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終焉の鐘(1)

「こんな山奥に客人とはな――。こんな時世にどうした……? なあ、ブラッド――」


 ヨツンヘイムに降り注ぐ雪……。新しい時代を迎えようとしているこの世界の中で、かつて栄華を極めた国は静けさの中にあった。ブガイの小屋の中に入ってきたブラッドは上着の肩に積もった雪を払い、旧友との再会に苦笑を浮かべる。


「こんな時代だからこそ、よ……。久しぶりね、“桐野双志”……。旧砂の海豚が解散して以来だから……何年ぶりかしらね?」


「その名前はとっくの昔に捨てた名前だ。しかし、この間の小僧といい小娘といい、また随分と懐かしい顔だな」


「あら、長らく音信不通だったとは言え……一度は共に世界を変えようと戦った仲じゃない。同じゼダンの“裏切り者”としてね……」


 勝手に椅子の上に腰掛けたブラッドに仕方なくブガイは茶を出し持て成した。それが彼なりの、そしてこの質素な小屋で出来る最大限の手向けであった。二人の間に流れているのは懐かしい旧友との再会を喜ぶようなものではなく、まるで通夜のような空気である。そう、彼らは彼らなりに弔っていたのだ。己の、そして己たちが見た過去の理想を――。


「……ヴァンとシェルシに会った。俺たちにとって時の流れは無意味なものだが、それでも流れは続いているのだと思い知った。年老いたものだな、お互いに」


「私は今でもピッチピチよ? でも……どう? 貴方が育てた“子供達”の姿は」


「良くも悪くも直情だな……。そういうお前は今までもあいつらと共に行動していたんだろう? 相変わらず人が悪いな」


「貴方も同じでしょう? 私はただ、この世界の人間の行く末を見守りたかっただけ……。人の可能性の模索……新たな時代の呼び水。だからルールを護ってハロルドとは直接戦っていないわよ? “ゼダンはゼダンを殺めるべからず”……貴方が何百年も前に制定した掟よね」


 カップを傾け、ブラッドは懐かしく微笑む。かつては二人とも彼らと同じように大罪の力を手に、この世界を変えたいと願っていた。異世界から召喚された彼らは英雄として、昴やホクトと同じ立場にあった。

 見ず知らずの世界に呼び出され、戻る事も出来ず、理解に苦しむ世界の法則の中に囚われ絶望した……。ブガイにはブガイの世界が、ブラッドにはブラッドの世界があった。だが全ては等しく無意味ではなく、それは彼らにとって護るべき世界だった。全ては巧妙に、まるで人の心を知り尽くした悪魔が仕組んだかのように……彼らはその力を選ばずにはいられなかったのだ。

 ゼダンの間での対立や騒乱は下層にまで影響を及ぼし、全てを投げ捨て争いの現実から目をそむけようとしたブガイ……そしてブラッドはブガイがエデンを立ち去った後、同じくその力を放棄したのである。


「地上で再会した時は、やっぱり運命の輪から抜け出すのは不可能なんだって痛感したわよね。良くも悪くも私たちはゼダン……。そうである限り、その運命からは逃れられない。逸脱したまま、戻る事の出来ない塵芥……」


「だが、大罪は今真に罪を抱くべき子らの手の中にある。まるで責任転換のように聞こえるかもしれないが、これからの世界は彼らが決めるべきだろう。他の誰かに命令されるわけでも、“運命”などというわけのわからない言葉に左右されるでもなく……な」


「いいえ、きっとそれでよかったのよ。私の手の中からユウガが去っていったように……。貴方の手からガリュウが去っていったように……。経緯は色々あったけど、結果として魔剣は彼らに継承された。不思議よねぇ……。あの兄妹を見ていると、私たちの事を思い出さない?」


「……いや、お前は“弟”だろう……」


「何か言ったかしら――……?」


 ブガイは無言で口を閉じ、冷や汗を流した。途方も無い年月が流れ――その最中で変わった事もある。変わらなかった物もある。だが今はその全てをひっくるめ、ありのままを受け入れられる。


