表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/34

嫌なお泊り会 ③

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 私と真希ちゃんは、私の部屋でクソゲーを楽しんで……楽しくないこのゲーム!


 敵が強すぎるし、BGMがクソだからイライラするし、ストレスがマッハで貯まる!


 それを真希ちゃんは笑いながらやってるし! 怖いこのコ!


「クソですねぇーこのゲーム」

「クソ of クソでしょこんなの」

「これでも一応クソゲー大賞に選ばれなかったんですよ。まあ、その年に本当の本当の本当にヤバいゲームがあっただけなんですけどね……。充分大賞が取れると思うのに」


 何でそんなクソゲーを私はやってるの!?


 相当の時間遊んでいると気分が悪くなって来る。目が痛いというか、頭ががんがんする。


「……そろそろ寝る?」

「そうしましょうか」

「……一応聞いておきたいんだけど、私、たちの悪い幽霊に狙われてるのよね?」

「ええ、そうですよ」

「……こんなゆっくりしてて良いの……?」

「まあ、多分大丈夫ですよ。あーでも、私の傍から離れない方が良いと思います」


 やっぱり危ないんだ……危ないのか? 今の所ちょっと驚かして来るNTR許さないおじさんおばけにしか思えない。


 まあ、今は真希ちゃんを信じよう。


 部屋の証明を切って、私はいつものベッドで、真希ちゃんは用意した敷布団の上に寝転がった。


「……こうやって友達招くのって……いつぶりだろ」

「私は初めてですね。友達の家に行くのも、こうやってお泊りするのも」


 真希ちゃんはくすりと笑っていた。こんな暗闇でも眩しく感じる笑みは、私にとってはもったいない。


「……まあ、こんな形で招きたくはなかったけど」

「……つかぬことを聞きますが、涼夏ちゃんって好きな人とかいるんですか?」

「……さあ」

「さあ、ですか。……そうですか。……そう、ですか」


 ……何だか、真希ちゃんの表情に若干の陰りが見える。もしかして返答間違えた? クッソ……さっさと陰キャ卒業すれば良かった……!


「……そういう真希ちゃんは?」

「いますよ」

「……え、誰」

「教えません」

「えー……じゃあ性別だけ教えてよ。それで半分に絞れる」

「おーしーえーまーせーんー」


 真希ちゃんには好きな人がいるんだ。


「そう言えば、クラスにサツキさんって人がいますよね」

「あーいるわね。話したことないけど」

「あの人大学生と付き合ってるらしいですよ」

「おっと、その大学生ろくな奴じゃないよ、絶対」

「ですよねぇ……。話を聞く限り一狼した大学三年生らしいので……まあ、まあまあ、年齢的には……」

「OUTでしょ。22と15か16は。そりゃ、両方社会人ならまだ不思議じゃないけど、片方未成年よ? 中学卒業したての。他にそういう人はいないの?」

「ユウキさんには中学生の恋人がいるらしいです」

「あいつ? あいつモテるのにもったいない」

「あの人若干苦手です。私が女のコの時に体をべたべた触ろうとしてくるんですよ。「同性だから大丈夫だ」って。男のコの時は全然触らないのに。それに勝手に近づいて来て、取りまきの女子が嫉妬してイジメにまで発展しかけたんですから。いやー危なかった」

「……どうしたの?」

「全員のお家に伯父さんと伯父さんの部下と一緒に行きました。皆さんきちんと謝ってくれて今は仲良しですよ」

「……ユウキさんが昨日来てなかったのって……」

「……知らない方が良いことも、世の中にはあると思うんですよ。ね? そう思いますよね? 涼夏ちゃん?」

「……ソウネ……ワタシモソウオモウ……」


 ……闇が深い事案には、触れない方が吉だろう。


 ……しかし、好きな人か……。……そう思うと、案外ぱっと思いつかない。初恋と言える初恋は、恐らく小学生のころだ。


 あの子は足が一番速かった。バレンタインの日にチョコを渡したのは良い思い出だ。


 そういう色恋沙汰に興味が薄れてきたのは中学生のころ。まず……何なんだろ。男子がとにかく気持ち悪く感じるようになった。理由は分からないし、多分思春期特有のものだと勝手に理解したつもりでいる。


