表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/20

19話


リリアちゃんが風呂に入ってる間に後片付けをする。


おっさんだった肉の塊はいつの間にかなくなってて、小さな袋だけが残されてた。

多分このダンジョンに吸収された、とかなんだろう。

便利な機能だな。


まあそれはいい。

どうせ死んだ直後にしか吸血スキルは使えない。

それより問題なのは、今も左肩に刺さってるナイフ。


俺が眠ってる時におっさんに刺されたやつ。

あの時は気配察知のおかげで狙いを首から左肩にずらせた。

が、その後すぐに反撃したり、疲れすぎてそのまま眠ったりで存在を忘れてた。


流石にこのままなのはマズイと思うが、ナイフを抜いた時の痛みを我慢できるとは思えない。


だから、リリアちゃんがいる前では絶対抜きたくない。

ただえさえ心配をかけたのに。


つまり抜くチャンスは風呂に入ってる今しかない。


そう思い右手でナイフの柄を掴もうとすると


「っ!」


ナイフが僅かに動くだけで傷口がえぐられて激痛が走る。

これじゃ少しずつ抜くのは時間がかかりすぎて無理だ。

怖いけど一気にやるしかない。


「……ふぅ」


一度深呼吸して、覚悟を決める。


「いくぞっ……ぐがぁああああっっっ!!!」


痛みで思わず声が出る。

でも何とか抜けてよかった。


ただ包帯なんてないから傷口の手当は何もできない。

膿んだり病原菌が入ってきたりしないことを願おう。


抜いたナイフは洗って服で拭う。

左手が使えないのが地味にきついな。

こんな洗うだけの簡単な作業が、右手だけだとかなり時間がかかる。

一応左手を動かせないことは無い。

けど動かすと傷口を掘りかえすくらい痛みが伴うんだよ。


かなり時間はかかったけど、何とか綺麗になった。

今までダンジョンに刃物は無かったからな。

とりあえず武器が手に入って一安心だ。


まだリリアちゃんは風呂に入ってるので時間がある。

なので残された小さな袋を見よっと。

袋の中にお金とか入ってるといいんだけどな。

そうすると小説で一文無しで村に訪れる主人公みたいに、誰かにお金を借りずにすむ。


期待しながら右手を袋の中に突っ込むと、右腕がすっぽり入ってしまった。


え?これどうみても腰巾着サイズの皮の袋だよね?

おかしくね?構造どうなってるんだよ!?


『検索結果:これが、かの有名なアイテムボックス(袋ver)ですよー』


うん、お久しぶり。何か忘れたころに出てくるね?

もう慣れたから突っ込まないけど。


それよりこれが、かの有名なアイテム袋か。

確か小説だと一定重量までは入れ放題なんだっけ?

これはお宝が入ってたりしたりしちゃいますか!?


ワクワク気分で袋の中にあるものを手当たり次第に取りだす。


「ナイフ、銀貨、石、枝切りばさみか?、石、石、石……」


もう何も掴むものが無くなった。

……こんだけ?

うわっ、少ないだろ。おっさんどんだけケチなんだよ。

確かに袋は大きくないから、あんまり入ってないとは思ってたけどさ。

でももうちょっと何かあっていいだろ。


てか食糧どうした。

何で持ってきてないんだよ。

やっとまともな物が食えるのか!?と思って期待したのに!

ったく、死んでも役立たないとかふざけんな。


思わず袋を地面にたたきつける。


「……どうしたの?」


ちょうどリリアちゃんが風呂から出てきた。

やべ、今の見られてた?


「い、いや、別に何でもないよ。それよりこの石何か分かる?」


慌てて話題を変え、リリアちゃんに袋から出てきた石を見せる。

その石は黄色で透き通った色で、表面に模様がついていた。

その模様はめっちゃ細かくて、見てると目がショバショバする。

何かの魔道具とか、そういうのっぽいけどな。


「えっと、それを使うと弱い魔物が来ないってお母さん言ってた」


「へー、そうなんだ。ありがとう」


おお、ビンゴか?小説を読んでる限りだと魔道具だな、多分。

効果はゲームでいう魔除け石みたいなもんか。

使い方は分かんないけど、4個あるってことは四方を囲って使うか、一個ずつ割って発動するとかだと思う。


ただの石だと思ってたら、予想以上に良い物でテンションが上がる。


「んじゃ俺は風呂入ってくるから、先に飯食べてて。悪いけど皮は自分でナイフを使ってむいてね」


そう言って俺はリリアちゃんにナイフを渡す。

一応綺麗にしたから大丈夫だと思う。


「いいの?」


ナイフを受け取ると、リリアちゃんが戸惑ったように聞いてきた。


「うん?ああ、俺は長風呂だからな。お腹すいたでしょ?」


昨日は夜飯早かったし、リリアちゃんは一晩中大変な目にあわせちゃったからな。

これで俺が風呂はいるまで待てとか鬼畜すぎるだろ。


「……うん」


しばらくリリアちゃんは考えていたが、うなずいてくれた。

納得してくれたようでなにより。


「じゃあそういうことで」


そう言っておいて、俺は風呂に入りに行く。


服を脱いで風呂に入りたいが、左手を動かすと激痛が走るのでうまく脱げない。

悪戦苦闘しながら何とか服を脱ぐ。


「うっわ、血がこびり付きまくってる。早く新しい服が欲しいな」


俺もリリアちゃんも服は血だらけでボロボロ。

何も知らない人が見たら失禁ものだよな。

おっさんが残した袋に予備の服があることを期待したんだけど、無かったんだよな。


これはもう綺麗にしようがないので、洗うのを諦め風呂に入る。


「……ふぅ」


やっぱ風呂は気持ちいいな。

左手は傷に染みるので浸からないようにする。


風呂に入りながら今日することを考える。


まずこの後、朝ご飯を食べたらリリアちゃんのいた村に行こう。

リリアちゃんのお母さんに会いに行くと約束したから、これは最初に果たさないといけない。

ついでに村で新しい服も欲しいな。


ただ村長のおっさんを俺が殺した、ということを誰かにばれたら拙いことになる。

それだけは絶対に気をつけないと。

血が付いてるのは、魔物と戦った時の返り血と言っとけば大丈夫だろう。


俺らが村に行っている間のダンジョンの防衛は、スライムやアルラウネ達だけど大丈夫のはず。

ダンジョンって言うからドキドキしてたけど、結局この10日くらいで訪れたのはおっさんだけだからな。

多分、街や村から遠いところにあるからあんまり人が来ないんだろう。


それでも一応不安はある。

だから何も起きてないかの確認のために昼飯の後、一回転移魔法でダンジョンに戻ってこよう。

念のためだ。


てか簡単にダンジョンに戻って来られるとかありがたすぎるよな、転移魔法。

改めてチートだと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