「ハロルドは彼らと同じ景色を見るつもりらしいわね……。覚えてるかしら? あの子がゼダンになった時の事……。まだあの子に、あの子なりの名前があった頃の事――――」




 “少女”は、何の力も持たないただの人間だった。唐突に異世界に召喚され――そしてそこで過酷な運命を強いられたのだ。そう、昴やホクトがそうであったように……。

 途方に暮れる少女の景色の中、彼女が見惚れる光があった。水槽の中で眠り続ける、自由を知らない無垢な神の躯体……。何故だろう、それがとても哀れに見えたのだ。何故だろう、それがとても美しく見えたのだ。触れたいと、声を聞きたいと――そう願ったのだ。

 彼女を救う為に使う人生ならば、それはそれで悪くはないかもしれない……そう思った。元々、“現実”の自分には帰る場所も生きる理由もなかった。無の存在である彼女の前に現れた神……。その名の通りそれは彼女を救い、そしてその心を狂わせてしまったのかもしれない。

 女神に恋をした少女は全てを賭けてそれを取り戻そうとした。彼女に自由を。彼女にぬくもりを。彼女に愛を――。その努力の日々が紡がれた世界が今、目の前で崩れようとしていた。たった一人の戦いが……夢の残骸が……終わろうとしていた。

 天高く鳴り響く鐘の音は崩壊の音色か、或いは再生の前兆か――。崩れていく鐘堂の中、その音色を瞳に宿してハロルドは目を閉じた。溢れ出る涙は何故だろう、とても暖かい。轟音の中で、それでも鐘の音は響き渡るのだ。何度も、何度も……。

 聖堂から去っていく人々、降り注ぐ瓦礫……。それから自分を護るように、神の模造品が少女の身体を覆う。うさ子はその身を挺してハロルドを降り注ぐ瓦礫から護っていた。そう、最初から……最初から全ては簡単な、シンプルな事だったのだ。


「ハロルドちゃん、逃げるの! 早く……逃げるのっ!!」


「…………うさ子……」


「こんなとこでっ!! ぼーっとしてッ!!!! 生きて……生きなきゃ意味なんかないのっ!! 貴方は……貴方は、私にそう言ったではないですかッ!!」


 それはどちらの言葉だったのだろうか? 気づけばうさ子の眼差しは鋭くも優しく、強い光に満ちていた。神の逃げ場所を作ろうと思ったあの輝いていた日々……それが崩れる中、暴虐の王は確かに神の声を聞いたのだ。幾千の血を浴び、死肉を踏みしめて到達した“祈り”の向こう……。そこに、確かに神は居た。否――最初から居たのだ。信じる場所に神はあった。そう、心の中に……触れられない物だったとしても。


「判った、気がする……。ここが……崩れていくのを見て……判った気がしたんだ」


「ハロルドちゃん……?」


「私はこんなにも、神の姿に恋焦がれていたのだ……。だが……ああ、これでよかったのだ……。これでやっと、囚われた魂も……時も……私も……。きっと、歩き出せる……。また、前に……」


 縋るようにうさ子の腕を掴み、ハロルドは涙を流しながら微笑んだ。そんなハロルドの姿をじっと見つめ、うさ子はその小さな身体を抱きしめる。美しいレリーフが刻まれた天蓋は崩れていく。だが――そこから降り注ぐ光こそ、彼女たちが真に望んだ希望なのかもしれない。


「寂しかったのは……私の方なんだ……。私は……だから……」


「…………もういいの、ハロルドちゃん。もういいの……。うさはね、怒ってないよ。うさはね……ハロルドちゃんを、赦してあげるよ。この世界に純粋な悪なんて存在しない。うさたちは……擦れ違ってしまっただけなんだよね」


 王の手を握り、天使のような少女は笑う。そして二人は走り出したのだ。ハロルドの向かう先、出入り口には仲間達が二人を待っていた。置き去りになどしないのだ……彼らは。例え元々が敵同士だったとしても。決して許しあう事が出来ない存在だとしても。人は――そう、彼らは手を差し伸べるのだ。


「一緒に生きるの、ハロルドちゃん……。それで、いいと思うな。人はね……? ハロルドちゃん、“人間”はね……。それでも……ぎゅうっと手を繋ぐ事が出来るよ。怖くて辛くて、明日に進むのが嫌になるような毎日でも……それでもうさたちは、せーのって足を踏み出す事が出来るよ。だから……」


 “一緒に行こう”――。少女の声は免罪符のように彼女の心の中に響き渡った。来る日も来る日も飽きる事無く水槽を眺め、その中の神へと思いを馳せた日々……。それがあり、そして愚かな日々があり、今があるのだ。

