清廉潔白には程遠い
今日の更新はちょっと忙しいです。とある宰相→ティアちゃん→にい様と視点が変わっていきます。
教主の弟が捕まったとの報告は、突然に城に届いた。連れて来たのは、帝国からの密命でこの国に入り込んでいたどこぞの王国貴族らしい。忌々しい帝国の飼い犬か!
早い内に始末をつけるしかない。王もそれはわかっているらしい。報告を受けた夜には、この広間に国中の要人を集めた。
被害者である帝国の外交官が、仕方のないこととはいえ、警戒心を剥き出しにして、事の顛末を見届けようと、貴賓席に座っている。
"皇族の頭脳"。その評価を受けている男は、あの皇帝の血族なだけあって、隙のない男だった。しかし、同時に貴族の紳士の鑑のような振る舞いをする男であり、常識的で、"帝国の貴族"なのかと疑いたくなるほど、良心のある男だった。忌々しい事この上ない帝国の貴族ではあるが、この国は当たりを引いた。あの男となら交渉出来る。
この裁きが終われば、王と直接話し合う事だろう。あの男の事だ。多少信徒からの妨害などで、国全体の被害が大きく、このままだと苦しい事になりそうだと言えば、金や食料などを多少工面してくれるだろう。
王城の広間の奥。数段高い場所に作られた玉座。壮年の国王はそこに座して、今から目の前で行われる裁きを、待ち望んでいるようだった。
「神官ゼシェル。貴殿は偽物の"聖女"を使い、この国を破滅させようとした。その事に相違はないな」
教主の弟、神官である男は、手足に枷をつけられたまま、王の前に引き摺り出された。
ゼシェルと呼ばれた男は黙っている。頷きもせず、だ。その目は虚で、以前のあの宣教の際の威勢や自信はどこにも見られない。
「無言は肯定と見なす。平和の神に仕えながら、争いを招いたその愚行、命をもって償え」
王の言葉が告げられた瞬間、ゼシェルは剣を抜いた兵士たちに取り囲まれた。逃げ場はない。囲まれた彼は、一瞬王と隣に侍る私を見て、そして何かに気付き、一瞬怒りがその瞳に強く灯った。
うまく行きすぎて顔が緩んでしまっていたようだ。気をつけなければ。ここさえ乗り切って仕舞えば、後は部屋で大笑いできるのだから。
ゼシェルは何かを叫ぼうとした。しかし声は聞こえなかった。いや、それを言う前に絶句したと言えばいいのだろうか。
ただしそれは、兵士たちが、一斉に彼の身に刃を突き立てたからではない。切っ先が彼に届く事はなく、取り囲んでいた兵士たちがまるで何か衝撃をその身に受けたかの様に、後方に飛ばされ、迫り来ていた刃は砕け散って、彼から離れた場所に落ちた。
……一体、何が起きた?
「あら、酷い。偽聖女を立て、代官1人を軟禁した程度で死刑だなんて、あまりにも酷すぎません?」
いつのまにか現れたその令嬢は、その背に神官を庇い、いや、庇うというには余りに堂々と、そこに立っていた。急に現れた事や、王からの命令を受けた兵士を倒したと思われる事など、色々とその不審者を排除する声が上がっても良かったはずだ。しかし、我々もまた言葉を失った。
砕かれ落ちる鈍色の光の奥に見えた煌めく銀の髪が美しく、その持ち主もまた美しかったからだ。
その隣には、並んでも見劣りのしない、これまた美しい紳士が付き添っている。
「国を破滅させようとしたことに関して、彼は1度も肯定しておりませんわ。王国から観光に来た私たちでさえ知っているのに、王がそれを知らないと仰いますの?……あら、びっくり。どこかの王子並みの単純さ」
「そもそも、国を破滅させようとしたという事実が存在しない。彼は帝国の外交官と直接話をしようとしたにすぎません。やり方は確かに不敬ではあるが、間違っていない」
