5︰『蒼の少女』
第5話です。よろしくお願いします。
ーーーー苦しい。
ーーーー息が、出来ない。
鼻からも口からも、水が入ってくる。
ーーーーこのまま、死ぬのかな。
身体が重い。どんどん奥へと沈んでいく。
ーーーー助けて、シェドさん…。
伸ばした左手に、そっと誰かの手が触れた。
誰かの手が私の手を引っ張って、何かに当たる。
それは、ふわふわしてて、あったかくて。
でもどこかで、私はこの手を知っていて。
ーーーーすごく、安心する…。
私の意識は、そこで途切れた。
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「………ん」
少し古びた、白い天井が目に入る。
「あ、起きたんねー」
のんびりとした、柔らかな声がすぐ近くで聞こえた。
「…ここ、は?」
「『海の家』言うてな、海の近くの家やんね!あんたら、砂浜で倒れとるから、もう死んだかと思ったんよー」
独特の言葉だが、なんとなく理解した。
ティアを砂浜まで引き上げたあと、意識を失ってしまったらしい。
「助けて…くれたのか?」
「あー、まぁ、そうなるやんね!」
上の方でひとつにまとめられた蒼い髪がさらさらと揺れる。
「んっ…」
すぐ隣で、幼い声が聞こえてきた。
「あ、起きそうやね、お水とか持ってくるわー」
蒼い髪の少女は立ち上がって、どこかへ行ってしまった。
そっと、横を見る。
「…よかった」
ティアが無事なことに、安心している自分が居て。
ーーーーなんで、だ?
死ねばよかったのに、と、普通なら思ってもおかしくないのに。
「ふふー」
寝ながら微笑むティアを見ながら、胸の奥の何かが少しずつ大きくなっていくような、そんな気がした。
シェドの名前を忘れていた作者であります!ごめんねシェド!!!!!()