 何を恐れていたのだろうか? 人間はこんなにも当たり前で有り触れた存在なのだ。何一つ特別な事などない。皆自分の為、誰かの為、こんなにも馬鹿馬鹿しいくらいに当たり前なのだ。当たり前に手を伸ばす事が出来る……それが人間だから。

 肩を借り、肩を貸して歩いていく……。何の為にこの世界にやって来たのか。何の為に、戦ってきたのか……。背後には聳える黒き龍――。ハロルドは己の存在を確かめる為に、王として。ゼダンとして。人間として――それと対峙する事を選択した――。




終焉の鐘(1)




「ひゃあああああああああああっはははははははッ!!!! こうだ……! こうでなくっちゃなあ……ッ!! 面白くねえよなぁああああああああああッ!!!!」


 巨大な黒き龍の肩に立ち、タケルは仰け反るようにして高笑いを響かせていた。龍はその背中に無数の剣で出来た翼を広げ、空に高らかに吼えた。その振動は大地を鳴らし、雲を吹き飛ばす――。そんな聳える剣の龍を前に怯む事無き剣士が二人。

 一人は黒き鎧を身に纏い、全身を魔剣と一体化させ限界まで能力を向上させた“魔剣狩り”……。もう一人は白き鎧を身に纏い、美しい破魔の太刀を握り締めた“白騎士”である。龍が吼えると同時に周囲から吸い上げた魔力は大気に反重力の力場を生み、二人の足元からパラパラと音を立てて瓦礫が浮き上がっていく。


「……さて、顔を見るのももう何度目か判らないけど……彼の相手をしなくちゃならない」


『全く、いい加減ウンザリだぜ……。こっちは戦いを終わらせようって毎日気張ってんのによ』


「でも、私たちは救世主だ」


『俺は自分の為に戦うぜ?』


「理由はどうでもいい。ただ共通して私たちには目的がある――そうでしょ?」


『ああ、そうだな。その通りだ。あいつには貸しがある。ゼダンには腹も立ってる』


「『 立ちふさがるならぶっ潰し、叩きのめす!! あいつをボコボコにして泣かせてやる!! そう誓ったッ!!!! だから――――ッ!! 』」


 魔剣狩りが黒き翼を広げ、ふわりと舞い上がる。白騎士がその刃を下段に構え、走り出す。二人は上下から同時に龍へと向かって動き出した。


「ミュレイは絶対に渡さない……!! 貴様はここで退場してもらうッ!! タケル・ヨシノ!!」


『つーか、俺のガリュウを……返し――やがれええええええええええええええッ!!!!』


 突っ込んでいくホクト目掛け、龍はその手を大きく振り上げる。叩き付ける挙動は遠目に見れば早くはないが、その質量的に見れば事情ならざる速度である。文字通り空が落ちてくるかのおうな一撃にホクトは大地に叩きつけられ、更に跳ね上がった。空中で制動し、次の攻撃に備えるホクトに再び龍の攻撃が迫る。


「無駄無駄ァッ!! これがガリュウの全力なんだよ!! てめえらみてえな出来損ないの救世主チャンと、絞りカスに何が出来るって、えぇッ!?」


「それは――自分の目で確かめればいい」


 ホクトへと迫る龍の拳――それはピタリと空中で静止していた。ホクトの足元に立っていた昴が空にユウガを掲げ、龍の腕を“停止”させたのである。その隙に跳躍した昴をホクトが片手で抱き、タケル目掛けて放り投げる。

 空中を猛スピードで突っ込んでくる昴は身体を捻り、回転しながら一撃を放った。一閃――。衝撃は斜めに広がり、龍の肩へと深く鋭く、吸い込まれるようにしみこんでいく。防御に使ったタケルの持つガリュウに亀裂が走り、龍の片腕が落ちるのはほぼ同時だった。


「破魔の能力か……!? 刀身の魔力を増幅して斬撃を放出……だと……!?」


「私たちは、確かに一人一人では弱いかもしれないね。でも、誰も今まで見た事はないでしょ?」


『俺たち仲良し兄妹の――コンビネーションプレイってヤツをな!』


 落下していく昴の背後、ホクトは超巨大な剣を両腕で担いでいた。それは以前帝国の戦艦を一撃で破壊した剣である。それを空中で助走をつけ、思い切り投擲する――。巨大な龍がそれを俊敏に回避出来るはずもなく、剣はぐさりと龍の頭を貫いた。


