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断罪からのスピード死罪は格式美

ハイスピード展開で畳みかけていくスタイルが好きです

マリー殿下の取り巻き4人は重要キャラっぽい説明ですが、特に本編には関係しないのでフレーバー感覚でどうぞ

「ユーリッ、見下げ果てたぞ......この()れ者め! 恥を知れッ!」


(きら)びやかな王宮の社交場で今まさに婚約者である王女様から、テンプレ絶許断罪婚約破棄されている俺こそ転生チートを引っ提げて”貞操逆転”世界に転生したユーリ・ランドスターです


「......マリー殿下、一体何を(おっしゃ)っておられるのか分かりかねますが......」


 転生チートを貰って念願の”貞操逆転”世界へ転生させてもらえたとこまではよかったんだけどなぁ......


「気安くその名を口にするでないッ! この期に及んで白を切るとは往生際(おおじょうぎわ)が悪いぞ!」


 王女様の取り巻き......名前は確か、マチルダ様だったかな? 御母堂は内務大臣を拝命する王国のナンバー2か


「控えよ、マチルダ......今は殿下が御自らご断罪あそばされておられるのだぞ」


 あの取り巻きは......テオドラ様か......御母堂は護国卿を拝命する軍トップのご息女だったな


「ユーリッ、貴様が裏で手を引きイスパを(おとし)めていた事は判っている......今この場で謝罪すると言うのなら今までのことは水に流すとイスパも申しておる......イスパの深き御心に感謝するのだな」


 イスパって......あぁ、平民だけど超美男子、気配り上手なイスパ君ね 


「マリー様......ボクは今までの事は気にしていません ユーリ様に謝ってもらう必要は......」


 あら^〜殿下の後ろからヒョッコリ震えながら出てくるオドオド系小動物男子イスパ君kawaii〜さりげなく殿下呼びじゃ無い所が親密ポイント高めね


「怯える必要など無いのだ、イスパよこの性悪は我らが今から断罪するのだからな」


 あれは......イザベル様......御母堂はナーロ教の枢機卿(すうきけい)だったはず


(しか)り、イスパの様なか弱き者を(はずかし)める下郎など貴族にあらず......即刻、断罪すべし」


 あの殺意マシマシガールはカトリーナ様か......御母堂は公爵の爵位を持つ王国諸侯のまとめ役だ


 ん? 妙に説明口調になってないかって? 確認の為だからね、しょーがないね


「......(おそ)れながら、私めにはイスパ殿へその様な事をした覚えはございません」


 ウッヒョ〜、すっげぇ殺意の波動を感じるわぁ......”精神保護魔法”をかけてなかったらチビッってたね間違いない


「......よもや、議論の余地はないッ! ユーリ・ランドスターよ! 貴様は今この時をもって爵位剥奪、並びに余との婚約を破棄とし死罪を申し渡す! 衛兵ッ!! この痴れ者を地下牢へ引っ立てぃ!」


 スピード判決やめろ あぁ......どうしてこんな事に......俺はただ”貞操逆転”世界で美女たちにチヤホヤされたかっただけなのになぁ......


「ユ、ユーリ様......畏れながらこの場は御同行を......」


 すげー申し訳なさそうな顔で言わなくても行くから安心してよ


「......殿下、死を賜りました事恐悦至極(きょうえつしごく)に存じます......(つつし)んでご拝領(はいりょう)仕ります」


 ここで噛んでたらと思うとゾッとしますね(他人事)


「イスパ殿、心当たりが無いとはいえ、ご迷惑をお掛け致した事平にご容赦のほどを......参りましょう」


 こんな茶番に付き合わせてしまったイスパきゅんへ頭を下げ、一般衛兵君と共に地下牢へ行くとしますか


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 自らの足で衛兵と共に社交場から出て行くかつての婚約者を、殺意と憤怒を(たぎ)らせた顔で睨み続けるマリー王女は傍で震える最愛のイスパを優しく抱き寄せる


「イスパ、愛しのイスパ......もう、心配はないよイスパを虐めるヤツはもういないのだから」


「マリー様......ボク、怖かったです......でも、マリー様や皆さんが居てくれたからッ!」


 その零れ落ちそうなほど大きな瞳に涙を浮かべ、頬を朱に染める美男子イスパを王女マリーは慈しみの表情を浮かべ、よりキツく抱きしめる


 その両者を見守る4人は皆一様に安堵と笑みを浮かべていたが、それぞれの胸中を知る由はない......


 一連の騒動を離れて見物していた多くの諸侯達は足早にサロンを後にしていたが、騒動の”主演達”は自らの劇に酔い痴れ続けていた


 ”王国滅亡”という喜劇は始まったばかりだというのに


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「どうしてこうなった......」


 光の差し込まない冷たい地下牢で俺は頭を抱えていた


「”貞操逆転”世界に転生してそれもお貴族様の御曹司とかいうSSRを引き当てたのに......」


 転生してから断罪されるまでの半生を思い出す


「お決まりの”転生特典チート”で領地の軍事力、経済力、生産力、諜報力を単独で世界とヤリ合えるまでに引き上げて......天性の美貌でチヤホヤされて......王女様の婚約者にされて......それから......」


 周囲を確認するが、あいも変わらず地下牢で鎖に繋がれたままであった


悪徳御曹司(こんなの)なんて予想外すぎるわぁ......」


 悪徳令嬢モノが貞操逆転世界で繰り広げらるとか聞いてないんだよなぁ......