令嬢が流れるように王を無能と罵った気がする。いや、それより、今はもっと重要な事がある。正気に戻って、すぐに私は声をあげた。
「捕まえたのは自分たちだからとの主張の為、この場にいることを許可はしたがこれは正式な裁きだ!何の関係もない外国の部外者は黙れ!これはこの国と帝国との重要な問題であって、貴様らのようなどこの国のとも分からぬ旅行者に干渉する権利はない‼︎」
こいつらは、私と王の企みに気付いている。せっかく帝国の外交官を騙せたのに、これでは水の泡だ!早く退室させなければ。
焦る此方の思惑など見透かしたように、その乱入者達は確かに、と言葉を続けた。
「このままでは内政干渉だなんて大袈裟な言葉で言われそうだから、やめておこう。私達の仕事は終わったからね」
「な、なんの話だ!」
「知る必要はございませんわ。貴方にとっては他国の事ですから」
にこり、と令嬢と紳士は微笑った。美しいのに、何故か背筋が凍る。何かとんでもない化物が目の前にいるような気さえする。
すぐに兵に取り押さえさせようと声を上げようとした私だったが、次の瞬間、何故か私と王が取り押さえられていた。
「貴様ら!何をしているか分かっているのか‼︎」
王が顔を赤くして声を荒げた。当然だ。普通ならあり得ないことが今起きているのだから。
誰か、誰か使えるものは何か無いか!そうして目線を走らせて、気付いた。帝国の外交官……ダイル・グランデが驚きもせずに私と王を冷たい目で見下ろしていた。
肝が凍ったような気すらした。私や王は、侮ったのだ。あの男を。そして見事に、掌の上で躍らされたのだろう。騙したつもりで、騙された。それに気付いてしまった私に、もう抵抗する気力は無かった。
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王城の広間の奥に設けられた、壇上のその玉座は空でした。そこに座すべき王は、人々と同じ床の上に引き摺り下ろされ、人々を見下げていたその瞳は、今や自分を取り囲む人々を、自分に仕えていたはずの臣下を、自分の後継になる息子らを見上げておりました。
恐怖と、怒り。その2つだけが王の感情のようでした。
「自分たちが何をしているか、分かっておるのだろうな……!」
王子達が何をしようとしているのか、それは明白です。本当の意味で、王を玉座から降ろそうとしているのです。うーん、言い換えるなら、……謀反?
「ええ。存じております。
ですが、これ以上王家の恥を晒しておくわけには参りません。それよりも、貴方方の方が、何をしたか分かっていますか?」
「な、……何のことだ」
「……ゼシェルの、代官の軟禁を利用して、ディゼスフィア教を一掃しようとしたのでしょう?」
「ふざけるな!何故私がその様な「ふざけるなは此方の台詞ですよ。証拠に、証人は揃っています」」
王は一瞬言葉に詰まりましたが、この程度の事で言い包められるようなら王ではありませんわ。案の定、人のいい笑みを浮かべると、王子達に言います。
「どうやって?一体私が何をしたと言う?」
「……事の発端は、ゼシェルが交渉のために帝国の代官の身柄を拘束した事でしょう。
元々、教主の意見に左右されるこの国の在り方をよく思わなかった貴方は、これを利用してこの国の構造を変えようとした」
国を王の一存でどうにでも出来る、他国と同じ国の形にしようとした。それ自体は悪い事ではないです。だって、王様ですし。この国は国民の殆どが信徒な為、少々構造的に複雑な国ではありますが、王族がいて、その王族がこの国の舵取りをしているという点においては、王国制と変わりませんしね。