「ゼダンってのは、一人での戦いに馴れすぎているんだよ」


「き……さまらぁあああああ……ッ!!!!」


 龍が消滅しかけたのを脇目にタケルは剣を収縮し、魔力を束ねて強固なガリュウを作る。落下と同時に黒き炎を巻き上げそれを全身に纏った。


「二対一は卑怯だ~って喚いてもいいんだよ、“くそがき”」


『ま、だからってやめてあげないけどな~。だーっはっはっはー!!』


「……図に乗るんじゃねえぞ……。テメエらは追い詰められてるんだ。それを忘れるんじゃねえ。立場は俺様が上だ。俺が……戦場のルールなんだよォッ!!」


 タケルはガリュウを片手に構築したまま――もう片方の手の中に新たな魔剣を構築する。それは光を纏い、ガリュウとは対照的に白く美しく輝いている。ホクトも昴もそれには見覚えがあった。忘れるはずもない、何故ならばそれは――。


「……“永魔剣エリシオン”……!?」


「そうだ! こいつも“大罪”……大罪なんだよォッ!! 大罪が二つ! それが使いこなせる俺は最強って事だよな……!? そう思うだろ、お前らッ!!」


 二対の大剣を引きずるようにタケルは走り出した。ホクトと昴は同時に魔剣で左右それぞれの剣を受け止める――が、その攻撃の重さは以前とは比較にならない。踏ん張りが利かずに吹き飛ばされる二人――。空中に浮かんだ敵目掛け、タケルは剣の弾丸を無尽蔵に乱射する。


「ひゃははは!! あはははははは!!!! 踊れ踊れ!! 無様に踊れよ……ハッハアァッ!!!!」


 ホクトを庇うように前に出た昴が破魔の剣で片っ端から攻撃を相殺するが、それも段々と追いつかなくなってくる。剣の持つ魔力の濃度が以前とは桁違いなのである。やがて一つを相殺しきれなくなった時、全ての剣がどっと流れ込んできた。ホクトは昴を抱えて闇の結界を展開して防御し、同じく剣を打ち返して反撃するが……。


『駄目だ、相殺できねえ……! あっちの方が何倍も、何十倍も魔力が詰まってやがる……!?』


「当たり前だろ……! ああ……お前らこのエリシオンの能力を知らなかったんだな? そうなんだな? じゃあ教えてやる。知りたいだろ? なあ!!」


 ガリュウから放たれた黒い魔力の渦が二人を吹き飛ばす。二人は全身をズタズタに引き裂かれながらも白い大地の上に何とか着地を果たしていた。黒き魔剣ガリュウ……それは確かに強力な剣だ。だがその最大の弱点は魔力の消耗が激しすぎる点にある。どう考えても先ほどの攻撃はタケルの持つ魔力の限界を超えていた。いくらゼダンと言えども、ホクトが全く手も足も出ない程の魔力差などあるはずもない。


「答えは簡単だぜ? このエリシオンって剣はな、こいつそのものが“無限”の魔力を供給する存在なんだよ。いくら魔力を使っても消耗する事がない……まあ、これは剣というよりは杖……いや、補給ユニットって所か。スゲエだろ?」


『……なるほど、道理でガリュウの能力が桁外れにあがってるわけだ』


「破魔の能力も私の魔力に依存する以上無限じゃない……。全部相殺しきれなくても当然か……。ある意味、最強の能力だね……」


 全身の傷口から流れる血を気にも留めず、昴はぎゅっとユウガを握り締めた。ホクトも当然諦めては居ない。ガリュウを両手で構え、タケルを真っ直ぐに睨み返した。


『大丈夫か、昴?』


「……当然。メリーベルの鎧がなきゃやられてたろうけど、まだまだ負けを認めるつもりはないよ」


『俺はちょっとやそっとじゃ死なねえから、いざとなったら盾にしろ。あんまりお前がボロボロになると……多方面から苦情が殺到するんだよ』


「……そ。じゃあちゃんと護ってね――お兄ちゃん」


「麗しい兄妹愛って所か……? いいねえ……俺はそういうの好きだぜ。ああ、そうとも……それだけが世界で大切な物……今の俺を支える全てだからな……」


「……どうしてゼダンなんかになった? お前はあのままミュレイの傍に居ればそれで良かったじゃないか……」


「そんな事をテメェに指図される筋合いはねェんだよハゲッ!! 姉上はなぁ……。姉さんはなあ……。お姉ちゃんはなあ……。実の弟でもなんでもない僕を愛してくれたんだ……! 家族のように扱ってくれたんだ……! なのに、テメエが来たから……。テメエみたいな邪魔者が現れるからよォッ!!」


