表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/108

ロマンス(2)

「九時間経過――。皆、時間に正確ね」


 懐中時計へと繋がる鎖をじゃらりと手の中で転がし、メリーベルは机の上に軽くかけていた腰を上げた。部屋に入ってきた一同を見渡し、それから胸を撫で下ろす。それぞれ色々と事情もあるだろうが、きちんと全員が気持ちを切り替えてきているのが顔つきからはっきりと感じられたからだ。

 歩み寄ると、何故かホクトとイスルギは顔に傷があるのがわかった。特に重傷というわけではないが、怪我である事に変わりは無い。首をかしげていると、ウサクが腕を組んで首を横に振った。事情は聞かない方が話がはかどる……そんな気がした。


「さて、今回はミュレイを救出するのが目的になるわ。それと同時に出来れば北条昴の救出ね。尤も、昴は帝国側にいいように操られてるみたいだから無事に救出出来るかどうかは不明。だからとりあえずでいいわ」


「ミュレイを救出さえ出来ればとりあえず時間は稼げるし、そうなれば自ずと昴は追ってくるだろうしな」


 そう、今回の作戦の肝は昴よりもミュレイにある。彼女は反帝国の象徴であると同時に今この世界にとって必要な人材なのだ。Sランク魔剣の所有者という事もあるが、彼女の人望は世界を再び纏め上げる上で必須の要素である。それにミュレイを救出する事が出来ればホクトの発言通り、その先も状況は好転する可能性が高い。


「だからそれ以外は基本的にまともに相手をしなくても構わないわ。方法はシンプルに、転送魔術による直接襲撃……および転送魔術による即時脱出よ」


「そ、そんな事可能なのでござるか?」


「私が半年間も何もしてなかったと思う……? 色々と手は打ってあるわ。それに今回からは私も貴方達の戦いに協力するから……つまり私が前線に居れば、どこに居ても転送術を発動出来るってこと」


「え!? メ、メリーベル……それは危険です! 貴方が前線に出るなんて……しかも潜入先はインフェル・ノアですよ!? そんな無茶な……!」


「私の事は心配要らないわ。自分の身を守れるくらいには頑張るつもりだし……ね」


 メリーベルが取り出したのは銀色のアタッシュケースだった。ホクトはそれに見覚えがあり、何となく納得する。中に入ってるのはかつて彼女が製作した、人類が製作する事が可能な武装の中では限り無く到達点に近い物であると言える武器、“神威双対”である。あの本城夏流が使っていた武器なのだから、その戦闘力は折り紙つきだ。それにメリーベルはちょっとやそっとでは死ぬ事が出来ない体……そういう風に出来ているのである。尤もそれを彼らにあえて言う事はなかったのだが。


「旦那に借りてきたのか」


「まあね……。夏流程とは行かずとも、それなりに戦闘も期待していいかな」


「しかし、たった五人で乗り込むとは……少々無謀ではないか?」


 イスルギの発言に誰もが同意していた。なせばなるだろう――そんな甘い敵ではないのは既に何度かの戦いで判りきっている事だ。故に当然の事だが勝算というものは用意されている。


「余計な情報は皆の混乱を招くだけだから、今は伏せておくけど……。現場には私たち以外の仲間も集結する事になってる。で、その中でも私たちの役割はミュレイの救出という本筋なの。絶対に失敗は許されないし、余計なことをするほどの長居も無用よ」


「自分の事だけ考えてりゃそれでいいってか……なるほどなるほど。んじゃま、俺たちはサクっとお姫様を救出しますかねえ。姫救出作戦はこれで何度目だよ?」


「う、うぅ……。私だって別に、好きで捕まってるわけじゃないですよ……って、あれ?」


 その事は覚えているのか――とは訊けなかった。たまたま覚えていただけかもしれないし完全には覚えていないのかもしれない。それに知っていようが知っていまいが、覚えていようがどうだろうが関係ない――そう腹を括ったのだ。シェルシは何も言わず、思いはごくりと飲み込んだ。


「姫様……待っているでござるよ! 絶対に拙者たちが助けに行くでござるっ!!」


「…………ああ。あんなでも、一応妹だからな……。情を捨てきれぬは甘さ、しかし身内の縁は切ろうと思って切れるものではない」


「ミュレイさんは、私たちにとって……今の世界にとって必要な人です!」


「とまあ色々と理由も思いもそれぞれだが――やる事は一緒だ。いっちょ、帝国にリベンジと行こうぜ――!」


 ホクトの掛け声に全員が頷いた。メリーベルがホクトへと歩み寄り、その肩を叩く。ホクトの目に偽りはない――否、きっと彼の存在そのものが偽りなのだろう。気になる事はある。けれども今は仲間としての彼を信じている。自分がこの世界に巻き込み、運命を捻じ曲げてしまった偽りの救世主――。例えそれが彼の代役でも構わない。今は、ただ――。


