剣創のロクエンティア(5)
それからの私たちの事を、少しだけ語りたいと思う――。
ロクエンティアと呼ばれた世界は滅び、人の住める世界では無くなってしまった。生き残った人間はとりあえずメリーベルの力でバテンカイトスに押し込まれ、丸ごとそのまま別の世界へ移住する事が決まった。
彼女がもともと住んでいた世界はロクエンティアと比べると非常に広大で、きちんとした大地があり、難民を受け入れるだけの余裕があった。私もその例に漏れず……そして共に闘った仲間たちは、新しい世界でそれぞれの道を選んだ。
ロゼはアクティやエレットを始め、ギルドの生き残りを連れてこの新天地を冒険すると言ってガルガンチュアで飛び出して行った。なんでもこの世界はまだまだ未開の土地が多いらしく、いつかそこに移住してきた人々が暮らせる楽園を作るんだとロゼはとても張り切っていた。アクティもそんなロゼの案にまんざらでもないのか、しょうがないとか言いながらも喜んでついて行った。
帝国もククラカンも、全ての組織が解体され……私たちの間にあった垣根は存在しなくなった。でも、全てが終わったわけではない。何とか元の世界を元通りにしようという計画も持ち上がっていて、その為ゲオルグとウサクは元の世界に残った。二人は失われてしまったククラカンだけでなく、全ての大地を復活させると意気込んでいた。それはおそらく遠い……とても遠い、どうしようもなく果てしない時間の先にしか実現しない理想だろう。けれど、やって出来ないことはない……。誰かが始めなければ、夢は夢でしかない……。二人はそう語り、私たちの元を去って行った。
あの戦いの決着がどうなったのか、私は聞かされていない。戻ってきたのはメリーベルだけで、彼女はただ何も言わずにユウガを私へと差し出したのだ。戦いが終わっても私に帰るべき場所はない……それは、私が犯した罪の証なのだ。
私はもともと私が居た世界へは戻らず、この新天地で生きていく事を決めた。そこで私は……世界を旅するのでもなく、世界を元通りにしようとするのでもなく、ただ一人の人間として生きていく事にした。皆には悪いと思うしそれを否定するわけじゃない。でも……私にはもっと大事な事があったから。
生活していくためにはそれなりに収入が必要で、私は新しい世界の学校で働く事になった。なんでもこの世界には英雄学園という、様々な分野の英雄を育てる学園があるらしく、私はその中の一つに就職した。驚くべき事にこの世界では異世界からの来訪者は別に珍しいものではないらしく、誰もが簡単に私たちを受け入れてくれた。
今となっては当たり前のように教鞭を執り、子供たちに様々なことを教え、そして逆に教えられたりしている。そして、この世界を救ったという英雄の名前を聞いた時……私はとんでもなく驚く事になるのだが、それはまた別の物語のお話だ。
何はともあれ、私たちは新しい生活へと移ろうとしていた。私はその、シャングリラという街で暮らすことになり……そして、転機はそれから半年後に訪れた。
「…………本当に、一人で行くの?」
シャングリラは草原に囲まれた街で、巨大な城壁に覆われた要塞都市だ。その街を背景に私はメリーベルと向き合っていた。彼女もこちらの世界で半年ほど過ごしていたのだが……何を思い立ったのか、また別の世界へ旅立つというのだ。
「またいつ、ロクエンティアみたいな世界が出てくるかわからないしね。それに、アニマは消えたわけじゃない……ただ封じただけ。だからもっと腕を磨いて……アニマを消し去る方法を探してみるつもり」
「……そっか。そういえば、不老不死の術を探して旅をしてたんだよね……。アニマの一件が片付いても、メリーベルの旅は終わらないのか」
少しだけ寂しい気持ちはあった。けど、きっと彼女はひょっこりと帰ってくるだろう……そんな気がする。トランク一つだけ片手に、彼女はあっさりと全ての世界を超えていく……。まさに、世界を渡る魔女という言葉がふさわしい。
