プロローグ〜神体山〜
まだそこは無に包まれていた。
原初の神は、そこに『次代の神々』と『星』を一つ二つと次々に生み出した。
原初の神は、自らの作った星を繁栄させるための4つの種族を生み出した。
空を舞い風を好む空の民、草樹と共に生きる緑の民、鉱石と静寂を嗜む地の民、海や湖で飛沫と戯れる水の民。
次代の神々は原初の神を真似、様々な生物を作りだした。それは次第に戯れのように、気まぐれのように、他種多用な生物を生み出した。
神達は星々に生み出した生物を眺め歩く。生物達が自らの住まう星をどのようにしていくのか。その結末が破滅なのか発展なのか。
児戯のように稀に祝福や試練を与えながら。
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これは神が作った生物の住む、数ある星の内の一つの物語。
その星には豊穣な土地、枯れた地、巨大な樹々の生い茂る森、常に白銀に覆われた極地、雄大な海。様々な環境で多種多用な種族が暮らしている。
その星で一番大きな大陸には、最も高く険しい山があった。山頂部は、ドワーフも恐るマグマが沸々とし、そこでは火の精霊が踊っている。
山頂部からしばらく下ると大小様々な岩が転がり、次第に辺り一面は永久凍土が残る別世界となる。
山を下るにつれ、巨大な岩石が所狭しと並び、風の精霊が連れてきた雲から降り注ぐ雪や雨、溶けた氷も合わさり、岩の間を縫うように流れる。水は時には地面から染み出し、時には交わり水の精霊が遊ぶ大きな川となる。山の裂け目にあたると飛沫を上げる滝を作る。
恵の水は、生物に生を与え背の低い植物から徐々に木々へと背を伸ばす。
山の中腹では植物を糧にし、多くの動物達が生態系を保っている。
裾野は樹海となり直径数メートルの巨木が立ち並び、擦り合う葉や弾ける水が奏でる音に合わせ、木の精霊が唄う。
川は豊富な栄養を運び、麓に住む複数の種族にも恵を届けていた。
大陸に住む種族は、その恵をもたらす山に神がいると信仰し神体山と崇めた。
神体山の山頂付近の洞窟。昔の噴火口の一つだろうか過酷な環境にもかかわらず、その洞窟を寝ぐらしている原初の神によって生み出された空の民、数少ない内の一体がいた。その生物は大きな翼、長く太い尾、鋭く大きな牙と爪、堅固な鱗を持つ。そう、ドラゴンである。
プロローグは敢えて堅めに作りました。次回からは、もう少し柔らかく。
読んでいて情景が浮かびやすい感じになると良いな、と心掛けます。笑
初心者の気まぐれ小説です。お手柔らかにお願いします。