 まず小学生のときの初恋も、あれは本当に恋と言えるのか分からない。まだ性と言う区分があやふやな時期だったのもあるだろう。


 ……恋とは、なんだろうか。人が人を愛するのは、とても美しく素敵なことだと思っている。私は恋に恋い焦がれているのだろうか。


 つまり私は、本当の恋をしたことがないと言えるのだ。ロマンチックなことを言っているのは理解しているが、考えればこう表現してしまう。


「……あの、涼夏ちゃん」

「なーにー」

「……こう聞くのは、ちょっとあれかもしれませんけど、付き合うなら男性ですか? 女性ですか?」

「……さあ? ……付き合ったことないから分かんない」


 そこら辺の感覚は、どうにも培われていない。それとも世にいる大人たちは皆、それをはっきりとさせずに人を愛しているのだろうか。


 なら色々納得だ。それがどんなことを意味するのかあまり考えずにいるのなら。もしくは、それが正しい人の愛し方なのか。


 愛することに理由はいらず、恋することには理屈はいらない。しかしそうだとすると、私の疑問が尽きないことが不思議だ。


 ふと真希ちゃんのほうを見ると、彼女は目を瞑って眠る準備を始めていた。


 ……寝顔も可愛い。もう何でも可愛いでしょこの子。


 ……真希ちゃんはよく私に話しかける。入学した時から、真っ先に真希ちゃんは私に話しかけた。色んな人から話しかけられていたのに、私をいの一番に。


「……何でなの? 真希ちゃん」


 彼女は答えない。


 ……今更ながら、このぴょこぴょこと動いているアホ毛。どんな原理で動いているのだろうか。筋肉でも通っているのだろうか。


 好奇心に負けてアホ毛に手を伸ばし、それを握った。意外としっかりと――。


「……あ」


 ちょっと力を込めると、そのアホ毛が畑の人参のように抜けてしまった。


「……さて、と。……やばっ……」


 そーっと、真希ちゃんが起きないように静かに動いて、アホ毛を真希ちゃんの頭に突き刺すと、また元気良くぴょこぴょこと動いた。


 さてはあのアホ毛……髪の毛じゃないな……? ミトコンドリアとか、そういう類の人間と共生するタイプの生物か……?


