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僕と彼女と俺の2DAYS

作者: 梟汰

--僕は森の中で目覚めた。

ここはいったいどこだろう…。別の世界に迷い込んでしまったのだろうか。…ここまではいたって普通のファンタジーだ。少しちがうのが、明らかに僕のいる場所が、本川越の僕が住んでいた、月1万5千円のアパートの一室だということくらいだ。

ドアを開けてみた。…うん、外は木が生い茂っている。他の住人はいないようだ…というより僕の部屋だけがくり抜かれているような感じだ。


「…おかしいな、僕は昨日はいつも通りオンラインゲームをやって、正午になって寝たのに。」


日差しは僕の宿敵だ。部屋に戻ってノートパソコンを起動した。そこで僕は衝撃の事実に気づいてしまった。インターネットが通っていない。…しまった!電話をとり、ある番号にかけたがもちろん反応がない。

「…どういうことだ?」

僕は絶望した。

(これじゃあ、ネトゲもできないし。宅配ピザや寿司も頼めないじゃないか…!これからどうやって生きていけば…)

冷蔵庫の中には残りのピザが入っていた。しかし、電気が通っていないため、夏の暑さで形容しがたい状態になっていた。水ももちろん出ない…が、コーラが残っていたので(ぬるいけど)それとスナック菓子で朝飯を済ませた。

(これからどうするか…)

そこで僕は思いついた、こういう時はたいてい誰かが森の中に入ってくるだろう。そう考えた矢先

「…なんだろう?あれ。」

外で声が聞こえた。

「…よしっ」

僕はそう呟いた。

窓から除くと、それは長い金髪と緑色の目をした中学生くらいの1人の可愛らしい女の子だった。僕はドアを開けてこう言った。

「あ、あぁ…あぁ、あ、あのぉ…。」

しまった、忘れていた。僕はコミュ障だった。やばい、女の子すごい怯えてる。ここは自分は危害を加えるつもりはないことを伝えなくては。

「ぼ、僕は…何も…し、しないよ。だから、こっちに…お、おいで」

よし、完璧だ。

「ひぃっ…!」

なんで涙目だし!

「お、お、怯えないで…ほら、甘いものもあるし…」

と、僕はチョコレートを出しながら少女に優しく話しかけながら近づいてみた。

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!こないでぇぇぇぇぇぇ!!!!」

彼女はそう言い残し走り去っていった。

おかしいな僕はそんなにこわい外見をしているかな?不健康で細い体だが2年前までは結構体を動かしていたから筋肉はまだ残っているし、体も髪の毛も毎日洗っている。顔もそこまで悪くないはずだ。なぜだろう。

とりあえず僕はすることもないので、人がくるのを待った。食事はスナック菓子と清涼飲料水で済ませた。日もくれたころ。そとに松明の光が見えた。助けを求めよう!そう考えた僕はいらない服を木の棒にくくりつけて火をつけてふった。するとこちらに気づいたようで近づいてくる。助かった…そう思ったとき。

「こんなところにちょうどいいカモがいるぜ!こいつからたんまりいろんなものを奪って、今夜はここを寝床にしよう。」

いかついお兄さんたちだった。腰には長いものをつけていた。ナンダローネー。

----数分経過----

案の定僕は見事に捕獲されてパンツ一丁にされ縄でグルグルにされた。

家の中では楽しそうな笑い声が聞こえる。どうしてこうなった。僕は昨日まではただ生活保護を貰ってるだけの健全な一般市民だったのに。神は残酷だ。

「もう寝よ…」

僕は目を閉じた。


朝になった。何故か布団の上だった。

気づいたらよくわからない服まで着ている。

「気づいたか、少年よ」

知らないおっさんがいた。

「昨日は散々だったな。よもや盗賊に襲われるなんて」

「あ、あの…た、助けてく、くださったの…ですか?」

小さな脳みそからがんばって敬語をひねり出す。

「なーに。君が森の中で倒れているのを見つけて連れて来ただけだよ。奴らはもうそのときにはいなくなっていたがな。」

と、彼は温かいお椀を持ってきてくれた。その中には美味しそうなお粥が入っていた。

「ありがとうございます、何から何まで…」

「気にするな、困ったときはお互い様だ。」

一口食べると泣きそうになった。

「すごく…美味しいです」

「そうか、たくさんあるからいくらでも食え。」

そういいながら彼はくしゃっと笑った。

なぜだろう、僕はそこで少しの違和感を覚えた。

そこで気づいた、この家、オール電化だー。

盛大に吹き出した。

(おい、なんで電気通ってんだよ。よく見たらおっさん音楽聞いてるし)

「す、すいません、ここってど、どこですか?」

だんだんと上手くしゃべれるようになってる。

「ここは私の家だ。孫と二人で暮らしている。」

「両親は?」(これ聞いて良かったのか?)