風の中、彼女は髪をなびかせながら微笑んでいた。きっともう……私は彼女が居なくても大丈夫だと思う。メリーベルには本当に色々と世話になって、その借りは多分一生を賭けても返しきれないくらいだけど……。でもだからこそ、彼女の新しい旅立ちを見送る義務が私にはあるのだ。
「そっちこそ、本当にいいの? 私が居なくなったら……当分会えなくなると思うけど」
「……それは、いいんだ。ミュレイがそう望んでいるから。私は……彼女の思う通りにしてあげたいから」
「……そう。それじゃあ、せいぜい仲良く元気でね」
「メリーベルの方こそ……色々ありがとう。お元気で」
手を振り、別れを告げた。彼女は背を向け立ち去りながら片手を上げ、ひらひらと振る……。なんともさっぱりしていたかっこいい女の人だった。思えば彼女には何から何まで全部世話になったものだ。だがこれで後生の別れというわけではない。きっと、メリーベルとはまた逢う事になると思う。なんとなく……そんな気がするのだ――。
こうして私は新しい世界で生きていく事を決めた。けれど仲間たちがそれぞれの道を歩き出し、メリーベルが立ち去った今でも孤独というわけではない。私の傍には……ミュレイがいる。彼女と共に暮らし、これからも生きていく。そう、私は誓ったのだ。
ミュレイが座った車椅子を押し、私は町を歩いていく。ミュレイは両足と片腕を失い、一人では生活できない状態になってしまった。だから私はミュレイの面倒をこれからずっとずっと見ていこうと思う。メリーベルの力を借りれば、義手や義足を手に入れる事も出来る。けれど彼女はそれを望まなかった。
この傷も、痛みも、これから背負う不自由も……全ては自分の犯した罪の証だから、受け入れていく……ミュレイはそう語った。私たちは間違え、そして傷つけあい……生きてきた。ミュレイは自分を見つめなおし、罪を償い一人の人間として生きて生きたいと言っていた。ミュレイが自由に振舞う事が出来ないのは悲しいけれど……それが彼女の望みなら、私はそれを叶えてあげたい。
「……しかし、せっかくの休みなんじゃから一人で気分転換でもしてきたらどうじゃ? わらわの面倒を見ていたら何も出来んだろう」
「何言ってるんだよ、私はミュレイと一緒にいられるのが一番楽しいんだ。ほら、公園に着いたよ……。たまには外出しなきゃ、ミュレイだって息が詰まるでしょ?」
私は車椅子を押しながら公園へと入った。噴水が盛大に水を吐き出し……その周りで子供たちが遊んでいる。冷たくてさわやかな風が吹きぬけ、私は生きている事を強く実感する。
そう、これからも生きていく……。どんな形でも、どんな想いを抱えてでも……。私たちはそんな自分と向き合う義務がある。そしてそれを受け入れていく勇気がある。だから、これからも歩みを止めたりしない。願いを忘れたりしない。
ミュレイと共にあり、彼女の手足となって生きていく……。それは人から見たら大変だとか不幸だとか思える事なのかもしれない。でも私はまるで何一つ後悔していない。今度こそ……私は本当の意味で彼女を守ってみせる。彼女の心を……守り抜いてみせる。彼女の騎士として。彼女を守る勇者として。北条昴、ただ一人の人間として――。
「不思議なものじゃな……。もう、何もかも失ったと思っていたのに……世界はこんなにも広く、何もかもを受け入れる」
「……大切なのはきっと、そんな世界を正面から見つめ、受け入れる事なんだよ。ミュレイ……私たちはきっと、これでよかったんだ」
ミュレイがうなずき、微笑みながら私の手に自らの手を重ねる。私たちはそうして時間も忘れてぼんやりと暖かい日差しの中で噴水を眺めていた。やがて暫くそうしていると、正面から剣を背負った子供たちが歩いてくる。そうして私の名前を呼びながら手を振るのだ。
「お主、なかなか人気の先生みたいじゃのう……?」