「…………手を貸して、救世主。一緒にこの世界を救ってやりましょう」


「世界に興味はねえよ。ただ――嫌なんだ、俺は。我侭だからな……。大事なモンは一つ足りとも溢したくねえ。全部護りてえ。だから戦う――それだけだ」


「……強欲ね」


 ホクトの脇を小突き、メリーベルはアタッシュケースを肩にかけて歩き出した。それに続いてホクトたちが移動を開始した頃――。第三階層ヨツンヘイム、帝都レコンキスタ、その上空に浮かぶ巨大なる城インフェル・ノア――。夜の闇に包み込まれたその帳の中に浮かぶ白い影があった。白騎士と呼ばれた救世主はインフェル・ノアの外壁の上に座り、静かに眼下に広がる街を見下ろしている。煌く眠らない街の輝き……それに照らされ、彼方より飛来する影があった。

 騎士はゆっくりと腰を上げ、空を見上げた。雲を突き破り、近づいてくる影――。その甲板の上に立ち、街を見下ろす少年の影があった。黒いマントをはためかせ、少年は風の中ゴーグル越しに昴の姿を捉える――。空舞う影は猛スピードで疾走する。レーダーにも引っかからず、レコンキスタの街を突き抜けて……。遅れて今更になって警報が鳴り響き、インフェル・ノアから次々に機動兵器が放たれ、軍艦が切り離される。謎の飛行物体はそれら目掛けて一斉にミサイルを放ち、それらは次々にインフェル・ノアへと着弾した。

 一度は頭上を突き抜けていった影を追い、昴は魔剣を召喚して走り出す。高層ビルとビルの狭間をすり抜けながら疾走する影は漸く闇の中よりその身を晒し、サーチライトの雨を浴びて輝いた――。少年はマントを剥ぎ取り、その己の証を翳す――。照らされる船体に刻まれた紋章を背負い、少年は――ロゼ・ヴァンシュタールは闇を見下ろす。その胸に去来する様々な想い――それらを噛み締め、そして手摺に手を伸ばし、その身を空へと投げ出した。潜水艦――否、非空挺ガルガンチュアより舞い降りた影は空中で一度瞬き、その両手に二対の剣を持ってインフェル・ノアへと落下していく。

 ロゼの周囲に風が渦巻き、インフェル・ノアに着地するのと同時に嵐が巻き起こった。少年は強い風の中、その髪を靡かせながら魔王の城を見下ろす。その甲板を真っ直ぐに駆け寄ってくる白い影が一つ――知覚不能な程のスピードで猛然と駆け寄る昴――騎士が剣を振るおうとした瞬間、空より煌く魔剣が飛来した。昴の足元に着弾した剣は光を撒き散らしながら爆発し、騎士は空中へと投げ出される。煙を突き抜けた昴は空中に停止した時間を“設置”してそこに着地し、空中を縦横無尽に移動する。それを追尾するように剣は飛来し――その射手はガルガンチュアの船体の上に座っていた。

 身体をベルトで甲板に繋ぎ固定し、腹這いになって銃を――否、魔剣を構える少女……。闇の中で黒い髪を靡かせながら暗視ゴーグルで狙いを定める。その手に握り締めているのは銃の形をした魔剣――射魔剣スピリットである。魔力で構築した魔剣の刀身を銃弾とし射出し、対象を攻撃する特殊魔剣……。その持ち主であるアクティは遥か彼方を猛スピードで移動する昴を完全に視界に捉えていた。

 魔剣による視力強化――及び身体能力の強化は反動で肩が外れそうなほどの衝撃を放つスピリットの火力を制御するに十分である。昴はその降り注ぐ光の剣を回避し、時には切り払っていた。アクティはベルトを引きちぎり、空中から飛来する。スピリットを構え、落下しながら逃げる昴を撃ちながら――。

 閃光が一度、二度と連続で瞬く。その度にインフェル・ノアの甲板の上で爆発が起こった。威力は十分――しかし時間制御による加速と周囲の状況を低下させる昴に遠距離攻撃は命中しない。アクティは舌打ちし、腰に装備していた小型の装置をインフェル・ノアの外壁へと打ち込んだ。壁に接着されたアンカーをワイヤーで手繰りながらインフェル・ノアにぶら下がり、その壁を走りながらアクティは片腕で昴を狙い続ける。

 昴は壁に凍った自分の両足を付着させ、ノータイムで引き離すという曲芸にも似た操作で壁を重力を無視して走り続けていた。連続で射撃を行うも、昴は止まらない。アクティはワイヤーを切り離し、その身を再び空へと投げ出す――そこへ迎えに来たかのようにガルガンチュアが訪れ、その甲板の上へと着地した。


