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案内人

「おお怖い、まるで大人みたいな口をきくじゃないか。もちろん連れていくさ。だがその前に、どこかに寄っていかなくてもいいのかい」


 男が意味ありげに聞いた。

 説明されなくてもわかる。エリクサーの隠し場所へ行って取って来い。そういう意味だ。


「寄り道はしません。さっさと連れて行ってください」


「ずいぶんと嫌われたもんだな。これでも俺は、けっこう子ども好きなんだぜ。家に帰れば娘が三人もいるんだ。坊主とあまり変わらない年だが、みんなとびきりの美人だぜ」


 腹を立てるな。冷静になれ。

 どうせ、こいつは奴らに雇われただけだ。特別なことを知っていたりするような立場じゃない。


「エリクサー、持ってるんだろう」


「そんな物、知りません」


「意地を張るのもいい加減にしたほうがいいぜ。このまま手ぶらで向こうに行けば、坊主はきっと殺される。まあ、俺の想像だがな。少しは大人の意見ってやつを聞いておいた方がいい。

 坊主が殺されるのは自分の勝手だ。だが俺だって、根っからの悪人ってワケじゃない。場合によっては坊主に力を貸してやってもいいぜ。その代わりと言っちゃあなんだが、頼みたいことがある」


「どういうことです」


「俺に娘がいるのは本当だ。心の底から愛してる。でも、二人目の娘が重い病気なんだ。このままだと間違いなく死ぬ。ポーションでもたせちゃいるが、その金も尽きてきた。それで、この仕事だ。声をかけられた時、俺は天啓だと思ったね。

 女の子をさらったのは俺じゃないぜ。ギルドの前でチンピラなんかが待ち伏せしていたら、すぐに追い出される。だから本物の冒険者を雇う必要があった。そこに、たまたま俺がいたってことだ」


「それを横取りするつもりですか」


「ああ、そうさ。奴らはただ薬としか言わなかったが、それくらいは俺にだって想像がつく。案内人を雇うほど高価な薬なんて他にはない。どうだ。ひとしずくでいい。分けてくれたら一生、恩に着るぜ」


 オレは答えなかった。

 エリクサーはない。だが、たぶんその子を助けてやることはできる。失明した目を元通りにできたんだ。今のオレならどんな病気でも治せそうな気がする。

 でも、それをどうやって説明する。本当は子どもじゃなくて、ヒーラーとして常識を超える力に覚醒した元冒険者だ……とでも言うか。ダメだ。そんなことを話しても信用してくれるわけがない。正気を疑われるのがオチだ。


「子どもには難しい話をしちまったな。まあ、いいさ。気が変わったら言ってくれ。ただし手遅れにならないように頼むぜ。俺だってボランティアで人助けをする余裕があるわけじゃない」

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