「か、からかわないでよ……。一緒に行こう、ミュレイ。みんな良い子なんだ。紹介したい子が沢山いるんだ。話したいことが沢山あるんだ。聞いて……くれるかな?」
彼女は何も言わずに優しく微笑んだ。この暖かい日溜りのような笑顔を守っていこうと思う。これからもずっと、ずうっと……。だからこれで私の物語はおしまいだ。これから続くのはきっと、私ではない誰かの物語……。私はきっとその誰かの物語の中で、また登場人物になるのかも知れない。
でも、私のやることはもう決まっている。もう迷うことなんて何も無いんだ。私はミュレイと共にあり続ける。これからもずっと、彼女と一緒に歩んでいく。大変なこともあると思う。厳しい現実に直面もするだろう。それでも……繋いだ手は決して離さない。
ゆっくりと、車椅子を押して歩き出そう。そんなゆっくりとしたペースでも、きっと笑って受け入れてくれる。がんばれって背中を押してくれる。そうだよね……きっと。兄さん、貴方なら――――。
白い、白い砂の大地の上を歩く一人の男の姿があった。男は風を受け、その長い髪を靡かせる。手にした煙草から紫煙が揺れ、果てしなく透き通った青空に抜けていく……。
男の背後、うさぎの耳を生やせた人々が暮らしていた。男は振り返り、その景色を眺める……。崩壊したエデン……それでも彼らはこれからもこの時の止まった世界で生きていくのだろう。男もまた、その世界の住人となったのだ。
アニマを消せない以上、この場に留まりそれを封じ続ける役割が彼にはあった。彼はこの剣の世界の王であり、守護者であり、神となったのだ。新たな器として……これからはこの世界を管理していかねばならない。
それは気の遠くなるような長い年月を犠牲にしなければ成し遂げられない大事だ。だが彼はそれをある程度楽観的に考えていた。きっとアニマも、うさ子のように……学ぶ事が出来ると信じているから。だからせめて、誰に見せても恥ずかしくないように立派に生きていこうと思った。もう、何一つ溢さない様に……闘おうと思った。あらゆる運命と名のつく悲劇から、全てを守ってみせる。彼の野望はまだ始まったばかりだ。そう、その手始めがこのうさぎの村……。
人を守り、愛する事で愛された人はまた誰かを愛し、それを伝えていくだろう。憎しみが連なり連鎖するのであれば、愛もまた同じく連鎖していく……。気の長い、とても気の長い計画だ。でも……北斗は知っている。それでも愛は確かなもので、そして誰かを救う力を持っているという事を。
「北斗君、北斗君ーっ!! はううっ! はうはうっ!!」
「おー。今日も元気そうだな、創神剣ロクエンティア」
「……うさ、そんな名前じゃないの……。確かにうさは剣になっちゃったけど、今は元通りうさはうさなのですっ」
剣から元の姿へと自在に変化する事が出来るようになったうさ子は白い大地を踏みしめ北斗へと駆け寄ってくる。そうして北斗の胴体にダイブすると、ほっぺたをすりすりと何度もこすり付けた。
「よしよし……。それはともかくどうした? お前、あの村を復興させるんじゃなかったのか?」
「うさ村はねえ、だんだんと軌道に乗ってきたのっ! うさはねえ……うさ村の村長さんになるのーっ!!」
「いやまあ、もう既に村長みたいなもんだと思うが……」
「あ、そうだ! あのねえ、シェルシちゃんがご飯出来たから北斗君呼んで来てくださいってゆってたのーっ! はうう……うさ、おなかぺこぺこなのー……っ」
「あ~、そうなのか。よし、じゃあうさ村まで競争するか!」
「なのなのっ!!」
二人は丘を下り、うさ村へと下っていく。実験に失敗したホムンクルスたちが暮らすうさ村へ……。その村ではうさぎの耳を生やしたホムンクルスたちが村の中央部にテーブルや椅子を設置して大規模なお昼の時間を迎えようとしていた。毎日お昼の時間はこうして村中の人間が集まり、一緒にご飯を食べるのだ。
村の中心部ではドレス姿のシェルシが村人たちへ食事を配っていた。小さなうさ子たちがもぐもぐとパンをかじる中、シェルシは穏やかに微笑んでいる。そんなシェルシへと駆け寄り、北斗とうさ子はおなかをさすりながら言った。
