーは美味だ。それを貰えて嬉しいはずなのに。


 ……なら、理由はそれの前だ。……恐らく――。


「……涼夏ちゃん?」

「……あ、ああ、うん。何?」

「……嫉妬してる?」

「何に?」


 真希くんはにんまりと笑い、顔をずいっと近づけた。そのまま私の前髪に触れ、その奥の額に唇を付けた。


 ひたすらに困惑していた私の理性がようやく追いついた頃、真希くんは私の前でくしゃりと笑みを浮かべていた。


「今はこれだけ」


 ……ああ、本当に真希くんは、私の心を弄ぶのが得意らしい。


 ――――――


 ※おまけ タカハシ先生VS鹿


「……鹿、ですよね……」


 巨大な角を持つ牡鹿は、タカハシ先生を睨み、頭を降ろし走り出した。


「なんでこっちに来るんですかー!!」


 タカハシ先生の小柄な体に鹿の角が直撃する瞬間、誰かがタカハシ先生の体を横に引いた。


 それは大柄の初老の男性、この学校の教頭先生である。


「えぇ!? 教頭先生!?」


 教頭先生は鹿の角を掴み、ぐるりと振り回した。


「教頭先生!?」


 教頭先生はそのまま走り出し、山の中へ消えていった。


「教頭先生ェェー!?」

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


教頭先生フライング回


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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