「国の王ならば、国の在り方を決めてもいいでしょう。ですが、貴方は方法を間違えた。
ディゼスフィア教を国から排除する為に、帝国に宣戦布告と取られても仕方ない様な大ごとを起こし、その責任を全てディゼスフィア教側に取らせる事にした。
ゼシェルの件に便乗して、帝国に情報をもたらしそうな人物達を全て捕らえ、拘束し、隠れ家なども全て占領されたと帝国側に伝えた」
そうすれば、外交官は王城に行くと分かっていたのでしょう。特にあのマニュアル通りに動く常識的で普通のにい様ですし、ね。そこで情報を集める事でしょう。城からは一歩も出ずに。神国が帝国を騙しても何もいい事はない筈なので、神国側からもたらされる情報は全て本当だと仮定して対策を練ろうとしたはずです。
「実際に、外交官……グランデ殿は王城に来て、そこで対策を練っていた様だし」
我が従弟ながら、優等生的に行動し過ぎだ……。と、おにい様が頭を抱えていらっしゃいます。にい様は常識人過ぎますので、仕方ないかと思われますわ。
「王はその後は何の指示もしなくていい。グランデ殿が動けば、首謀者たるゼシェル殿や巻き込まれた形に過ぎない教主様はすぐに捕まる。"聖女"とされた女性についても、ゼシェル殿の傀儡でしかないと、集めた情報から分かっていた為、放置した」
「ふん……、推測に過ぎない。証拠、証人も怪しいものだ」
「と、言われるとは思ったので、少々王国のお二方の知恵をお借りしました」
おにい様に促されて、私は魔法記録水晶と呼ばれる、……録画録音機能付きの魔法道具を取り出しました。こちら、通信用魔道具同様、魔力を通せば、対になる魔道具が勝手に発動しますの。王に送っておいたのはこちらです。案の定ただの価値の高い宝石だと思って、宝飾品として身につけています。それにしても、あんなに指輪や首飾りをつけているのに、そこに宝石を増やすなんて、趣味が悪いですわね。まあそうしてくださらないと盗聴出来ないのでそれで良いのですが。
「貴方方の悪巧みは、この魔道具が証明してくれます。
証人は、城の牢に捕らえられていた帝国の人々です。1人や2人なら、金を積めばともかくとして、王軍の兵士が少なくとも小隊規模関わっていたなら、王が命令しない限り、動かせないでしょう。それにそのうちの何人かは隠れ家や抜け道で捕まったと言っています。……そこまで知っているのは、貴方ぐらいですよね」
「……この王城にいる人間の中にも信徒が多数いる。私の軍に紛れ込んでいてもおかしくはないだろう!それに……そんな得体の知れない無礼者達の道具が、信用できるか!
仮に私が仕組んだとしても私は王だ!その程度の事で私を罰せられる人間はここにいない‼︎」
あら、分かりやすく開き直って……。小物感満載ですわ!少しだけ興が乗って、もう少し突いてあげようかと思ったのに、おにい様がやめなさいと言うので、大人しくします。
「信徒かどうかは、教主様が分かります。あの方は、教主として、全ての信徒の顔をきちんと覚えていらっしゃいます。
そして、貴方の今の発言のおかげで、正式に貴方をその地位から引き摺り下ろすだけの理由が出来ました。
そんなにも帝国を脅威と見なすくらいなら、帝国の皇女様と皇子様の顔くらい、憶えておくべきですよ」
「え」
「皇女様たちへ、黙れだの、貴様だのと……。一国の王や宰相が友好国の姫君や皇子に取る態度として、あり得ない。
我々は一刻も早く、そんな王としてあまりにお粗末な貴方を、処分する必要があります」
「馬鹿な……!其奴らは今しがたお前が王国の2人と言ったであろう!」
あら……?