「女王陛下が外遊中にドンピシャでブッ込まれるとはな」


 現在、このイデカ国の女王陛下”マリアンヌ”様は友好国へ向かわれていた そのタイミングで今回の事を画策していたのだとしたらとてつも無い周到(しゅうとう)さだ


「まぁ、いざとなったら魔法ぶっ放して領地へ逃げよっと♡ ハメられた魔法無効化の首輪も破壊済みだし」


 首に枷られた魔法無効化の首輪を素手で引き千切り、見かけだけは瓜二つのダミーを魔法で生み出し、自分の首にかける


「あぁ〜、イスパ君防諜完璧すぎて逆に怖いんだよなぁ......足運びとか隠してるけど只者じゃないってハッキリわかっちゃうんだよね」


 妙に王女様や取り巻きの周りをウロチョロしてたから、探りを入れた途端断罪イベント(コレ)だもんなぁ


「くっそ〜、一本取られちゃったけど、まだまだ試合は始まったばっかりよ!」


 とりあえず、申し訳程度の悪徳ムーブを挟みつつ寝るとしますわよ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 草木も眠る丑三つ時、俺が張り巡らしていた探知魔法に反応があった


 この反応は俺の側近であるドスケベ忍び装束ケモ耳くノ一の月影(つきかげ)だな


「......随分(ずいぶん)悠長(ゆうちょう)な迎えでしたね?」


 このキャラ疲れるわぁ 


「お叱りは後ほど......不殺を貫きました故、手間取りました......大女将(おかみ)様が領地にてアン様を押さえております」


 俺の実姉であるアン姉さんは武辺者で名を馳せる血の気MAXブラコンだ、今回のスピード死罪で激おこなのは決定的に明らかである


子細承知(しさいしょうち)しました......月影、急ぎ戻るとしましょう」


 俺は首にかけたダミーの首輪を外して鉄格子へ近付くと、どスケベくノ一月影が闇の中から現れ扉を開ける


 月影は俺が幼少の頃に子飼いとしたエリート狐系獣人くノ一であり、特注のドスケベ忍び装束を着こなすお気に入りだ


「旦那様......御命じ下されば、この月影ーーーー」


「月影、足元が悪いようです......手を」


 う〜ん、危ない危ない......忠誠度が高すぎてすぐコロコロしそうになるのが玉に瑕(たまにきず)なんだよなぁ


「......ッハ!」


 ノータイムで恋人繋ぎをしてくるのはいいとして、すんごい湿ってるのはなぜでしょうねぇ?


「久方ぶりの温もりに触れることができました......ありがとう、月影」


 ちゃんとフォローを忘れない紳士の鑑ですよ、これは


「ッ!......勿体(もったい)なきお言葉......恐悦至極に存じます」


 月影にエスコートされ地下牢から王宮を出るまで誰とも鉢合わせること無く厩舎(きゅうしゃ)へとたどり着いた


「急ぎました故......馬車をご用意することができず......」


 単騎で王都脱出とか燃えますねぇ! いいねぇ、月影わかってるじゃん


「懐かしいですね......よく月影(あなた)を乗せて遠駆けをしましたね? 今宵はあなたが乗せてくださるのですか?」


 かつての思い出話を持ち出して、ちょっとイタズラっぽく聞いちゃうヤツやりたかったんだよなぁ


「............」


 あれ? 滑ったか? 乗馬だけに(意味不明)


「......月影?」


 あれれぇ〜? フリーズしちゃったゾォ


「お(おたわむ)れを......参りましょう......」


 ちょっと塩対応過ぎない? ユーリ泣いちゃうぞ⭐︎ミ


「............どぅして......思い出させるの......ですか......」


 ん? 突発性難聴発動しなかったからバッチリ聞こえちゃったけど、これってラブコメでしたっけ?


 月影は馬に軽やかに乗ると俺の手を取り後ろへ乗せてくれた


「月影......”この命”託しましたよ」


 いざとなったら俺が戦うから手綱はよろしくゥ! くぅ〜↑ ほのかに漂う女の子の香りってなんでこんなに下半身がイライラするんでしょうね? さりげなく密着して深呼吸が止まらないヨォ


「......ッ! 御意ッ」


 月影が馬の脇腹を軽く蹴ると馬は(いななき)をあげ走り出した


 王都を疾走しながら俺はこれからについて思いを巡らしていた


 イスパ君の背後には何らかの大物が付いてることは間違いないが、それにしても王女だけに留まらず側近4人も同時攻略されてるとかチョロ過ぎィ! あ〜もう(この国)めちゃくちゃ(にされちゃう)だよ


 女王陛下は外遊中だし、国家の中枢に位置する取り巻き4人の母達も皆それぞれの理由で王都から離れている(ここ重要) あれ? コレ詰んで無い?


「殿下......」


 ついつい漏れてしまった言葉に月影はビクリッと反応した まだまだ修行が足りないぞぉ 月影ェ!


「......旦那様、畏れながら......今はこの月影だけをお思い下さい......振り落とされぬように」


 取ってつけたように焦って理由付けしちゃうドスケベ忍び装束ケモ耳くノ一月影ちゃんめ......あざといッ


「私の心から、月影が消えた事は一度として御座いませんよ」


 あぁ^〜月影ちゃんの心拍数爆上げなんじゃ〜コレ脈150↑イっちゃってますね間違いない


「お戯れを......舌をお噛みになりませんようご注意召されよ」


 深夜のイチャイチャ乗馬大会はいつの間にか王都を抜け街道をひた走っていた

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