第6話 アザラシの宿
第6話 メインストーリーに戻ります。
読みにくい所はないでしょうか?頑張って書いていきます。
「んーっ。良く寝たな、今何時だ」
壁に立て掛けられている時計を見る。1時間置きの時間しかわからない、簡易的な物だが今は17時過ぎのようだ。食事時間には少し早いようだ。
自分なりに魔力が使えないか色々と工夫をしてみる。目を閉じて、ゆっくりと感じてみる。ドクン、ドクンと鼓動が伝わってくるのがわかる。心臓を伝い流れ出るは……
「血液だよ!なんのコントだよ全く……」
明日、冒険者ギルドでそれとなく探ってみるか。魔法を使う冒険者も沢山いるだろう。
魔法の訓練を自分なりにしてる間に1時間程経ったようだ。食事の時間は確か18時以降と言われている。僕は部屋を出て受付に向かう。
受付には先程のお姉さん、確かラピスさんだったか?が一人でいるようだ。
「すみません、お姉さん夕食にしたいんですが」
「食事ね、すぐ用意するわね。食堂で待っててちょうだい。お母さん、食事の準備お願い」
作るのはお母さんなのか。お姉さんがあたかも作るかのような返答だったが。城での食事も美味しかったが、どんな料理が出てくるか楽しみだ。
食堂の雰囲気はいかにも大衆食堂といった感じの雰囲気で、木のテーブルと椅子が置かれていて奥に厨房が見える感じだ。
厨房は見えないようにカーテンのような物で遮ってある。厨房の中は見えないが空いた隙間から良い香りが漂ってくる。
「先に、飲み物聞いとくよ。果実酒、エールがあるけどお酒は飲めるかい?」
お酒か……勧められるって事はこの世界では成人が若いって事かな?飲んでみたい気もするけど、酔って何かあったら大変だ、もう少し余裕が出来てからにしよう。
「いえ、お酒はやめておきます」
「なんだい飲めないのかい。じゃあ、ミルクか水だね」
「じゃあ、ミルクでお願いします」
「あいよ、すぐに入れるから待っておくれ」
水は殺菌的な意味で不安だったので、ミルクにした。ミルクをおばちゃんが持ってきてくれたので早速鑑定してみる。
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◾︎モーモミルク
品質:普通
詳細:モーモの乳から取れるミルク。
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モーモ?牛の事だろうか。魔物のいる世界だし魔物を飼いならして育てている可能性もある。飲んでみると濃厚で、牧場に行った時に飲んだ搾りたて牛乳に似た味わいだ。
よく考えると、ミルクも殺菌処理やホコリ取りが必要だと聞いた事があるが……
一般的に飲まれているものだし何かしら処理してあるのだろう。
5分程待った所で料理が運ばれてきた。
「待たせたかい?」
「い、いえ、でもいい匂いでお腹ペコペコです」
「そうかい、うんとおたべ。今日はボア肉のシチューとパンだよ。おかわりは銅貨2枚、パンは無料だよ」
目の前に置かれた皿からとても良い香りが漂ってくる。ホワイトシチューではなく、ビーフシチューに似た色をしている。
木のスプーンで食べるようだ。僕はシチューを一口飲んでみる。
「美味しい……」
僕の知ってるビーフシチューよりも少し味は濃い目だが、パンと食べると丁度良さそうだ。兎の肉は食べたが、ボア肉はどんな味がするんだろう。
パクっ……
「柔らかい、口の中で自然とほぐれていく」
これがボア肉か。癖になりそうな味だ。
この甘みがシチューに溶けてより美味しくしてるんだろうな。
「どう?お母さんの料理美味しいでしょ?」
「はい、とても美味しいです」
「ふふっ、じゃあ長期滞在よろしくねー」
ちゃっかり、長期滞在を促してお姉さんは受付へと戻っていった。この料理が食べれるなら長期滞在も悪くない、後は僕のお金が持つかどうかだ。
その後、僕はおかわりをし膨れたお腹をさすりながら部屋に戻る。
「うー、苦しいな。ちょっと食べ過ぎた」
元々少食ではないが、そこまで食べる方ではない。異世界に来てテンションが上がっていたのだろう。
満腹なのは分かっていたがいくらでも入りそうだった。昼寝もしたので眠くはない、消化を促すために散歩でもしようと外へと向かう。
「あら、お兄さん何処かいくの?」
「ちょっと散歩にでもいこうと思って」
「迷子にならないようにね、お兄さん全然道分かってなさそうだから」
そう言えば、あの場所から宿まで距離あったけどなんで声かけられたんだ?