「僭越ながら、私たち、王国から来はしましたが、帝国貴族ではないとは、一言も申し上げておりませんわよ?」
……と、いうわけなので、無能な王は、要りません。
皇子のその言葉に、王は怒りで赤くしていた顔を真っ青にして、私とおにい様を見たのでした。
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国民の90%を占める、ゼシェル率いるディゼスフィア教の信徒たちの国盗り……に、見せかけた騒動は、呆気なく終息した。我が従兄と従妹の干渉によって。
王子達の計らいによる慰労会を名目としたパーティー会場の壁際で、俺は従兄妹がダンスホールの中心で踊るのを見ながら、少しだけここ最近のことを振り返っていた。
俺が報せを受け、この国に急いで来た際、すでに屋敷や帝国関連の隠れ家まで抑えられてしまっていると聞き、仕方無しに王城へと向かった。王から現在わかる限りの情報を聞くと、どうやら信徒たちは、これ以上の布教活動を進める際には、どうしても帝国という存在が邪魔であるとの結論に至り、国を乗っ取り、帝国との関わりを断つ為に、今回の暴挙に出たとの事だった。
「こうなっては、神殿の奥におり、決して出てこない教主をこちらで確保し、ゼシェルの説得をするしかありません」
「……それは、教主を人質にとると言っているのか」
「そうですとも。ゼシェルは教主を敬愛し、最早崇拝しています。
教主の命をこちらが握れさえすれば、ゼシェルも大人しくせざるを得ないはずです。この惨状を早く終わらせるには、それが最善かと」
王はこの機会に、ディゼスフィア教を始末しようとしているのだろうか。人質にすでに取られている帝国の人間の事もあるので、なるべく早く対策を取らねばならない。だが、浅はかな判断はしてはならない。まだ得られる情報があるかもしれない。少し冷静になりたいと王には告げて、用意された部屋で仕事をしていた。
手を動かしながらも、先ほどの事を考える。
"敬愛し、崇拝すらしている、血の繋がった家族"。
……似たようなのが俺の身内にもいる。
それに気付いたのは、俺と"家族"達が共通で所持している通信用魔道具が熱を帯びたからだった。魔道具に魔力が流し込まれれば、対になる魔道具は熱を持つ。従妹と対になっている魔道具のうちの1つだ。俺も魔力を流せば、相手と連絡がとれる。
しかし、聞こえたのは従妹の声ではなく、従兄のものであった。
『聞こえますか、ダイル』
『……ああ。何でティアじゃねえんだよ』
通信機はテメエも持ってんだろと暗に言えば、
『ティアは観光中です。遊ばせてあげるのが兄の務めというものでしょう』
そう返ってきた。言葉通りにとるなら、ティアは現在そこにはいない。わざわざティアの通信機を使って、自分のを使わなかったのには理由があるのだろう。例えば、誰かに聞かせるためにティアの通信機を使い、本題を自分の通信機でするため……とか。
『……まあいい。何でテメエらがここにいる』
『旅行です。帝国に帰る前に、色々遊んで帰る事にしました。先ずはダイルの仕事ぶりを見ようかと思っていた矢先にこの事態』
『……その言い草じゃ、何が起きてるのかは知ってるのか』
まあ、その通り。やられるだけやられた上に未だに対策が取れていないのは事実。否定できない。
『ええ。今教主様と一緒にいるので』
『なんだと⁉︎』
『神殿の外ですよ。我々は別に捕まっていません。何せ、"帝国には一切寄らずに"王国からここに来ましたから』
一瞬2人の無事を危惧したが、本当に問題は無いらしい。
『教主様曰く、暴動を鎮めるために王様が自分を捕らえようとしている。しかし王様に捕まって仕舞えば、弟が何をしでかすのか、想像がつかない。
ダイルはどう思いますか』
『ティアと同種の人間だろ。なら、止まるはずない』
『ですよね。私もそう思います。どのくらい"出来る"人間かは知りませんが、"聖女"なんてものを使って仕掛けてくるあたり、小賢しさは見えますし』
先ずこの国を乗っ取り、その上で帝国と敵対する。……それが目的であったとするなら、浅はかにも程があるというものだろう。
「……仕掛けるタイミング的には、間違っていない。
理由も、駒も揃ったなら、仕掛けない理由などない」
だが何故それが、帝国への反抗に繋がる?国盗りをするに至る?