「ロゼ、やっぱり昴は倒せない!! 時間を稼ぐだけで精一杯だよッ!!」



 通信機越しに聞こえてくる声に耳を傾けながらロゼは窓ガラスを蹴破り、インフェル・ノアへと潜入を果たしていた。飛び散るガラスの中、周囲を確認しながら走り出す。アラートが鳴り響く中ロゼは両手に携えた魔剣を握り締め、侵入者迎撃用に出撃してきた機動兵器たちを見据える。

 舞うように、前進しながらその両手の刃を繰り出した。それは光の軌跡を描き、次々に機械をガラクタへと変貌させて行く。少年の手の中に輝くもの……それは魔剣――。“響魔剣グラシア”――。彼の父が、そして姉であり母でもあった人がその身に宿していた魔剣である。ロゼは休まず走り続ける――。彼らの目的は時間稼ぎだ。長居をする積りはない。ただ、ミュレイの救出の為には騒ぎを起す必要があった。つまるところ、それは陽動――だがそれだけではない。

 ロゼには明確な一つの目標があった。故に彼は危険を承知でインフェル・ノアへと乗り込んだのである。外では昴を遠距離から牽制しながら戦うアクティ、そしてインフェル・ノアの艦隊を相手に時間を稼いでいるガルガンチュアが控えているのだ。立ち止まる事も出来ないし、迷っている暇もない。ロゼは通信機に向けてたたきつけるように叫んだ。


「アクティ、無理はしなくていい! 昴を出来る限り抑えてくれ! 僕はその間にヤツに会いに行く!!」


「一人で行くつもり!? 無茶だよ、ボクも一緒に行く!!」


「これは僕の我侭、僕の勝手だ! だから本来の目的である、メリーベルたちの援護を止めるわけにはいかない……! 僕は内側で敵をかく乱しながらヤツを探す……。アクティ、気をつけて」


「あ、ちょっとロゼ……!? ロゼってば!!」


 通信が途切れたのを確認し、アクティは眉を潜めた。何故こう、男という生き物はいつも勝ってなのだろうか……。浮かべるは引き攣った笑顔……しかしそれも長くは持たない。本当に引き攣るような事態にならないように、少女はその瞳で敵の姿を捉えるのだ。

 

「全く……! どいつもこいつも、いっつも人を置いて先に行くんだから……!! どうなっても知らないからね、ロゼ――ッ!!」


 再びゴーグルの中に昴を捉える。しかし、高い命中精度を誇るアクティでもまるであたる気がしない。なんというか――彼女はまるで別格である。以前から強かったが、今は更に腕を上げたというか、洗脳により精神的なゆらぎが無いだけにまるで一分も隙が無い。

 恐ろしい敵である。かつて何度か対峙したからこそわかる――だが、今感じるのはただ高い壁というだけの敵ではないということ、それがアクティの中で決定的に違う事だ。今の昴はただ恐ろしい敵ではない。ロゼやホクト、男に意地があるように女であるアクティにだって意地の一つや二つあるものだ。剣を携え、少女は立ち上がる――。あんなにも変わってしまった昴を、これ以上見ていられないから。

 勿論、最初はただの敵だった。仲間を殺す、危険な存在。ヴァン・ノーレッジを追う者……だが、言葉を交わし、思いを通わせ、だからこそ思う事がある。判るのだ、もう。他人ではないから。無理解のままではいられないから。正々堂々、その思いをぶつけてみせる――。例え相手が、神に等しい力を持つ救世主だったとしても。


「勇者は勇者らしく……! そうでしょ、昴……!? だから、ボクは――ッ!!」


 再び空へと身を投げ出した。今度は逃がさぬと言わんばかりに昴もまた空へと舞い上がる――。アクティは叫びを上げながら白騎士へと、遥か格上の敵へと挑む。夜の闇の中に光が瞬き、それぞれの意地をかけた戦いが幕を開けたのであった――。




ロマンス(2)




 外が騒がしい事にミュレイが気づいたのは当然の事だった。度重なる爆発音に異常を悟り、牢屋の中で立ち上がる。何かが起きているのは間違いない……だが、一体何が起きているというのか。昴を何とか助けたいと願い、ここまで辿り着いたものの――こうして何も出来ずにむざむざ捉えられている今の自分に、何が出来るというのか。

 口惜しいのは自分の無力さ……しかしそれも止む無き事なのかもしれない。無力だからこそ何も護れず、無力だからこそ……今こうしてここにいる。無力で、一人では何も出来ないからこそ――だからこそ、仲間たちと出会う事が出来たのだから。

 俯き、格子を握り締めるミュレイ……。と、その時牢屋に誰かが近づいてくる足音が聞こえた。ミュレイがそっと顔を上げると、そこには一つの人影――。影はスタスタとミュレイへ歩み寄り、そしてすっと格子に顔を寄せた。


