拘束ベット
目が覚めた時、なぜ良いベットに寝かされていたのかが理解できた。
体のどこも動かない。そう拘束する為だ。両手、両足、胴体全てだ。
「起きたのか?」
小太りの医者がたずねる。
「こうなった理由におもいあたることは?」
「ありません」
あくまでめぃちゃんがしたのだから、わからないを貫いた。
「こういう病院はね、死なないためにあるんだ。自殺されたらこまるんだよ。」
「はぁ、、、」
「自殺したんだよ、君は」
(しっとるわ)
言葉を飲み込んで
「そうなんですね」
と、答えた。体はピクリともうごかない。なんか、ペットボトルの蓋みたいな鍵がないと開かないらしい。そして、下半身にはオムツをつけていた。
「あのね。もうこれ以上の事があったらいけないから、排便以外はオムツで、排便は看護師の前でね。食事の時だけ両手はずすけど、暴れたら断食だから、ね。」
(なにが「ね。」なんだ。このやろー)
心はムカつくが体はうごかなかった。たぶん、拘束されていなくても動かなかっただろう。疲れていた。
寝返りがうてないことがこんなにキツいと思わなかった。オムツで排尿がなかなかできない。困ったことはそれくらいで、ベットの上はマットの上より断然ここちよかった。
そして死ねなかったことを後悔した。あんなにナースコールを無視していたくせに見ていたなんて。首にかかった体重をそのまんまにしておいて欲しかった。私は死ぬべきなんだ。鬱になって5年、鬱というより双極性障害というらしいが、死にたいには変わりはなかった。