『実の弟じゃないの!? じゃあ……別にいいんじゃねえの……?』


「良くないんだよ兄さん……? ミュレイは……私の嫁だッ!!」


 拳をぎゅっと握り締め、高らかに宣言する昴。ホクトは妹がどこか遠くに去っていく足音を聞いた――。


「俺はなあ……? 俺は、何年も何年も姉さんを見てきたんだ……。姉さんはこの世界で一番美しくて聡明でまさに神のような女性だ……! 姉さんは常に苦悩し、己の良心の呵責に苛まれ、地獄のような景色の中でより一層輝いてきたんだよ!」


「…………まさか……タケル、お前はミュレイが苦しむ姿を見る為に、ククラカンやザルヴァトーレを裏で操ってたのか?」


『いや、さすがにそんな個人的感情で動かないだろ』


「その通りだ!!」


『その通りなのォオオオオッ!?』


「私には判る――。ミュレイはあんなでも実はドMだからね。苦しんだり一生懸命なミュレイの姿を見ると萌えるって事はとっくの昔に気づいているよ兄さん」


『俺はお前がもう帰ってこないんだって事に今気づいた』


「まあ……この世界に戦乱を齎す事によりアニマ覚醒を早めるって理由もあったけどな……。お前たちは俺様たちの思惑通り戦乱を拡散させ、ついには帝国までも潰しやがった!! “ありがとう”と声を大にして言いたいね!! これで世界は崩壊の一途を辿る!」


『世界を守護し見極めるのがゼダンの役割じゃねえのか!? テメエら何がしたい! 何が目的で暗躍する!?』


 ホクトの問いかけにタケルはニタリと笑い、それからゆっくりと歩き出した。二つの大罪を手にした男がホクトと昴へと襲いかかろうとした、正にその時である――。


「……もう止めろ、タケル!! 止めてくれッ!!」


 戦場に声が響き渡り、昴とタケルがほぼ同時に振り返り、遅れてホクトが目を向けた。そこにはソレイユを片手に立ち、悲しげにタケルを睨むミュレイの姿があった――。


~はじけろ! ロクエンティア劇場~


*ネタバレラッシュ*


アクティ「それにしても……うさ子が神様かぁ……。なんかやだね」


ロゼ「同感……」


うさ子「うさはねえ、神様としてこれからも頑張るのですっ! 来週からこの小説は、“神様うさ子っ!”というタイトルに変わるのっ♪」


アクティ「んで、色々とネタバレラッシュが続いているわけだけど……そろそろ設定集を出したほうがいいよね」


ロゼ「まあわけわかんなくなりつつあるからね……」


うさ子「あれ、うさ子の話は無視なの……」


ハロルド「うさ子ぉおおおおおおおおおお!! 余だあああああああああ!! 結婚してくれえええええっ!!」


うさ子「ひい……っ」


アクティ「ねえ、どうして大罪関係者って急に何かに目覚めちゃうのかな……」


昴「どうして私に言うの?」


アクティ「いや……なんか覚醒してるから」


タケル「大罪持ちでは良くあることだよ」


ロゼ「綺麗なタケルだ!?」


アクティ「なんかさぁ、むしろ大罪持ちの中では……ホクトが一番安定してる気がしてきた」


ミュレイ「む、わらわが一番真人間じゃろう?」


ロゼ「いや、ミュレイは周囲がカオスだから――」


ハロルド「はああああああっ!! うさ子かわいいようさ子……はあはあ! はあはあ!!」


うさ子「やああああああっ!!!! なんか怖いの、怖いのーっ!!!! 服の中に頭突っ込むのやめてーっ!!」


ロゼ「……別にいいけどさ、絶対本編でそれやんないでね――」


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