王都de潜伏⭐︎即発見!
王都の隠れ家的オシャレ物件に潜伏して、早三日の俺は刻一刻と悪化していく状況にたまげることしかできていなかった
「女王陛下の外遊先で問題が起きて足止め中......コレはまぁ分かる......イデカ国内各地で魔物の発生、組織された盗賊団、伝染病、内乱って......もうコレ実質侵略でしょ」
全神経を集中させ探知魔法の応用で王都内に溢れる情報を拾い集めた結果、スピード死罪の一件から国家存亡の危機レベルの出来事がバーゲンセールの様にイデカ国内で発生している事がわかった
「実質、王都の国政を担っているのは時期女王マリー殿下とその側近達って......封建国家としてもヤバ過ぎィ! 小娘達が権力握ったら絶対乱用するわ! 今してたわ!」
......今までだったらこんな詰まらない話でも周りがチヤホヤしてくれたというのに......今は俺一人......ユーリ泣いちゃうぞ⭐︎ミ
「あ”ぁ”......チヤホヤされてぇ......ニコッと笑っただけで、惚れられてぇ......」
第二の人生を異性にチヤホヤされ続けた俺はチヤホヤ欠乏症になりかけていた
「あのハイパーステロイドドーピング駿馬君なら今頃、領地へついているはず......隠れ家がバレることは万に一つも無い......とか、フラグ立てちゃったりしてぇ♪」
その時、ドアからコンコンという控え目なノックが聞こえた時、俺はやっちまったぜ⭐︎ と思った
「......イスパ君めっちゃ有能なんだけどぉ↑ サヨナラ!」
ドアが蹴破られフル装備の一般近衛兵君達が雪崩れ込んでくる様子を見た直後、俺は”転移魔法”で”7軒目の隠れ家へ飛んだ
「ふぅ......間一髪でしたわ......」
「本当ですねぇ! ユーリ様ぁ♡」
背後から聞こえたゾワリとする猫撫で声には聞き覚えがあった それは紛れもなくヤツさぁ......
「イスパ殿......お見事でございます」
振り返ることなく笑みを浮かべて相手を称賛する強キャラムーブを見せつつ俺は内心チビってたと思う
「ふふっ♪......ユーリ様にお褒め頂けるなんて光栄です」
あれ? 君そんなキャラだっけイスパ君? と思いながらゆっくりと振り返ると案の定、俺のよく知るオドオド系小動物男子イスパ君であってイスパ君では無い、小悪魔系ドスケベ露出衣装美男子イスパ君とただならぬ使い魔君達が待ち構えていた
「なるほど......やはり、そういう事でしたか......」
とりあえず一ミリも状況がわからないが、ふ〜んそういう事ね? 系の雰囲気を漂わせながら したり顔で頷く
「すっごぉ〜い! ユーリ様は全部お見通しだったんですかぁ? だからボクを避けてたんだ〜♪」
ヤッベェ......イスパ君納得しちゃったよ......コレ話合わせて時間稼ぎしなきゃ(使命感)
「......確証は持てませんでしたが、それは間違いでは無かったと今思い至りました」
ふわふわすぎるけど......頼むッ! 会話続いてくれぇ!
「ふ〜ん♪ 学園で一目見た時から”おいしそう”だなぁって思って近づきたかったんたけど......そっかぁ......バレちゃってたなら避けられて当然だね♡」
ファ!? イスパ君”そっち”もイケちゃう口なの!?
「そんな怖い顔しないで欲しいなぁ♪ せっかくのキレーな顔が......益々おいしそうになっちゃうから♡」
ヤベェよ......ヤベェよ......たまげてないで、何か言っとかなきゃ
「おやめなさい......その様なまやかしをささやこうと......あなたの本当の目的は果させません」
本当の〜系はとりあえずフッとけば相手が勘違いしてくれる便利ワードだから
「......へぇ、そこまで解ってたのにボクを泳がせてたんだ? それじゃ、切り札があるんだね?」
シャァー↑ でも、こっから先はマジでハッタリどころか思い付きワード並べるしか無いんですが......
「ふふっ......さぁ? そんなモノございませんよ? 全ては成り行き......私もここまでですね......」
あえてここで真実を思わせぶりな身振り手振りで明かしていくスタイル......どうだ!? とりあえず、最悪転移で逃げよう......
「......待て、確か領地へ向かった駄ギツネとかいうのが居たな?」
イスパ君は後ろに控えていた使い魔君にそう訊くと、聞かれた使い魔君は頷いた
「......あはっ♪ 危うく騙されるところだった♡ そっか〜領地へ行った方が本物だったのか〜♪」
それマジ? 驚愕の新事実すぎるだろ......
