1:『白の少女』
小説投稿を始めました、宇茶野と申します。
未熟な点はたくさんあると思いますが、楽しんで頂けたら幸いです。
アドバイスやご感想を頂けると泣いて喜びます。
煌びやかな街の隅で、『それ』は起こった。
ビルとビルに挟まれた暗闇から鮮やかな紅が漏れる。
それを気にせずにナイフを手に持ち、紅い水たまりを広げていく。
服の赤に同化していく紅がどうしようもなく心地がいい。
その紅を何回も、
何回も、何回も、
繰り返す。
ビルとビルの隙間に靴音が響いた。
ぴたりと、ナイフを持つ手が止まる。
「……誰だ?」
「すみません、私の杖を知りませんか」
「知らねぇよ」
「そうですか。お騒がせしました」
明るみに戻る少女を、ナイフを持っていない手で引き止めた。
「…お前、目が見えないのか?」
「ええ、そうですが」
そう言う少女の目に生気は無く、ちゃんと自分を映しているのならば今すぐに逃げ出すはずだと思ったので、
「じゃあ俺も、一緒に探してあげるよ」
出来るだけ優しい声で、目の見えない少女の手助けをする青年を演じることにした。
頬に付いた紅と、明らかな殺意を、そっと袖で拭って。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「確か、このあたりで落としたはずです」
少女が言うには、公園の森で杖を落としたらしい。
なんでも、木の根っこに杖を引っ掛けてどこかへ飛ばしてしまったとか。
「そうなんだ、何色の杖だったっけ?」
「白い杖です。傘くらいの高さで、鈴が付いている…」
「そっか。ありがとう」
ーーーさて、いつ殺そう。
ちょうどそのとき、カン、と足で何かを蹴った音がした。
鈴の音を鳴らし、白く長い杖が現れる。
ーーーちょうどいい。
「見つかったよ」
膝を地面につけて手探りに探している少女に優しく、優しく話しかけた。
「あ、ありがとうございます!」
少女は顔を上げてお礼を言う。
「どういたしまして」
その笑顔を壊すような手振りで、少女の髪と同じ色の杖を持ち上げた。
「本当にお優しい方で、助かりました」
少女が胸の前で手を重ね、目を閉じ、また礼を言う。
「…………はい」
少女の前に、自分が握っていた杖を差し出した。
何故か、今は殴る気分になれなかった。
ーーー大丈夫だ、まだ次がある。幸いにも彼女は目が見えていないのだから。
少し最初がグロいですが、結構好きな始まり方です(友人に褒められたので調子に乗っています)。
これはシリーズの1作目で、まだまだ書くつもりなのでどうぞよろしくお願いします。
Twitterもやってるので名前検索してあげてください(創作垢だと返信が速いかもです)。