 ……まあ、寝よ。難しいことは考えずに、目を瞑って静かに。


 ……静かに眠ろうとすると、嫌でも思い出してしまう。私を狙っているあの長身の子の表情。


 私に対しての恨み辛みを含んだ狂気の目。


 ……思い出すたびに、私の心の中に恐ろしい影が写る。その後には、徐々に怒りがふつふつと湧いてくる。


 しかしそれでもやっぱり怖い。どれだけ怒りが湧いても、それに敵意を向けることが出きない。しようとすると、わけも分からない震えが体を支配する。


 だから……だからなのか、真希ちゃんには感謝している。助けてくれて安心した。


 ……だから……えーと、何を言おうとしたんだっけ。……私は、真希ちゃんに感謝している。それに別の感情は存在しない。……当たり前のことを、なぜ何度も私は……。


 私が目を瞑って数時間が経ったころだろうか。突然の尿意に襲われた。


 何でこんな日に限って私の膀胱は……まあ仕方ない。


 深い暗闇に怯えながら私はトイレに向かい、諸々の事情を済ませた。


 ただ、トイレから出ようとすると、二度だけノックが聞こえた。


 おや、真希ちゃんもだろうか。そう思いすぐにドアノブに手をかけたが、急に背筋がぶるりと震えた。


「……涼夏ちゃん?」

「……ああ、ごめん……」


 ……私の額に汗が浮かんだ。それは少しずつ重力に負けて落ち、まぶたの中に入りこんだ。


 心臓が高鳴る。指先が震える。息が……難しい。唾液が絡みついたのか、それとも喉奥に何かが詰まっているのか、もしくは――。


「早く出て下さい。漏れそうなんです」

「……ごめん……動けない……何でだろ……」


 ……怖い。


 扉の向こう側が、とても恐ろしい。これの向こう側にいるはずの真希ちゃんが……とても、恐ろしい。


 何か違う。向こう側にいるそれは、真希ちゃんのそれとは違う。真希ちゃんの、綺麗で清々しいほどの空気ではない。


 もっと、もっと、暗く、そしてクマが睨むような鋭さ、刃物を首元に当てられたような冷ややかさ。


「……誰……?」


 その一言の後、向こう側にいる誰かが扉を二回ノックした。


「涼夏ちゃん?」

「……誰なの?」

「早く出て下さい」

「だから……誰なのって聞いてるでしょ。答えてよ」

「……私は、五常真希ですよ」

「だから! 誰なのかって聞いてるの!! 日本語通じない!?」

「……開けて下さい」

「うっせバーカ!!」


 すると、扉が強く叩かれた。その向こうから怒声に近い叫び声がこちらに向かって来る。


「お前がいるからこの子は壊れたんだ!! お前さえ!! お前さえいなければ!!」

「はぁ!? 責任転嫁もはなはだしい!! 勝手に惚れて勝手にふられただけでしょ!? 私関係ないし!!」

「寝取ったのはお前だろうが!!」

「だから!! 寝てから言え!! この場合BSSだろうが!!」

「あぁ!? 先に好きになったのはこの子だ!! まず!! 認めないぞ!! あの子が女の子だなんて!!」

「……それに関しては、どっちか分からないから」

「……確かに」

「……そうよね」


 扉を叩く音が聞こえなくなった。……少し、気まずい。


 そんな時間が相当流れた後、再度大きく扉を叩かれた。


「いーや!! 私はこの子のために恋を成就させなくてはならない!! それが私の役目だッ!! だから死ねッ!!」

「じゃあそっちが死ね!!」

「この子のほうが、彼を愛している!!」

「はぁ!? そんな一回しか話しかけられてないデカ女より私のほうが好きだが!?」

「あァ!? 回数がそんなに大事か!?」

「大事でしょバーカ!!」

「さっさと開けろ!!」

「うっせバーカ!!」


 ドアノブが何度も、乱暴にガチャガチャと動かされたが、どうやら流石に扉を破るほどの怪力はないらしい。あったら怖いけど。


 言い合いが数分ほど続くと、もう夜明けの時間だ。そろそろ喉が潰れてしまう。


 すると、扉の外から何やら大きな音が聞こえた。何かが殴られた音、倒された音、乱戦する音。そんな……それに似た音が何度も聞こえた。


 少しだけした後、扉の前から声が聞こえた。今度は、優しく綺麗な声だった。


「もう大丈夫、涼夏ちゃん」


 真希くんの声だった。


 不思議と、先程まで感じていた不気味さが、すーっと消えていった。私は落ちついた指先で扉を開けた。


 真希くんが私を見ながらほほ笑んでいた。


 そんな笑みが、とても懐かしく感じてしまい、とても優しく感じてしまい、私は気が抜けて膝を崩してしまった。