「ミュレイちゃん、見っけたの~っ!!」


「…………ッ!? う、うさ子……か?」


「なのなの♪ 待っててね、今そこから出してあげるのっ」


 何故か鍵を持っていたうさ子はミュレイをあっさりと牢屋から開放すると耳をぱたぱたと上下させながらにっこり微笑んだ。そのゆるゆるした表情を見つめているとなんだかミュレイの緊張の糸までほぐれてしまいそうだったが、今はそんな場合ではない。


「うさ子、外では何が起きておる? かなり派手に振動が起きておるが……」


「ガルガンチュアで、ロゼ君とアクティちゃんが頑張ってるのっ! うさはねえ、その混乱に乗じて別ルートからこっそり侵入したの~♪」


「別ルートって……うさ子のどこにそんな知恵が……」


 きょとんと目を丸くするミュレイ。しかし現にこうして助かったのだから文句は何もない。うさ子がミュレイの両手両足につなげられていた封印装置を破壊すると、ミュレイは指先に火を起して力の復帰を確認する。うさ子がミュレイの手を引き、牢屋を抜け出して走り始める頃には大体中で何が起きているのかも推測する事が出来た。


「うさ子、このままではロゼもアクティも直ぐに捕らえられてしまうぞ!? 帝国の戦力は強大だ……単身で敵うような相手ではない!」


「だからね、うさはここまでなのっ! ミュレイちゃんはね、昴ちゃんの所に向かって」


 足を止め、うさ子が指差したのは甲板へと続く道だった。ミュレイは戸惑いの表情を浮かべ、うさ子を見やる。白い耳をぱたぱたさせながら少女はミュレイの手を両手でしっかり包み込み言った。


「今の昴ちゃんを助けられるのは、きっとミュレイちゃんだけなの……っ。だから、行って上げて? うさが時間を稼ぐから。うさがきっと皆を逃がして見せるから……。だから、今度こそ――!」


「うさ子……お主……」


「さあ、行って!! 剣誓隊は全部うさが引き受けますっ! ミュレイちゃんは外へ! 急いでっ!!」


 頷き、走り出すミュレイ。姫は振り返り、走りながらうさ子を見やった。うさぎの少女は片手を挙げ、笑顔を浮かべている。そうして別々の道を走り出した彼女に、心の中で“死ぬなよ”と呟きミュレイは向かう。階段を駆け上がった先。非常隔壁の向こう。夜の闇に晒された、彼女自身の戦場へと――。

 ミュレイを外まで送り届けたうさ子は真っ直ぐに下層へと向かっていた。インフェル・ノアの重要施設の殆どは出入り口もなく厚い装甲に覆われた下部に集中している――。ハロルドも、剣誓隊も、当然のようにそこに収束しているのだ。うさ子は複雑な城内を迷わず進んでいく。そう、まるでこの場所に住んでいたかのように――。

 一方ロゼはうさ子とは別のルートで剣誓隊の管理するエリアを目指していた。その途中既に何人かの剣誓隊の魔剣使いと交戦し、体力は既に尽きかけている。たった半年で会得した付け焼刃の魔剣では所詮その程度の物……しかしロゼは諦めてはいなかった。歩みを止めるわけにはいかないのだ。何としても――何があっても。


「リフル……お前の仇を……討ってやるまではな――」


 そう呟いた瞬間、ロゼは派手に後ろに跳んでいた。突然ロゼがもたれかかっていた通路の壁が火花を散らし、大きくひしゃげる――。冷や汗を流しつつ、グラシアを構えた。そう、グラシアを常時開放状態にしていたのは戦闘続きという事もあったが、全てはこの為である――。

 何も居なかった、存在しえなかったその場所に一人の騎士の姿があった。巨体を黄金の鎧で固めた騎士――。角着き兜を擡げ、片手に大剣を握りビッグホーン中将はロゼを見つめた。何故攻撃を回避出来たのか判らない――そんな顔をしている。だが直ぐに全てを悟りビッグホーンは改めて剣を構えなおした。


「ビッグホーン中将……。あんたの方から出てきてくれたって事は、僕があんたを探してるって判ってると思っていいのかな……?」


『…………』


 ビッグホーンは問答無用で剣を振り上げた。ロゼはその攻撃を片手の剣で受け流し、攻撃を繰り出す。しかしビッグホーンの鎧は非常に頑丈で、魔剣で切りかかっているというのにダメージを与えられる気配が無い。ロゼは風を起し、ビッグホーンを押し返しながら慎重に後退した。

