13話
「それじゃあリリアちゃんの家に行こうか」
そう言って手を出すとリリアちゃんは怯えた様にしたが、おずおずと手を握ってきた。
良かった、手を握ってくれた。
これで振られたら俺もう立ち直れないと思う。
ダンジョンの外に出て左に行こうとしたら
「おい、返せっ!」
いきなり小太りのおっさんに怒鳴られた。
「あの、いきなり何ですか?」
いきなり何だ誰だ、こいつ?
もちろんこんなおっさん知り合いじゃない。
てか知り合いたくもない。
でもあの森を通ってここまで来れたってことは、かなりの高レベルだったりするのか?
人はみかけによらないもんだな。
「てめえ、俺のもんを勝手に取ってっきやがったな」
「あの、だから何の話ですか?」
いきなり怒鳴って盗人呼ばわりって……。
こいつ頭大丈夫か?
「だから俺の奴隷を攫いやがって!ふざけんな」
奴隷……。
首輪をしてたから予想はしてたけどやっぱそうだったか。
「おい、早く返せ!」
「……私は攫っていません。彼女が森に落ちてたので拾っただけです」
何かカチンと来たのでそう言い返した。
いや、事実だしね?
リリアは俺が拾った。奴隷?何のことかな?
「てめぇ、なめとんのか!おい、リリア、早く来い!」
リリアを見ると怯えて俺にしがみついている。
「おい、何してる。早くこっち来んか!」
おっさんが動揺している。
ってことはやっぱ首輪に命令を聞かせる効果があったんだな。
「どうしましたか?あなたの奴隷なら言うことを聞かせれるでしょう?」
思わずニヤッと笑ってしまう。
「何でだ!……っ、首輪がないだと!?」
おー、やっと気づいたか。
あははは、おっさん顔真っ赤にして悔しがってやがる。
「てめぇ、どうやって取りやがった!?」
「いえ、何も?私は彼女を拾っただけですから」
すると今度は顔を曇らせて話し始めた。
「俺さ、ここから少しいったところのしがない村長なんだ。
ここらへんでは人も少ないし、仕事もない。
唯一“聖樹の実”が取れるから毎日何とかやってけれてる。
そんな中でリリアを持ってかれると、ただえさえ人が少ないからキツイんだ。
頼む、返してくれ。お願い、この通りだ」
「……」
おっさんが頭を下げてきた。
……ちょっとやりすぎたかな?
もし、おっさんの話が本当とするとリリアちゃんがこの森にいたのも分かる。
一応リリアちゃんに聞いてみるか。
「……リリアちゃん、どうする?帰る?」
そう聞くとリリアちゃんはより一層ギュッとしがみついてきた。
分かった。
大丈夫、そんな不安そうな目で見なくても渡さないよ。
「すみませんがこうなのでお引き取りください」
「そんな、困ります!
貧乏な村なんです。
これ以上人がいなくなると私は飢えてしまいます」
うーん、そう言われてもね。
リリアちゃんが帰りたくないって選んだんだからどうしようもないじゃん?
「あっ、なら飢えければいいんですよね?」
「はい、だからどうか返しt」
「ちょっと待ってて」
これ以上揉めるとふとした拍子にダンジョンであるとばれてしまうかもしれない。
それはなるべく避けたい。
ってことで一応対価出して素直に帰ってもらおう。
別に儲けるじゃなくて飢えなければいいんだから……
「ほいっ、この実あげる」
あのクソ苦いパイナップルもどきで十分でしょ?
「っ、この実ですか!?」
「そうだよ?何か文句でも?」
やっぱ苦いこと知ってたんだな。
顔がピクピク動いてる。
「……いいえ、何でもありません。あの、これだけでしょうか?」
「足りないの?んじゃ、ちょっと待ってて」
あれ、結構大きいんだけどな。
そりゃ村単位だからもっと要るか。
「ほいっ、こんだけでいい?」
俺が両手に持てるだけ持ってきた。
おっさんは何か絶句してる。
「あ、ありがとうございます。それにしてもすごい量ですね……」
「ん、まあね。これでも人並みには筋力あるし、まだまだあるから俺らのことは心配しなくていいよ」
まだたくさん木には実がなってたからな。
あそこだけで後一年は大丈夫だろう。
「……はい。ありがたく頂きます。
あの、それで持って帰りたいのは山々なんですが、一晩中探しまわってたので休ませて頂けないでしょうか?」
うーん、どうしよう。
別に俺だけなら良いんだが、リリアちゃんが明らかに怯えてるんだよな。
でもここでおっさんをポイッとこの森に放り出すのは俺の良心が咎める。
「……明日の朝一番にここを出発する。それが条件だ」
「はっ、ありがとうございます」
……リリアちゃんには悪いが明日のためでもある。
まず、この実全部を一人で持って帰るのはまず無理。
よって俺は村に付いていくことになる。
村って人付き合いが盛んだから、村長の発言権はかなり強い。
だからもし、明日村に行ったは良いけどリリアちゃんのお母さんに会わせてもらえない、なんてことになったら困る。
リリアちゃんのお母さんも多分奴隷でしょ?
なら勝手に連れ去って来ないといけないからね。
だから今は大人しくしよう。
全ては明日のためだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一旦俺とリリアちゃんだけダンジョンに戻る。
だってスライムやアルラウネがそこら辺にうろうろしてるんだよ?
これがばれたら不味いよね。
でもどうやって隠すのかって?
ふふふ、何とダンジョンレベルが2になって店に売られてる商品の種類が増えたのだ!
家具
机+椅子:10pt
お風呂:50pt
プライベートルーム:100pt~
罠
落とし穴:50pt
Q.ご都合主義?
いや、これは俺が持つ天運によるもの……のはず。
Q.ポイントギリギリまで使ったよね?
確かに初期ポイントはほとんど使ってしまった。
が、ログであった“ポイント清算”
あれがやばかった。
『(23×37)×41+(1×0.5)×68 = 34925』
うん、何の計算式かさっぱり分かりません。
一番左はレベルっぽい。
俺、今ちょうど23だしね。
その次の数字はレベルに関係したりするのかな?
最後は分からん。41?68?全く記憶にない。
まあとりあえず大量のポイントが手に入ってほくほくである。
このポイントを使ってプライベートルームを作る。
マスタールームに泊めるわけにいかないから、おっさんの寝室用に一個作るか。
ただデフォルトだと何もないからベッドくらいはつけてやる。
次にスライムとアルラウネ用の隠れる部屋を作る。
プライベートルームは何種類かあるが、大きい部屋であればあるほどポイントが高い。
22体が全員収まるとなると――この100m×100mしかないか。
ポイントは……いっ、10000ポイント!?
常時セール中でこれかよ。
これがもしセール中じゃなかったら……ゾッとするな。