「「 おかーさん、おなかすいたー 」」
「誰がお母さんですか、誰がっ!? もう、二人とも……ご飯の時間には遅れないでっていつも言っているのに」
「うさ、遅れてないの! うさはねえ……毎日ご飯の時間二時間前にはここに座ってるの!!」
「いや、働けよ……。この村自給自足なんだから……」
「北斗君のほうが働いてないのーっ!!!! うさはねえ……うさ村の村長さんなのっ!! だから、二時間早くご飯を待っててもいいのーっ!!!!」
「言ったな、うさ子の分際で……?」
にらみ合い、バチバチと火花を散らす二人……。その二人を同時に叩き、シェルシはにっこりと微笑んだ。
「じゃれあってないで、早く手を洗ってきてくださいね……? ご飯要らないなら別にそのままいつまでもじゃれててもいいですけど」
「「 ……ご、ごめんなさい 」」
こうして彼らなりの日常が続いていく……。手を洗った二人が食卓に着き、一斉にいただきますの声が響いた。それぞれが食事を摂る姿をシェルシは優しく微笑みながら眺めていた。
アニマを封じるという生活は、いつまで続くかわからない。だが北斗にもシェルシにも、うさ子にも無限に等しい時間があった。だが彼らはだからといって何か特別なことをするでもなく、当たり前のように一日一日を大切に過ごしている。
好き嫌いをする小さい子供たちを追いかけ、食べさせようとお姉さんぶるうさ子……。それを北斗とシェルシは笑いながら眺めていた。心を持たなかったうさ子に心が芽生えたように、人と人との関わりの中できっとホムンクルスも心を芽生えさせていくだろう。事実彼らは以前よりずっと人間らしくなり、笑うようにもなった。
穏やかで、平和で……とてもささやかな日々。でもそれで誰もが満足していた。これから何が起こるのかなんてことは誰にもわからない。もしかしたら唐突にアニマが目覚め、この世界は滅ぶのかもしれないし、永遠にそうならないのかもしれない。でもたった一つ確かなのは今日の事、そして明日の事だけ……。今日を毎日必死に生きていれば。明日を毎日、信じて眠ることが出来れば。どんな唐突な終焉だって笑って受け入れられるだろう。抗えるだろう。何度でも……そう、何度でも――。
「しかし、本当にすっかりお母さんだな、シェルシ」
「……なんだかその呼び方はいまいち釈然としないのですが」
「そう怒るなって。皆お前に懐いてるじゃないか。いい兆候だよ」
「……そうですね。彼らが心を取り戻して……これから新しい世界を作っていく礎になる。そんな未来が……いつか実現するといいのですが」
「そうしたら俺らはまさにアダムとイブだな」
「……はい?」
「あー、いや……こっちの話だ。それよりシェルシ……」
北斗は顔を上げ、シェルシの顔を覗き込む。かつて姫だった女性は優しく穏やかに微笑み、その瞳の中に北斗の姿を映し出す。テーブル越しにその手を取り、北斗も同じように微笑んだ。
「……ありがとな、一緒に居てくれて」
「何を今更……。私は、貴方が嫌だと言ってもついていくんですよ? それは貴方が一番ご存知でしょう」
「……そうだな。そういや、そうだったな……」
北斗の手に自らの指を絡め、シェルシは強く握り締めた。暖かいぬくもり……そして気持ちが伝わってくる。何もかもが絶望に彩られ、破壊されたこの終焉の世界の中にも……希望は確かにある。そう、こんなにも身近に……その掌の中に。この世界の絶望に負けない輝きが、眠っているのだ――。
「ずっと……貴方についていきますよ。貴方となら……どこまでだって」
「…………ああ。きっと……きっと、これからもずっと皆を守るよ。シェルシ……お前を守り続ける。だから俺の居場所で居てくれ。俺についてきてほしい。これからも、ずっと……」
