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着衣の文化

 再び空間魔法【収納】を発動した。


 祭壇に赴いた時、劣化していないものは無作為に異空間に突っ込み、ダメになっているものはブレスで燃やすなり魔法で塵にしていた。祭壇には多くの小さき者達が訪れていたので、小さき者も訪れた際に劣化しているものは処分してくれていただろう。


 目の前に浮かび上がる黒い空間に手を伸ばし、身につける物を適当に出してみる。身に付ける物としては鎧や武器、次に宝石など装飾品が多い。布はやはり弱いのだろう、数があまり無いように思えた。目立つのも嫌なので淡い色合いに、比較的シンプルで動きを阻害されないような物が良いな。


『うん。これで良いだろ。』


 インナーはノースリーブのようなもので、その上には袖が多少広がっていて脇の部分には切れ込みがあるが肩や腕が動きやすい背中が開いた服だ。下には裾にだいぶ余裕があるが腰をしっかりと紐で止められるので良い。多少だぶついているが可動範囲を阻害されない。それに多少ダブついていないと履くときに尻尾が通らないのだ。


 翼と尾を入れる部分に大きく切れ込みを入れる。

とりあえずこれで良いだろう。特に困ってはいないが、足元はどうしようか。森人は皮にようなものを履いていたな。あとで相談するとしよう。


 それにしても小さき者達は、このような薄くすぐに破れてしまう物も身に付けるのか。普段から鎧やローブを身につけていると、それを外した時にも何か着ていないと落ち着かないのだろう。牙を通さない毛や鱗もないので、しょうがないのだろうが。


 多少手を加えた服に着替え、異空間から出した物を再び収納していると入り口から声がかかった。


「アイル様、よろしいでしょうか。」


 メイサーが支度を終えて迎えに来たようだ。


『はい!』


 不意を突かれて返事をしてしまった。まだ出した物をしまい終えていないのに。


「失礼します。あ、、、すみません。まだ、準備をされていたのですね。」

『いえいえ!もう仕舞うだけですから!』


 黒い空間に向かってテキトーにポイポイ放り投げる。


「高価そうな宝石や大きな魔石もありますのに。」


 メイサーは唖然として口を開けながら、その光景を見つめていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「アイサー、報告を聞きましょう。」

「はい。ある程度は姉上より報告があったかと思いますが、山の祭壇にて天空の神へ祈りと奉納をし帰路につこうという時にフォレストタイガーの群れに不意打ちにあい二名が負傷しました。群れは全部で十頭おり、リーダーと思われる一頭は、他に比べふた回りは大きい個体でした。」

「なんと!十頭だと!?」


 秩序の番のシールスが驚きに声をあげた。


「そこまで大きな群は聞いたことがないな。番いと子供か?」

「そこまではわかりませんが、どれも成獣といってもおかしくない大きさでした。」

「ふむ。」


 アイサーの答えに叡智の番リンシーは考え込む。


「それで、フォレストタイガーの群れは?」

「周囲を包囲されかけたところアイル殿が現れ、リーダーの一頭に攻撃しそれに恐れて撤退していきました。」


 それを聞いて考え込んでいたリンシーはバッと顔をあげ進言する。


「長。これはマズいかもしれません。数日は大丈夫でしょうが、いつからアイサー達が狙われていたのか。祭壇は魔物避けの結界が張ってありますので、それを理解していて帰るタイミングを見て襲ってきたのでしょう。知能も相当あると思われます。」

「そうですね。村の防御を固め、暫くは村の外への外出は控えましょう。アイサー、そのフォレストタイガーの群れは駆除できそうですか?」

「わたしはリーダーの一頭を抑え込むのにいっぱいでした。リーダー以外の個体でも、並の戦士では数人掛りでないと厳しいでしょう。それも無傷では済まないかと。」


「そうですか。これは木の精霊にも助力を願わないといけないですね。戦士は、木の上から見回りをしましょう。もう少しで森の神が訪れてくださりますから、それまで何もなければ良いのですが。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「アイル様、そろそろ宴が始まるようですので向かいましょうか。」

「もうですか!なかなか興味の唆るものばかりで面白いですね!」

「ふふふ。お気に召していただけたようで何よりです。まだまだ紹介したい場所はあるのですが、後日ご案内しますね。」

「はい!よろしくお願いします!」


 これが小さき者達の営みか!実に興味深い。学び社という、子供たちに精霊との接し方や弓の作り方などを教えたり、そこらの住処では狩った獣の皮を【なめし】と言ったか?加工している。あれが足に履いている物になるのかと聞いたら、メイサーに笑われた。靴というらしいが、他にも武器や防具にも用いるのだそうだ。

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