「街で働いているよ。」

よかったー、と少し安堵しているとドアの開く音が聞こえた。

「ただいま…ひぃ!」

昨日の女の子だった。

「お、お邪魔してます。」

「おかえりなさい。」

彼女は怯えながら聞いた。

「どうしてここにいるの?」

おっさんが答えた

「今朝、森の中で倒れていたのを見つけたんだ。なんだ?この人のこと知っているのか?」

「…なんでもないよ、おじいちゃん。」

「…?そうか変な子だな。」

と、おっさんは笑いながら言った。


僕は朝食を食べ終えてこれからのことを考えてみた。

(この世界電気通ってるのか…もしかしたら街に行ったらインターネットも通っているのかも!)


昼になった。そこでおっさんは女の子にこう言った。

「もう昼だから買い物に行ってきてくれ。」

「わかったよ、おじいちゃん。」

微笑みながら女の子が答えた。

「君も行くか?」と、おっさんは僕にふってきた。

彼女はすごい驚いている。

(これは好感度を治すチャンスだ。行くしかない!)

「あ、はい。行かせて頂きます。荷物とかは僕が持ちます。」

「ううう…」

彼女はすごく嫌そうな感じだったが、まあいいだろう。


村は思ったより広かった。

それでも見知らぬ人はわかるようで、僕はたくさんの質問を受けた。殆どを適当に返しておいた。

この二日間でコミュ力上がったなぁと思う。


「あの…」

ここで突然女の子が話しかけてきた。

「なに?」

「昨日、森にいた方ですよね?」

そうきたかー。

「え、あ、う、うん。そうだね」

きょどってないと信じてる。

「あの時は怯えて逃げてしまってすいません…」

「い、いや!こ、こちらこそ驚かしちゃってごめんネ!」

声が裏返ってるのが自分でもわかったよ。

「……。」

「……。」

気まずい沈黙。まずいぞ、なにか話題をふらなきゃ。

「と、ところで君はなんであんなところにいたの?」

「あ、えと、キノコを採りに行ってたんです。」

「へ、へー、盗賊が出るのに怖くなかったの?」

「盗賊は基本夜しか活動しないので」

「そうなんだー」

「そういえばなぜあなたはあんなとこに住んでいたのですか?」

「えっとね…」

返事に困ったがとりあえずこう答えた

「実は僕は旅の人間で、偶然ちょうどいい建物があったからそこに入ったんだよ!」

「そうなんですか!旅のお方…」

そして彼女はこういった

「あの、よければ旅の話を聞かせてもらってもいいですか?私、実はこの村から出たことがなくて…」

「そ、そうなんだ〜わ、わかったよ…」


もちろんそんなことあるはずがないのでRPGの話を借りて話した。彼女はすごい真剣に聞いてくれたのでちょっとした罪悪感を覚えた。


僕も彼女からいろいろな話を聞いた。

母の仕事が忙しいのでなかなか帰ってこれないこと。

彼女が村の巫女であること。

そして、近い未来この村に災いが起きるであろうということ。そこで、一つ気になる話があった。


「--その災いから村を守るために別の世界から救世主がやってくると聞いたのです。」

「……!」

救世主?