 リフルを殺した男、ビッグホーン……。しかしロゼは彼に無謀に突っ込む事はしなかった。そんな事をすれば僅かな勝算さえも失われ、永久に彼女の仇を討つことは叶わなくなると知っているから。激情も確かに持ち合わせてはいるが、今はそれを押さえる冷静さが彼に求められる要素である。目を離さずに深く深呼吸する。落ち着いて対処すれば、見切れないわけではない。そう、彼の“目には見えない攻撃”も――。

 騎士が何も持っていない手を振り上げる――それに反応し、ロゼは魔剣を正面で構えた。突然離れているというのに衝撃が走り、火花が散る――。足元に何かが落ちるのを感じ、ロゼは確信した。戦える。確かに知識がなければ瞬殺されていただろう。だが、秘密を知っているロゼには――リフルがその正体を暴いた敵には。負けるはずがない。負けてはならないのだ。


「……ネタはバレてるんだよ。もう安い手品じゃ僕は殺せない……! 正体を晒せよ、“シグマール”! 話があるから二人きりになったんだろ!?」


 ロゼの叫びを浴び――黄金の甲冑はまるで幻か何かのように一瞬で消え去ってしまった。残されたのは一人の男の姿……。シグマール中佐――ロゼがその名を呼んだ男は笑顔を浮かべ、パチパチと両手で拍手を送った。


「すごいな、ロゼ。おじさんの正体を見極めるとはね~」


「……僕が見破ったわけじゃないさ。見破ったのはあんたが殺した……リフルだよ」


 ロゼの瞳に憎悪が宿る。口調も自ずと低く、威圧的な物になった。激情をコントロールしようとするものの、若い心ではその怒りを抑えきる事が出来ない。血が滲むほど剣を握り締め、目の前の仇を睨みつける。シグマールはそれに応じ、何もない場所から剣を取り出した。

 彼の魔剣は“透魔剣センティア”――。能力は、“物を感知出来なくする”能力である。つまり彼は今この瞬間も鎧――“認識できない鎧”に護られているし、彼の周囲には彼が用意した見えない武器がまだいくつも存在しているのだ。ビッグホーン中将と呼ばれる人物の形をした鎧こそが魔剣本体であり、彼はその中に包まれているに過ぎない。そして認識不能の能力により暗殺を最大の武器とし、事実それであのリフルを容易く討ち取って見せたのだ。

 だがロゼはその事実を知っていたし、彼の持つ響魔剣グラシアは高い探知能力を持つ剣である。集中すれば認識不能の存在でさえ何となく感じる事が出来る――。知らなければその違和感もあっけなく通り抜けるだろうが、情報を持っている今は違う。彼の認識不能攻撃もロゼは対応出来る――だからこそ、冷静でなければならない。それこそが彼の握り締めた勝利の鍵なのだから。


「成る程、リフルか……。昴を殺るつもりが彼女に悟られて庇われたのは痛かったな。元々彼女を殺すつもりはなかったんだけどねえ」


「ふざけるな……ッ!! 父上を裏切り、砂の海豚を裏切り、リフルを裏切ったあんたを……僕は絶対に許さないッ!!」


「別に許して欲しいとは言わないさ。勿論、だからってむざむざ殺されてあげるつもりもないがね」


「どうしてなんだ……。何故、父上を殺した……? 何故組織を裏切った!! お前が居れば、リフルだってあんなに苦労する事はなかったんだ!」


「責任の所在を摩り替えるのは良くないなあ、ロゼ。それは君が無力な子供だったのが原因だよ。彼女を護れなかったのも、君が男として弱すぎたのが理由だ」


「判ってるさ……だから、理由を知りに来たんだ。納得して前に進む為に――! あんたという、壁を乗り越える為にッ!!」


 ロゼが魔剣を構え、風を起す。シグマールは眉を潜め、疲れたように笑みを浮かべ――そして再び黄金の鎧を出現させた。巨大な剣を両手で握り締め、そしてロゼを見やる。あんなに昔は小さかった少年が今、こうしてリフルの――そして彼の父の剣を手に目の前に居る。数奇な運命というものがあるのならば、きっとこんな瞬間の事を言うのだろう。


『では、おじさんを倒してみなさいロゼ。そうしたら君の知りたい事をなんでも教えてあげよう』


「言われなくても、力ずくで聞き出すつもりだったさ――ッ!!」


『それは物騒だね、実に……!』


 二人が正面から衝突する。半年間、全てはこの為にあったのだ。ロゼは限られた僅かな時間の中で出来る全てをつぎ込んできた。リフルの為にも……自分の為にも負けるわけにはいかない。そう、これはプライドを賭けた魂の戦いなのだから――。