 そんな私に、真希くんはおろおろとしていた。


「だ、大丈夫涼夏ちゃん……!? どっか痛い……!?」

「いや……何か……安心して……はぁぁー……」


 真希くんは私の顔を覗きこみ、私の体をその両腕で包んだ。


「うん、大丈夫。僕がいるから。ずっと守ってあげるから、大丈夫」


 ……今更ながら、いつの間に真希ちゃんは真希くんになったのだろうか。服装ももう男子だし。


「……さて、と」


 真希くんは私から腕を離し、その視線を後ろに向けた。


 私もそのほうへ視線を向けると、長身の女子が真希くんの伯父さんに見事なまでの絞め技をかけられている、ちょっと状況が掴めない場面が見えた。


「もう良いよ伯父さん。あとはこっちから話す」

「そうか? なら仕方ない。後はお若い二人で」


 そう言って真希くんの伯父さんは、瞬きの間に消えてしまった。


 真希くんはその場で倒れ伏している女子と視線を合わせるようにしゃがむと、僅かに眉間にシワを寄せながら会話を始めた。


「さて、色々聞きたい。……何で、涼夏ちゃんのほうを狙ったのか、とか」

「……あれは……許しちゃ……」

「……そう。僕がどれだけ、どんな気分で涼夏ちゃんを守ってたと思う?」

「……しかし……私は、この子が泣く姿を見たくない……! この子の初恋が……そんな悲恋で終わらせたくない……!!」

「そっか」


 真希くんはそれでも笑みを浮かびながら、その子の額を人差し指で押した。


「僕は彼女を泣かせないよ。その思いに……答えることは出きないだろうけど。だから、安心してほしい。せめて氏神となって、この子の新たな縁を願ってあげて」

「……本当か……?」


 徐々にその女子の喉から出ているとは思えないほどの、低い中年男性の声に変わっていった。


「……この子は……もう泣かずに済むのか……?」

「もちろん。こっちも色んなことを誤解してたみたいだから。同性愛絶対許すマジじゃなくて、僕が女のコかもしれないと思って、その子が泣いてたから許せなくなったんだね」

「……済まない……」


 ……何か、感動的な雰囲気を出してるけど、ぶっちゃけどうでも良い……。はた迷惑な痴話喧嘩に、友人である私が巻きこまれただけ……。


 もう……眠い。寝ていいかな。でも何だか寝たら雰囲気台無しな気がする……。


「……ありがとう……ありがとう……」

「うん。じゃあそろそろ出ようか、そこから」

「……ああ……いつまでも……借りるわけにはいかないからな……」


 長身の女子が目を瞑ると、ぽかんと口を開き、そこから男性の影が飛び出した。それは天に登るかのように上昇すると、霞のように消え去った。


「……さて、涼夏ちゃん。もう七時になっちゃった。朝ご飯にしようか。制服に着替えてきて。僕は作ってるから」

「あ……うん。この子はどうするの?」

「外に放置しておけば、多分目覚めて自分で帰ると思うよ。と言うわけでぽいっと」


 真希くんは、どこか上機嫌だった。


 ……そう言えば、そろそろ両親が帰って来る。まあ、ちょっと驚かれるかもだけど、どうせ女友達だか……ら……。


「……今、真希()()か……」


 ……ヤッバイヤッバイ!! あらぬ誤解を起こす!!


 制服に着替えて諸々の準備を整えると、すぐに私室から飛び出した。


 いつの間にか制服に着替えている真希くんが私の姿を見てほほ笑むと、景気よく話しかけた。


「もう少し待ってて。今色々作ってるから。The 朝食っぽい――」

「それよりも真希くん!! もうすぐ私の両親が――!!」


 すると、玄関の扉が開く音が聞こえた。それと同時に、お母さんの快活な声が家中に響いた。


「やっほー涼夏ー!! 帰ったよー!! って別の靴がある……!!」


 あー……終わった。はい、もう修羅場確定。もう諦めましょう。


 お母さんが走ってこちらに向かって来る音が聞こえる。リビングに勢い良く入る気配を感じると、そこから黄色い声がこちらに届いた。


「アナター!! 涼夏が男子を連れこんでるー!!」

「ああ、どうも。五常真希です。お邪魔してます」

「きゃーイケメン!! 教えてくれてもいいのにぃ涼夏ぁ?」


 ……あぁー……これだから両親が嫌いなんだ……。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


何だこのイケメン。流石五常の子。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