「ほぉ〜ら♡ その か・お ♪ あと一歩だったのにね? ”影武者” さん?」
顔? ッハ! 確かに俺はなぁにいってだぁこいつ? といったアホ面丸出しで惚けていた
「仕草や話し方......まさか息遣いまで本物と瓜二つにするなんて♪ どれだけ仕込めばそんなに似せられるんだろうね? だ・け・ど その驚いた顔はダ〜メ♡ そんな間抜けな顔はユーリ様はしないよ?」
いや本人なんですけどね? めっちゃディスられましたけど俺ですからね?
「何を言っているのですか?......私こそユーリーーーー」
「さっ、皆帰るよ〜やっぱりユーリ様はすごいや♪ 影武者さん? ユーリ様に伝えておいてね? 早くしないとユーリ様の大切なマリー様がめちゃくちゃになっちゃうってね?」
脳を破壊する展開はやめろォ!
「お待ちなさい! ーーーーック!」
突如、イスパ君から放たれた高位攻撃魔法であるアイシクルスピアを魔法障壁で防ぐと砕け散った氷の泡沫が部屋中に広がり視界を奪った
「ふ〜ん♪ 魔法まで本人そっくりに仕上げるなんて本当に本物みたいだね♡ まぁ〜たね〜」
いや! だからね! 本人だからね!? っていねぇ!
風魔法で部屋の空気を吹き飛ばすと、そこには既に誰もいなかった
「......あの無詠唱でコレだけの威力......イスパ君......さてはおめぇ、”魔族”だな......」
魔族ッ 人族よりも高位の存在であり、産まれながらにして魔法を湯水の如く行使する悪夢の様な敵
「魔族がなぜ人の領域へ......それもこんなにも手間のかかる手段で......」
かつて人族は魔族との生存競争に敗れ、現在のケイマーヌ大陸へ押しやられた歴史を思い出す
「本当の目的......イスパ君の目的は恐らく、そちらだ......国を乗っ取る? 壊す? のはその前段階なのか?」
分からない......魔族ならば正面から魔法ブッパしていれば人族の国家など舐めプしながら完封勝利できるはず......それほどまでに魔族と人族の力の差は埋め難い
「滅ぼす為ではない? じゃあ支配したとして......人族の旨味なんて......せいぜい......ッ!」
その時、俺に電流走る
「あるじゃないか......強大な魔族が唯一、人族に劣る欠点が......」
そう、それこそが
「男......魔族の男は稀少だ......あの魔族が魔力で劣る人族を滅ぼすことが出来ず、ケイマーヌ大陸へ押しやるに留まったのも個としての力を群で覆した人族の繁殖能力と適応力に嫌気が差したと文献には書いてあったな」
魔族はそれぞれの部族が一族を率いて魔大陸に点在しているが、その多くは女性社会......まぁ、”貞操逆転”世界なのでスタンダードなのだろうが男は基本的に稀少かつ繁殖力低めである
「だが、魔族と人族では交配しても子供はできないはず......」
コレには俺もガッカリしたのだが、魔力濃度が強すぎる生命体である魔族と魔力濃度うすうすの人族とでは交配しても子供はできないそうだ
かつて魔族と人族が争っていたときも捕虜となった人族の男が魔族の女に慰み者にされるという裏山けしからん事が多発したが、子供はできず人族の男も一晩と持たずに死に絶えてしまったそうだ
「何らかの方法で人族の男と交配できる様になったから人族の国を乗っ取ってドスケベランドを開国する......いや、それこそ”軍事侵攻”でサクッっと支配すればいいじゃん」
分からん......ドスケベランドならこのまま乗っ取られてしまっても俺的にオッケェイ! だが......拷問大チュキ魔族とかが人族のオスしばきテェなぁ! って状況なら何としてでも防がなければ(ソフトMまで派)
「だが、コレでイスパ君への挨拶は済んだな......俺も領地へ帰る時が来たな」
テンプレ断罪イベントからの逆転ざまぁモノだと思ったらとんでもねぇ大風呂敷広がっちゃってるねぇ! えぇ!?
「”転移”......目標は”我が故郷ランドスター領”」
俺は転移魔法で今度こそ故郷である領地へ飛んだ
人族が(自分達的に)魔族と生存競争で敗れたと思っているだけで、魔族的にはドスケベ避妊無用(男)の人族を追い掛け回してたらど田舎(ケイマーヌ大陸)に引っ越されてしまったので自重(ザックリ1000年保護して数を増やそう)していた系の話です
この時の肉食系魔族女子に対しての恐怖がDNAレベルで染み付く&男を大量お持ち帰りされて男女比がおかしくなる →結果、人族が”貞操逆転”している系だと思ってください