~はじけろ! ロクエンティア劇場~


*特別編、術式ってなあに?*



うさ子「ねえねえロゼ先生ロゼ先生? 術式ってなあに?」


ロゼ「唐突だな……。まあ、術式というものが何なのか、という事に関しては今後本編で触れていくと思うから、ネタバレにならない程度で解説していくとしようか」


うさ子「うさでもわかるかなっ! うさでもわかるかなあっ!?」


ロゼ「勿論、うさ脳で理解出来るかどうかはわからないけど、まあニュアンスだけ感じてもらえればOKだよ。どうせテキトーな設定だし」



~レッスンその1 “術式”について~


ロゼ「うさ子は術式って言葉を聞いた事があるよね?」


うさ子「本編でたまに出てくる言葉なの~。意味は良くわかんないのっ」


ロゼ「では、まず術式というものが何なのかを少し説明するね」



【術式】

 ロクエンティアの世界に存在する、魔術的な能力を構築する為に必要な構築式の事。

 魔術を発動するにせよ魔剣を出現させるにせよ、この術式というものが関係してくる。魔術も魔剣も大雑把に纏めればすべて術式というくくりになる。

 術式は外見的には何らかのエンブレム、紋章のような形状をしておりその紋章そのものが“詠唱”のショートカットとなっている。本来魔術は長い詠唱と術への理解、訓練が必要である。しかし術式はそれに一定量の魔力を注ぐだけで、魔力を何らかの形=魔術、魔剣へと構築する事が出来る。

 紋章は基本的に術者の肉体に直接刺青のような形で刻まれており、そこに魔力を通す事によりショートカットを発動し魔術、魔剣を出現させる。その際、属性色と呼ばれる色で発光する。

 術式はこの世界に古くから伝わる物であり、多くの魔術師や錬金術師が開発を行ってきた。現在では人為的に術式を人間に刻み込み、魔術を発動出来るようにすることが可能である。しかしその術式を刻む為にはその術をショートカット無しで行使出来る実力が必要となる。

 ちなみに術式といえば普通は魔術や魔剣だが、術式を利用した魔道機械や装置などが存在し、大陸横断列車やシャフトエレベータがこれに該当する。



うさ子「はうっ?」


ロゼ「えーと……。うさ子、君の太股にもエンブレムがあるだろう? 翼を象った紋章だよ」


うさ子「あるよ? 魔剣出すとね、ぴかーって光って、ばちばちーって雷が出るのっ!!」


ロゼ「僕の肩にも術式がある。これは響魔剣グラシアの術式だね。ちなみに術式はいくつでも身体に刻む事が出来るけど、体表面積を超える術を刻む事は出来ないし、大規模な術式であればあるほどその大きさも比例するんだ。だから一人の人間が身体に刻める術式の数は限られてるんだけど、僕は通常の下級魔術も腕とかに刻んでるね」


うさ子「じゃあ、じゃあ~! ホクト君の両腕にびっしり入ってる刺青も?」


ロゼ「あれはガリュウの術だね。ちなみにホクトは両腕の指先から首元辺りまでびっしり占領されてるね。Sランクの魔剣の中でもガリュウの術式の巨大さは半端じゃないんだ」


うさ子「そういえばね、シェルシちゃんの背中にもでーっかい刺青があったのっ」


ロゼ「え、そうだったっけ……? まあ、僕はシェルシの裸なんて見ないからな……。ちなみに魔剣の中にはその魔剣の術式自体に魔術の術式が組み込まれているものもあるね。グラシアは風を起す術式、ミュレイのソレイユは炎の術が組み込まれてるんだ」



~レッスンその2 “魔剣”について~


ロゼ「さて、魔剣といえばロクエンティアの世界では強者が持つ力の代名詞なわけ。これは誰もが持ってる力じゃないのは知ってるよね?」


うさ子「なのなのっ! 特にSランクの魔剣はあ、七個しかないのっ」


ロゼ「じゃあ何故魔剣使いが貴重な存在なのか、そして何故剣誓隊やエクスカリバーが脅威なのか、それを振り返ってみよう」



【魔剣】

 魔剣は“まけん”とも読むが、“シン”と読む場合もある。魔剣を持つ者は罪深き罪人である、というのは救世主神話に出てくる一節で、魔剣使いはその巨大な力故に悲劇的な過去を持つ事や過酷な運命を歩く事が多い。

 前述した術式によりショートカットで発動し、魔力により構築される刃でありその形状、能力は術式の形によって異なり、同じものは一つとして存在しない。編み出される物は魔剣という呼び名に対し、まるで剣とは程遠かったり剣にしては魔物を両断できるほど頑丈だったりと様々である。

 魔剣使いは世界に希少な存在であるが、それはそもそも魔剣自体の絶対数が非常に少ない事が理由に挙げられる。魔術式は現在でも複製、新規開発が可能であるのに対し魔剣式は古来から人から人へと伝わる物しか存在しない。故にその数は年々少なくなり続けている。