「そう言えば、あそこで何してたんですか?僕と会った後そのまま宿に来ましたが」
「お兄さんを見たのは3度目だったのよ。最初はお城の手前の橋。キョロキョロして怪しさ満載だったわ。次は商店街ね。物珍しそうに屋台やお店を見てたわね。
それにしても変わった格好してるし、変なお店に入ってたら騙されてたかもね。そして私が用事が終わって宿に帰ろうと近道をしてあの道に出た時ね。
誰かに声かけようとしてるけど、出来なくて悩んでる感じだったわね。そこで私はピーンっと来たの、変な人だけどお客さんになりそうだってね」
なるほど、それにしてもそんなに僕は怪しかったのか。服もこちらの物を揃えた方が良さそうだな。明日は冒険者ギルドによる前に服を着替えよう。変に注目はされたくはない。
「なるほど、お姉さんの目が正しかったわけですね。怪しくないように服とか買いたいんですが、服屋ってどこにあります?」
「そんな言い方しないでよ。怪しかったけど今はお客なんだから。ね?服は古着で良いわよね?」
「新品だといくらくらいするんですか?」
「そうね、安いので金貨10枚くらいかしら?」
金貨10枚もするの!?僕の全財産叩いても買えないじゃないか。この世界では古着が一般的と言う事なのか。
「古着にしておきます」
「じゃあ、裏通りにある、シモン婆の店がオススメね」
裏通りって……
「そんな顔しなくても大丈夫よ。裏通りって言ってもメインの大通りの裏通りって意味だから広いし綺麗な道よ。お客をスラムなんかに案内しないわよ」
スラムがあるのか……近寄らないように気をつけよう。僕の戦闘力は一般人だからな。
「そ、そうですよね。お姉さんを信じてますよ」
「なんか納得いかないけどいいわ、それにラピスでいいわよ?お姉さんと言われるのも悪くないけど。古着屋の場所はここから……」
ラピスさんによると古着屋は宿に来る前に見た大広場を東に進んだ所にある60番通りの看板を曲がった裏通りにあるらしい。
その通りに古着屋は一つしかないので行けば分かるとの事だ。
「ありがとうございます。明日行ってみます」
夕方には閉まるらしいので明日行く事にする。僕は大広場に散歩がてら出てみる事にすふ。
「ここは、34番通りよ。忘れないでね」
外に出ると辺りは暗くなっており、暖かみを帯びた黄色い街灯の光が照らしている。
大広場までは歩いて5分と言った所だ。大広場に出ると真ん中には大きな噴水があり、街灯の光が反射していてとても綺麗に見える。
周りのベンチには男女のカップルが座り、仲好さそうに話しをしている。周りにも屋台が出ているがお酒が多いようだ。
「デートスポットだったのか……何が大広場へのアクセスもバッチリよだ。僕には関係ないじゃないか」
羨ましくなんかない……と言いたいが、正直羨ましい。彼女いない歴年齢である僕だが、興味があり過ぎて大変な時期でもあるのだ。
しかし……僕は無職だ。まずは冒険者になってからだ。
軽く散歩を済まし宿へと戻る。
「あら、早いのね。てっきり……」
「てっきりってなんですか……。それよりも明日も早いので僕は寝ます、おやすみなさい」
ホント……てっきりってなんなんだか。
僕は部屋に戻り、明日に備え就寝につくのだった。
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引き続きお楽しみください。