うちの子ってマジ天才!
お読みいただきありがとうございます!
先日コタツをお迎えしましたが、あれは人類をダメにします。
コタツ最高!
マオを預けた紅は、全速力で現場へ向かっていた。
(遅刻なんてしたことなかったから、なんかめっちゃ焦るな、間に合うのかコレ!?)
自分は風だと思い込みながらとにかく走り、現場へ到着する。
「遅えぇ!!何してやがった!!」
紅を見つけるなり王食がくってかかってきた。
「みんな、スマン。遅れた。」
「遅れたことはわかってんだ!!ナメてんのか!!」
「紅くん、こっちは大丈夫!市民の避難を桃ちゃんと蒼くんがしたくれて、完了したところだ。後は、怪人達を倒して終わりだよ!」
「縁六さん、ありがとう。こい!黒棒!!」(よし、やってやるか!)
紅はこの1週間のストレスを発散させるかのように、暴れまわった。
次々と全身タイツ軍団を蹴散らし、一気に怪人の前まで到達する。
「いくぞ、必殺・・・ギガインパクト!!!」
渾身のフルスイングを怪人にかますと怪人は跡形もなく消し飛ばされた。
「オイ!リーダーさんよ!!遅れといて、美味しいところだけかっさらってんじゃねーよ!!」
王食が噛みついてきたが、紅の耳には届いていなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
息を整えながら、紅は思った、
(久しぶりに、ちょーーーースッキリしたぁ〜)
マスクで顔は見えなかったが、空を見上げ清々しい顔をしていたことは想像に難くないなかった。
「よし!じゃあ縁六さん。後のことはよろしくお願いします。」
そう言い残すと、颯爽と帰っていた。
いつもの紅からは想像できない姿を目にし、縁六と王食は顔を見合わせた後で、紅の背中を、ただ黙って見送ることしかできなかった。
帰路につく紅は、急いでいた。
契約の時間は1時間、まだ20分は残っているが早く帰ってマオの顔が見たくてたまらなかった。
戦闘中こそ我を忘れるほどハッチャケていたが、冷静になれば、マオの事で頭がいっぱいで、ひたすらダッシュをしていた。
「ただいま、戻りました。」
ダッシュで帰ってきたとは思えないほど、冷静に息ひとつきれていないが、内心は楽しみで仕方ない。
そんな時だった、ベビーシッターをお願いした桜井さんが、ダッシュで紅のところへやってきた。
「赤井さん!!大変なんです!!マオちゃんが!!」
「マオになにか!?」
マオの事だとわかると紅は、靴も脱がずマオの元へ駆け寄ろうした。
「何をそんなに焦っておる、そんなに余に会いたかったか?」
「・・・・・・」
言葉を失う光景に、桜井がオドオドと説明を始める。
「あ、あの・・・赤井さんが出ていかれた後、少ししてからマオちゃんが話しはじめまして・・・
最初は、「あー」とか「うー」みたいな月齢通りの感じだったんですけど。
そこからドンドン上達していきまして、今ではこんなに流暢に・・・」
あははぁ〜と何か歯切れの悪い、乾いた笑いと共に説明してくれたが、その顔には疲労が見える。
「確認なんですが、通常の成長なのですか・・・ね?」
「そんなわけないでしょ・・・」
「ですよね~・・・」
紅もそこまで無知じゃないが、目の前の現実を受け入れるのに時間がかかっていた。
「なんじゃ、余が喋ることがそんなに可笑しいか?
桜に色々教えてもらったんじゃ、これくらい出来るようになっておかなくてはな!」
「ドヤ!って顔で言われてもな・・・天才にも程があるだろ。」
「パパ上殿はイヤか??ならこれまで通りことある毎に泣こか??」
「天才万歳!!夜泣きしなくなるのか!?」
「本来ならとっくに泣かないでもよかったんじゃが、人並みの苦労をさせてやろうかと思っての。
案外、泣く側も疲れるんじゃぞ?」
じゃあ泣くなよと心の中でつぶやいた紅は、夜泣きの心配がなくなり踊りだしそうなほど喜んでいたが、ふと疑問がわいた。
「その喋り口調は、桜井さんが??」
「私というか、テレビで時代劇を流していたら、真似するようになっちゃって・・・」
「かっこいいじゃろ!」
(時代劇にこんな、口調あったか?)
そんな疑問は残しつつ、まぁいいやで済ましてしまった紅だった。
「あ、あの。私はそろそろ、時間なのでこれで失礼しますね?」
「あぁ、そうかすみません。ありがとうございました。また出動要請があったときはよろしくおねがいします。」
「できる限り、私が受け持つように上司に話しておきますね、有名人の秘密を知る人は少ない方がいいでしょうし。」
「助かります、では、また。」
「ありがとうございました、マオちゃん!またね!!」
「うむ、きをつけての」
扉がしまる最後まで、笑顔を絶やさず手を振り続け、桜井は帰っていた。家の中には沈黙が広がっていた。
「さて、腹減ってないか?ご飯はまだミルクでいいのか??」
「ミルクで頼む、パパ上が作るのは薄いから濃いめで頼もう。」
「態度のデカさは人としての器の大きさって事にしておこう。ちょっと待ってろ」
「うむ。」
こうして気になることは沢山あるが、腰を据えた話しは後回しにして、腹を満たすことを選んだ紅達だった。
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読んでくれている人が増えてきているので、これからも頑張りたいと思います。