二人が見つめあい……そうして暫くの時間が流れた。なんとなくいい雰囲気になっていたそこにうさ子が飛び込んできると雰囲気はぶち壊しになり、耳をぱたぱたさせるうさ子を北斗は苦笑しながら見やった。
「北斗君、シェルシちゃんっ!! 二人ばっかりいちゃいちゃしてずるいのーっ! うさもーっ!! うさもいちゃいちゃするのーっ!!」
「い、いちゃいちゃなんかしていません!!」
「そうだそうだ、本当にいちゃいちゃしてるのは夜だ」
「貴方は何を言っているんですかぁああああああああああッ!!!!」
テーブルを乗り越え、シェルシが蹴りを放つ。しかし北斗は身軽にそれを回避し、ひっくり返りそうになったシチューの注がれた器を片手に逃げ去っていく。シェルシはおたまを握りしめ、それを追いかけ走り出した……。
「…………はう。それが、いちゃいちゃしてるっていうんじゃないのかなぁ……? ね?」
うさ子は耳をぱたぱぱたさせ、周囲に立っていた子供たちに問いかけた。子供たちがうなずき、そして彼らの視線の先……男は食事を続けながら飄々とシェルシの攻撃をかわし続けている。
「待ちなさい北斗! 貴方という人は、子供の前でなんて事を言い出すんですか! いい加減その態度を改めなさい!」
「って、言われてもな~……」
「言われてもな~じゃありません! 今日という今日は、納得するまで話に付き合ってもらいますからね!!」
「すいません、おかあさん」
「お母さんじゃありませええええええんッ!!!!」
白い大地の上、二人の影が走り抜けていく。風が吹きぬけ……修復された鐘堂から清らかな音が鳴り響いた。それは結晶の森に……白き大地に……そしてきっと、遠く世界を隔てた場所に居る仲間たちに届く事だろう。
鐘の音と共に、彼らの物語は終わりを迎える。そして新たなそれぞれの物語が幕を開けるのだ。その全てが幸福に彩られた物だとは誰にも約束できない。だがそれでも、逃げずに……。きっと立ち向かうのだろう。ずっと、ずっと……。
うさ子が小さなうさ耳の少女を抱きかかえ、空を見上げる。抜けるような蒼さの向こう――きっと同じ空でつながっている。そう信じられる仲間たちの心の中で、この物語は終焉を迎えるだろう。
これは、そう――。
神に抗う男と罪を背負った少女の、世界を終える為の物語――。
剣創のロクエンティア
「……信じられるよね、きっと……。うさたちの愛が……誰かに届くって」
優しいぬくもりを抱きしめ、神の剣は空を仰ぎ見る。それはいつか誰かに届く、確かな愛のメッセージ。紆余曲折を経て辿り着いた……荒唐無稽な“幻想譚”である――――。
~はじけろ! ロクエンティア劇場~
*さよなら、いつか*
うさ子「はううううううううううっ!! はうあぁうあはうあはうあはうあはあうううううっ!!!!」
北斗「……おい、どうした……」
うさ子「お、終わっちゃったのーっ!! さびしいよう! さびしいようーっ!! わーんわーんっ!!」
昴「まあ、一応ハッピーエンドじゃない? この作者の世界にしては」
北斗「そうだぞ。最後化け物になったり、異世界にぶっとんだり死んだりしないだけマシだろ」
うさ子「……そんな世界ばっかり見たくないの……」
シェルシ「えぐえぐ……っ」
昴「こっちも号泣!?」
北斗「オイオイ……大丈夫か?」
シェルシ「だって……だって、もう終わっちゃうのかと思ったら……うわあああん!」
うさ子「わーんわーん!! うわぁあああんっ!!」
昴「子供だ……。子供が二人居る……」
北斗「まあ……またいつか会える日が来るさ。メリーベルや本城夫妻みたいにな」
昴「それちょっとリアルでいやなんだけど」
うさ子「みんな、みんな大好きなのお! ありがとうなのーっ!!」
シェルシ「えぐえぐ……えぐえぐ……っ」
北斗「なんか言えよ――」
昴「それではみなさん、本当にお疲れ様でした」
北斗「みんな、ありがとな!」
一同「「「「 さようならーっ!!!! 」」」」
シェルシ「えぐえぐ……」
昴「泣き止まないんだ――」




