2:『白の名前』
殺人鬼と盲目少女が、どんな物語を紡ぐのか、お楽しみくださいませ。
「君は、これからどうするの?」
公園のベンチに座り、隣に居る少女に尋ねる。
「私は旅行と称した家出中の身でありまして、実はここは知らない土地なのです」
「へぇー、知らない土地に1人で来るなんて偉いね」
ーーー知らない土地か、それなら俺のことを知らなくても当たり前だな。
「さすがに、そろそろ家へ帰ろうと思います。きっと色々な方に迷惑をかけているだろうし、ここまで連れてきてくれた執事とはぐれてしまったので……」
「じゃあ、俺が君の家出旅行を手伝ってあげるよ。俺はここの土地には結構詳しいし、君の執事さんの代わりくらいは出来るんじゃないかな」
「それはあなたに申し訳ないです」
少女は即答した。
ーーーんー、めんどくせぇな。
「ほら、もしかしたら、すごく遠くまで君が家出していたら親御さんは褒めてくれるかもしれないよ」
ぴくり、と少女が反応する。
「それは…本当でしょうか」
「本当だよ。見つかったときに、俺が居なければ君はきっと1人前の大人として扱ってもらえるはずだよ」
「ご協力…お願い出来ますか」
「うん。もちろんだよ」
優しい青年の声で、頷いた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
公園から離れ、華やかな明かりの街へ戻る。
「あの、名前を教えて頂いてもいいですか」
しばらく歩いた頃、少女が尋ねてきた。
「俺はライズ・ラシェッド。好きに呼んでくれて構わないよ」
包み隠さず本名を伝える。
指名手配には偽名が載っているし、大丈夫だろうと思ったからだ。
「私は、ホワイエ・ティアリーです。よろしくお願いします、シェドさん」
「うん、よろしくね、ティアちゃん」
「はいっ」
夜の電飾に彩られるティアを、これから自分が紅色に染めるのかと思うと、旅が悪くないものに思えてきた。
ああああああ、消したり作ったり色々ご迷惑をおかけしました!申し訳ないです!!