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閉鎖的空間の中で  作者: めい
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不安定の連鎖

「うぉおおおおおおおおお!!!!」

隣の部屋から鳴り響く叫び声。

(おいおいこいつと同じ扱いかよ。こっちは首吊っただけだぞ。)

今になればどちらがタチが悪いのかわからないが、その時はそう思っていた。


カチカチという時計の音、叫び声。不思議なもので1人が叫ぶと廊下に面して並ぶ保護室は負の連鎖を起こすのだった。


「うぉおおおお」

「看護師さーん!こわいですー!!!」

「うるせえええええ!だまらせろ」

「うぇーん...こわい.......こわい.......」


なんせ情緒不安定な人の集まりなのだから、きっかけがあればみんな不安定になるのだ。その中でまだまともな私はひたすらちり紙で鶴を折った。

(鶴が折れる紙でおしりを吹くのだから痛いのはわかってほしい)


楽しみはご飯だけ。仕切りのないトイレから2メートルもない地べたに置かれる食事。看護師なのか、看護助手なのかわからないイケメンが届けてくれた。


私の折る大量の鶴を見て

「これ全部折ったの?」

と、笑った。

「暇なんで。それよりなんで不安定な人をこんな檻みたいなとこにいれるんですか?」

イケメンへからの質問を適当に逆に尋ねた。

「ここは保護室っていうでしょ?危ないものもないし、何も無くて心が1番落ち着ける場所なんだよ。だから、不安定な人がここに居るんだよ。」

ちょっと理解ができなかった。こんな独房のどこに不安定を取り除く要素があるんだろう?

「はぁ。でも私、別に不安定じゃありません」


大量の鶴を折る女。自殺未遂をした女。

今思えばどう考えても不安定だ。でも、この時は拘束も取れていたし納得できなかった。

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