 この術式を発動するには魔術とは比べ物にならないほどの魔力を消耗する事になり、更にその真の力を引き出すのにはそれ以上の才能が必要である。魔剣にはそれぞれ能力によるカテゴライズが施されており、帝国側は確認した魔剣にSからDまでのランクを与えている。

 低ランクになるほど扱いは容易だが能力は低く、高ランクになるほど扱いづらくその能力も強大となる。その中でも最強とされる七つが通称大罪と呼ばれるSランク魔剣なのである。



ロゼ「そもそも魔剣は魔術と違って人から人へと直接継承されていくものなんだ。新しく増やす事が出来ないから、年々数は減って行ってるんだ。魔剣は一つあればすごい力を発揮するけど、今となってはフリーの魔剣使いは殆どいない」


うさ子「そういえば、剣誓隊が魔剣使いを集めちゃってるんだよね?」


ロゼ「そういうこと。魔剣使いを集めるという事は帝国の戦力を増強すると同時に世界から魔剣使いを減らす事でもあるんだ。しかもホクト……ヴァン・ノーレッジが魔剣使いを無差別に攻撃する事件なんかあったりもして、今の世の中魔剣使いは数えるほどしかいなくなっちゃったんだ」


うさ子「でも、剣誓隊にはいっぱいいたよ?」


ロゼ「あれはプロジェクトエクスカリバーと呼ばれる計画により生み出された人造魔剣使いなんだ。それじゃあ剣誓隊とエクスカリバーシリーズについて少し解説しようか」




~レッスンその3 “剣誓隊”について~


ロゼ「剣誓隊とは、帝国が所有する魔剣使いだけの特殊部隊だね。その人数は純正の魔剣使いだけでも数十人いるらしい」


うさ子「そんなにいっぱいいたら、誰も勝てないの……」


ロゼ「だからこそ帝国は強いんだよ。帝国が何に優れているかというと術式の扱いに優れているんだ。術式で動く機動兵器、術式で魔物を操ったり術式による兵器……。帝国の技術力は異常なほど発達している」


うさ子「うさも剣誓隊と一緒に戦ってた時代があったの~っ! すごいのすごいのっ!!」


ロゼ「特に厄介なのはエクスカリバーシリーズだね。ここではそのへんに触れていくよ」



【剣誓隊とエクスカリバーシリーズ】

 剣誓隊とは四人の将軍を中心に構成される魔剣使いのみの騎士団である。黒甲冑に黄金の装飾が特徴で、特に将軍四人は高い魔力とAランクの魔剣を持つ。

 しかし剣誓隊も長い下層との戦いやヴァン・ノーレッジの反撃により数百名居たはずのメンバーを減らし続け、現在では数十名を残すのみになってしまった。魔剣使いは基本的に増やす事は出来ない為、戦力が不足した場合補う方法は下層のフリーの魔剣使いを雇い、囲いいれるしかなかった。

 増やす事が出来ない魔剣の術式、それを解析し古代遺跡から発掘したロストテクノロジーと合わせ複製したのが天才錬金術師であるケルヴィーである。ケルヴィーはハロルドの持つ魔剣、帝魔剣ネイキッドをベースに魔剣を作る事に成功した。それが通称エクスカリバーである。

 ネイキッドの複製は当然万全ではなく未だ実験段階にある。しかしネイキッドの劣化情報を他の魔術術式により補う事により、魔剣にある程度の特殊能力を所有させる事に成功したのである。故にエクスカリバーシリーズにはその名の後に能力を代弁したコードネームが付与される。

 このエクスカリバーシリーズは不完全な術式である為、人間の精神と激しく反発し自我を破壊、更に肉体をも壊してしまうという恐ろしい術である。しかしエクスカリバーを馴染ませる為に、レコンキスタ中で“育成”し“教育”を施した子供達に強制的に写植し、量産に成功している。

 能力はDランクやCランクの魔剣ばかりだが、それでもただの騎士団よりはよほどに強力で人材の教育さえ出来れば複製不可能な魔剣が次々に生み出せる為、このエクスカリバーシリーズは脅威なのである。

 直、エクスカリバーの所有者となる子供たちは特殊な教育課程を経ており、その思想や意識は非常に偏っている。中には元々魔剣に対する高い適性を持つ為、エクスカリバーを与えられても自我を失わないエレット少佐のようなレアケースも存在する。



うさ子「魔剣使いは増やせない……でも、エクスカリバーシリーズは魔剣を増やせた。だからすごいの?」


ロゼ「そういうこと。レコンキスタでは次々に新しい魔剣使いが教育されて前線に送り込まれるんだ。そりゃ剣誓隊の勢力が拡大するわけだね。仮にザコであるエクスカリバーシリーズを退けても、上には本物の魔剣使いもいるわけで」


