18話
ここまではぬるま湯に浸かってた高校生です。
これから紹介文の考え方になっていきます。
「っぐああぁぁぁぁああああああああ」
痛い痛い痛い痛い
脳が無理やり覚醒させられる。
え、何?何が起きた?
重たい目を無理やりあける。
目の前に人がいる。
……おっさん!?
何で?部屋にいたはずだろ?
訳が分からない。
戸惑ってると太い腕が俺の首を絞めてきた。
「うぐっ……がはっ」
苦しい。
呼吸ができない。
だんだん意識が消えていくのが分かる。
俺はこのまま死ぬのか。
……死ぬ。
俺はもう死ぬの?
何もしないまま?
せっかく異世界に来たのに?
嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死に物狂いで暴れる。
おっさんが吹っ飛んだ。
「ぅああああああああああ」
おっさんが起き上がる前に殴る。
殴る。
殴る。
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る
「はぁ……はぁ……」
激昂が収まった。
目の前には何かよく分からないものがある。
肉の塊だろうか?気持ち悪い。
手が痛い。
見てみると両手が真っ赤なうえ、皮はボロボロに剥けている。
これは治るの長そうだな。
そういえば俺は何で起きてるんだろう?
リリアちゃんと一緒に寝てたのに。
……そうだ何か怖い感じがして離れようとしたんだっけ?
そしたら激痛が走って、おっさんが首をしめてきて。
死にそうだったけど何とかおっさんを蹴飛ばして。
俺はおっさんを殴り続けた。
ってことは目の前の塊は……おっさん?
……え?
「―――ぅううううう……おぇっ、おぇええええええっ」
吐いた。
おっさんが俺をナイフで刺してきた?
おっさんが俺の首を絞めてきた?
俺はおっさんを―――殺した?
次の瞬間、目の前が真っ暗になって――
「……よしよし」
リリアちゃんが頭をなでてくれてた。
「……り……リアちゃ……ん……?」
「……大丈夫」
言葉は少なかった。
何か特別なことをしてくれたわけじゃない。
けど側にいてくれた。
ただただ俺をなでてくれてた。
「……っ、ぅぁ……うわあああぁぁぁっっああぁぁっっ!!」
俺は彼女に腕の中で泣き続けた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……ぅー」
柔らかい。
良い匂いがする。
気持ちいいし、もう少しこのまま寝ていたいな。
目をつむったまま、ホッペで柔らかいものを堪能する。
相変わらずスライムは柔らかいなー。
……ってそういえば何でスライムはこっちに来てんだろう?
別の部屋にいたのにな。
気になったので眠たい目を少しだけ開ける。
すると肌色のスライムが……肌色?
おかしい。スライムって赤色だったよな。
じゃあ俺は何の上に頭をのせてるんだ?
不思議に思い、上を見ると
「……何だ、リリアちゃんか」
あー、それなら納得がいく。
昨日俺あのまま寝ちゃったんだろうな。
んでリリアちゃんが動くに動けず、結局今も膝枕してもらってると。
にしても柔らk……
「はぁああああああああ!?」
一気に目が覚めた。
え?やば?マジで?アウトだろ、これ。
何“柔らかいなー”とか言って堪能しちゃってんの!?
いかんでしょ!何やっちゃってるの?
とりあえず
「すいませんでしたっ!!!」
DO・GE・ZA ですよね。
膝枕に気づいてからこの間、僅か0.4秒。
「……どうしたの?」
リリアちゃんは眠たそうに目をこすってる。
「誠心誠意を持って土下座させてもらってます」
「……良く分かんないけど大丈夫?」
大丈夫じゃないです。
朝から奇声あげて土下座してる時点で頭狂ってます。
あと、起こしてしまってごめんなさい。
「あの、リリアちゃん。足大丈夫?」
気になるのは足の状態。
一晩中ずっと膝枕とか拷問以外のなにものでもないよな。
腕枕をしてたら次の日、腕が壊死してたって聞いたことあるしな。
しかも俺が受けた返り血が、リリアちゃんにも付いちゃってる。
気持ち悪かっただろうに。
「……うん。ご主人様はもういいの?」
あっさり許してくれた。
しかも夜中に泣きついてずっとその姿勢のままだったのに、逆に俺の心配してくれるとか優しすぎる。
「うん、ありがと。あとごめんね、昨日はいきなり泣きついて」
「……それでご主人様が元気になったのならいい」
「そっか――本当にありがとね」
思わずリリアちゃんの頭をなでる。
本当にリリアちゃんがいてくれて助かった。
多分あのまま一人だったら錯乱状態になってただろうな。
異世界で、自分で決めたとはいえ周りには誰もいなくて。
人に殺されかけ、人を殺したと理解して。
いろんな感情がなだれ込んできて、もうわけが分かんなかった。
でもリリアちゃんがいてくれて。
ただただいてくれて。
それだけで落ちつけた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「っと、ごめん」
かなり長い時間、頭をなで続けちゃったみたいだ。
リリアちゃんの顔が真っ赤になってる。
「おーい、リリアちゃーん?」
「……」
リリアちゃんはボケーとしてる。
恍惚というか……何というかエロい。
この子本当に中学生なのか?
「んじゃ飯の前にお風呂に入ってきてね?」
俺をなだめて、膝枕してたせいであちこちに血がついてる。
朝食前にとりあえず血を落として、さっぱりした方が良いからな。
リリアちゃんはそのまま脱衣所に行ったと思ったら振り返って
「ご主人様、あの……」
「ん?どうした?」
「えっと、その……タ…テネ」
「悪い、なんて言った?」
声が小さくてあんまり聞こえなかった。
「ぁ、ぅ……またなでてね?」
思わず襲いかかろうとしたのを、何とか踏みとどまって抑え込んだ俺は勇者だと思う。