現在、信徒達に布教に関しての制限はない。やる場所も、時間も、全て自由である。
だからといって、人の思想思考はそれぞれで自由を奪う権利など誰にもないから、邪魔した覚えもない。強いて言えば、多少迷惑をかけられた他国を代表して、何度か苦言を呈したことくらいだろう。
そんな思考中に入って来たのは、従妹の声だった。どうやら別の魔道具を使っているらしい。
『こんにちはダイルにい様。おにい様、私は今のところ無事にお買い物しておりますわ。もう王様とはお話しましたの?』
『ティア!早く私のところに帰っておいで。折角2人で旅行に来たのに……おにい様は寂しくなって来たよ』
『あら。私も本当なら今頃おにい様とお買い物をして回っているはずでしたのに、楽しみ半減ですのよ?……どこかのにい様が寝首をかかれたから……』
『何か言ったか近親愛兄妹』
『え?私とティアの兄妹愛が羨ましいのかい?でもダイルは入れてあげない』
『ダイルにい様はおにい様みたいに甘やかしてくれないので結構です』
誰が入りたいなんて言った⁉︎と、このマイペースな従兄妹共にブチ切れそうになったが、どうやら教主も話に入るらしいので、なんとか飲み込む。
『"聖女"を見つけた上に、向こうから保護して欲しいと申し出がございましたので、連れて帰ります。それと、近くに王様がいないのでしたら、"新作の魔道具"を発動すれば、面白いことが聞けると思いますわ』
発動しながら、おにい様が持っている魔道具と通信すれば、そちらにも聞こえるはずですので、工夫して使ってくださいな。と、そう言うだけ言って、従妹は通信を切った。自分勝手め。一体この国に幾つ魔道具を持ち込んだんだ。
しかし、従妹は無駄な事はしない。言うからには、何かある。俺が魔道具を使い、王が持っている送信専用の魔道具を起動した。
そして、俺たちは王と宰相の話を聞き、教主・神官・"聖女"・従兄妹と俺で話し合い、結末が決まった。王子達は急な"提案"にもかかわらず、快く応じてくれた。
そしてあの茶番劇に繋がった。
結果から言えば、王が退位し、王子が即位。今後、教主側の意見伺いは必要無し。完全に政治とは切り離して考える事になり、騒動を起こした神官も、"誤解"を解消する事により、帝国への敵意も消えた。
俺が報せを受けてからおよそ2週間。従兄妹が来てからおよそ1日。こんなにも容易く揉め事が終息し、俺は正直凹んでいた。
ダンスホールの中心で老若男女問わずの視線を集めて踊る従兄妹達を見る。彼らがいる場所と、俺がいる壁際では、"明るさ"が違う。光の具合は同じなのに、あの中心は、眩かった。幾ら従兄弟妹・再従兄弟の中で、最も学があると言われても、"皇族の頭脳"だなんて仰々しく呼ばれても、俺とアイツらでは、天と地ほどの差がある。能ある鷹は爪を隠すと言わんばかりに、奴らは揃って自分の"役"に相応しい実力を示しておくのだ。……簡単に言うと、大抵のことは人並み以上、天才並みに出来るが、手を抜いて、秀才を演じている。世間に望まれた"皇子"や"皇女"や"公爵"又は"令嬢"を。完璧にそれらの"役"をこなしている。その"役"故に俺は必死に天才的頭脳の持ち主で、真面目な紳士で無くてはいけない。いや、俺に関しては、そうある事しか出来ない。他の従兄弟のように器用では無いからだ。それを従兄弟妹達は分かっている。そのためか、普段の誰かに見せるわけでも無い時であっても、彼らは基本的に"役"のままだ。そして俺が色々と計画を立てたり仕組んだりしたかのように見せる。
だから、こういう時に嫌でも自覚する。自分が何もしていないのに敵が勘違いして絶望を滲ませた瞳で俺を見上げる瞬間に、煌びやかな世界で人目を従兄弟妹達が独占する時に、自分は、平凡で利用されるだけの駒でしか無いことを思い出す。
だがそれでもいいと思うのは、俺を利用するのが"家族"だからだろう。しかし、まあ、それすら分かってて行動している時点で、俺もまた、清廉潔白には、程遠い。
頑張って読んでくださってる方々、誠に有難うございます。
何がとは言いませんが、仕込みってなんでこうも時間も頭も使うんでしょうね。私はライトな爽快ざまあが書いてみたかっただけなのに(書けるとは言っていない)。
次回はティアちゃんの楽しいお茶会の予定です。
ティアちゃんは楽しいです。
なんだか段々と可愛いふわふわなロマンス(……もとからそんなにロマンスでもなかったけど)から遠ざかっておりますが、無い頭を使って撒き餌をして仕込みもしたので、終わりまで頑張ろうと思います。
本日も長々と書き綴りましたが、読了ありがとうございます。