うさ子「はうう~……。でも、使うとおかしくなっちゃう魔剣なんて……かわいそうなの~」


ロゼ「帝国の人間はもうそういう風に考える心もないんだろうね……。しかしロストテクノロジーを手に入れたとは言え、魔剣をコピーするんだからあのケルヴィーって術者はすごいよ」


うさ子「そういえば、うさもケルヴィーが作ったってゆってたのっ」



~レッスンその4 “魔剣の継承と魔剣狩り”~


ロゼ「さて、ではその貴重な魔剣は如何にして継承されるのかだけど……実はこれはその気になれば即、移植が可能なんだ」


うさ子「はう? じゃあ、今うさがロゼ君にミストラルを継承することも出来るの?」


ロゼ「出来るよ。正し、それはやめといたほうがいいとおもうけどね」



【魔剣の継承】

 魔剣とは術式である。術式とは身体に紋章として浮かび上がっているものの、それは体内で常時生成され続けている魔力によって維持されている。

 仮に一人の人間の体内に常時100%の魔力が存在すると仮定すると、魔剣の術式を刻んでいるだけでその何割か……仮に30%とする……を常時消費している事になる。

 つまり、術式を宿している限り魔力は全体の70%を使うのが限界であり、それ以上の魔力を消費すると術式そのものが正常に維持出来なくなり暴走したり完全な状態で構築出来なくなる。特にホクトのガリュウは常時消費魔力量が非常に大きく、少し力を使いすぎるとその影響でガリュウが暴走、不完全な状態での発動により反動を受ける事になる。

 魔剣式の維持にはその所有者が魔力コントロールに長けている事が絶対条件であり、更にもっと根本的に言えば生きている事が条件である。所有者が死亡しその身体から魔力が完全に消失する事により、魔剣式は完全に消滅するのである。

 逆に言えば肉体が死んでいても魔力さえ残っていれば術式は稼動しており、それを継承する事も可能である(シルヴィアの首が落とされた後にタケルが魔剣式を奪うのは可能)。そして魔剣式の継承には魔剣維持の数倍の魔力が必要であり、その魔剣の力が強大であれば強大であるほど命懸けとなる。

 故に魔剣の継承はその力の大きさもあり、基本的に前所有者の死に際に行われる事が多かった(大規模な準備を行い、安全に継承する方法もある)。残りの命を懸けて魔剣を継承し、前所有者は死に絶えるのである。その場に継承者が居なかった場合、術式は完全に消失しこの世界から一つの魔剣が根絶する事となる。

 継承された魔剣はその魔剣のベースである術式を継承している為その性能は基本的に変化しない。が、その能力を扱いきれるかどうかは継承者の所有魔力量、適性に依存する。



ロゼ「まあつまり、僕は死に際のリフルからグラシアを継承したってわけだね。リフルも僕の父上が死ぬ所に居合わせて継承したみたいだし」


うさ子「じゃあ、うさも誰かが死ぬ時に立ち会わせたのかなあ……?」


ロゼ「ミュレイのように代々一族に伝わる魔剣だとかいう場合もあるし、まあそのケースは様々だね。唯一決定的なのは、魔剣は元々所有している人間が誰かに継承しようとしないと継承できないってこと。つまり普通は絶対に奪えないんだ」


うさ子「はうはう? タケル君とかホクト君は?」


ロゼ「それはガリュウの固有能力……。術式と名のつく物ならなんでも奪う事が出来るんだ。そして再現する……。魔剣は通常発動するのに体内の魔力を使うんだけど、ガリュウの場合は剣そのものが自立性を持っていて取りこんだ命をストックしてるんだ。つまり外部に補助バッテリーがあるってこと」


うさ子「だからあんなにポンポン剣が出せるのっ!!」


ロゼ「それでも枯渇するくらいだし、制御は凄く難しいみたいだけどね……。ちなみにこれは不思議な事なんだけど、魔剣は継承前と継承後で若干形状やデザイン、大きさが異なる場合があるんだ。能力は変わらないけどね」


うさ子「……なんでなの?」


ロゼ「一つだけ確かな事は、魔剣式は所有者の精神と深い繋がりがあるって事かな。所有者に性格や背負っている過去によって若干その形状が変化するみたい」


うさ子「はうう~……なんだか色々急に言われて頭がこんがらがっちゃうのー……」


ロゼ「魔剣にはまだ色々と秘密があるみたいだけど、それは今後の展開をお楽しみに」


うさ子「……なんでうさの術式、太股にあるの?」


ロゼ「腕にもあるでしょ?」


うさ子「あ、ほんとだーっ!? な、なんで? なんで二個あるのかなあっ!? 他にもあるかなっ!!」


ロゼ「だからって脱ぎ出して探そうとするなッ!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