「なので最初はあなたがその救世主なのかと思ってました。」

彼女は微笑みながら言った。

「…そんなわけないだろ。」

「…ですよね。」

彼女の横顔は寂しげだった。

「私はこの村が大好きです。」

突然彼女が話し出した。

「昨日のことなんですけど、本当はその救世主を探しに行くのもあったんです。もちろん見つかりませんでしたが。」

彼女の話は続く

「この村が無くなるのは絶対に嫌なんです。おじいちゃんがいるこの村を、私の生まれ育ったこの村を、お父さんとお母さんが帰ってくるこの村を、絶対に守りたいんです!!」

「…いいこだね、君は」

僕は自分が少し恥ずかしくなった。わざと親から遠ざかり、過去を見ないふりして、一人で部屋にこもり続けていた自分が。

「実は僕…」

この世界の住人ではないと言おうとした時、村の門のあたりから大きな音が聞こえた。

「なんだ⁉」

「大変だー!村の門が壊されたぞ!盗賊が入ってくるぞ!」


……!なんてことだ。


「…これが災いなのですか⁈いくらなんでも早すぎる…」

彼女は膝から崩れ落ちた。

「大丈夫だ!早くここからにげ…」

「おっと、誰かと思ったら昨日の兄ちゃんじゃねーか」

「……!」

昨日の盗賊達だった。

「部屋にあったこれ、なかなかいい爆弾じゃねーか」

そういって彼はガスのボンベを取り出した。

「こいつとあのじーちゃんが脆くなっている部分を教えてくれたおかげでこの村の門を壊せたぜ。感謝するよ。」

男が指さす先にいたのは、なんとあのおっさんだった。

そこで俺は今朝の違和感の正体に気づいた。


--なーに。君が森の中で倒れているのを見つけて連れて来ただけだよ。奴らはもうそのときにはいなくなっていたがな。--


彼は何故、その時いなくなっていたはずの盗賊に僕が襲われたのかを知っているのか。それは彼が盗賊と関わりがあったから…。


「すまない、どうしても金が必要だったんだ。協力すれば利益の2割を譲るという話になったから…。」

「くそっ…!」

「あんま怖い目で見るなよ。用があるのはそこのお嬢さんだけだ。」

彼女は怯えた顔をした。

「西洋人の娘は高く売れる。しかも処女だと思われるしな。これは一級品だ。」

「ひぃっ…!」


こいつなんてことを言いやがる。


「…連れていかせるわけにはいかない…。」

自分でも驚いた。僕はなにを言っているんだ。


「あぁン?なんか言ったか?」

「連れていかせない!絶対に」

男の顔がみるみる赤くなる。

「粋がってんなよ!クソガキがぁ!!」


そういって僕の顔を殴りつけた。


「そのまま眠ってろ!」

男は吐き捨てるようにそう言った。

そして彼女の腕を掴み連れて行こうとする。

「やめてください!はなしてください!」

「うるせぇ!売りもんには傷はつけたくねぇがあまりにうるせぇと容赦しねぇぞ。」


--悔しい、今の僕には何もできない。

僕のせいで村が襲われたともいえるんだ、僕には何もできない…今の僕には…だけど…!俺なら…俺ならできるんだ!かつて関東の頂点にたった、俺ならば!たちあがれ、どんなに相手が強くても、圧倒的な力でねじ伏せる、それが俺だ。


ふらりと俺は立ち上がった。


「まてよ、木偶(でく)

「…あん?まだ歯向かうつもりか?」


俺の体の1.5倍はある男が近づいてくる。


「黙れよ、口が臭ぇんだ。」

「んな⁈…二度とそんな口を聞かせなくしてやるよ!」


そういいながら男は右腕を振り出した。

(遅いな…見える!)

俺は体を少し右にずらし、左拳を男のみぞおちにぶち込んだ。

「ぐぅっふぅ!」

男はそのまま前かがみに倒れた。そこにすかさず、後頭部に全力のかかと落としをいれる。

「がぁっ!」

男は倒れて動かなくなった。

「な、なに…⁉う、うわあああ!」

おっさんはそういいながら走り去った。

どうやら女の子は気絶してしまっているようだ。


(まあいい、できるだけ見られたくないからな…この俺の『黒歴史モード』はな)


俺は2年前は相当やんちゃしていた。

毎日喧嘩をしたり、ジムにいったりしていた。

その結果、関東のトップという欲しくもない称号をもらった。そのせいで親にはすごい迷惑をかけてしまった。

だから僕は自分から両親を遠ざけてしまっている。

彼女とは似て異なるものだ。そう考えていると彼女が目を覚ました。


「…この状況は、いったい?」

「安心して、とりあえず安全なところに逃げるんだ。俺…僕は大丈夫だから。」

そういって彼女の頭を撫でた。

「それと…実は僕は、この世界の住人ではないらしい。」

そして俺は彼女に自分の本当の昔の話をかいつまんで話した。

「それじゃ、僕は行くから。」

「待ってください!」

「…どうしたの?」

「一緒に逃げましょう、ここにいては…」

「それはダメだね。」

「なんでですか!」

「だって…」

案外さらりと言葉は出た。

「だって僕は、救世主だからね。」

僕は振り返らないで歩いていった。



「あぁ?なんだおめぇは」

「てめぇらに名乗る必要はないだろ。カスどもが。」

俺はそいつのスネを蹴り飛ばし、前かがみになったところで顔面に膝蹴りをくらわせた。

それに気づいた、やつらの仲間が二人がかりで襲ってくるが、それをしゃがんでかわし、股間に拳をくらわせる。


「あいつ、強え…。おい!もっと人をこっちに回せ!」

どうやら村人も反撃に出ているらしく、敵はあまりこない。

(7,8人か…余裕だな)

振り回される斧をかわして、喉元に親指を押し付ける、そこから首を掴みもう一人にぶつける。

ぶつけられた男がなにかを落とした。木刀のようだ。

(これは、俺が捨てようにも捨てられなかった…。家からこんなもんまで盗んでいたのか…まあいい)

黒く塗装されたそれを拾いあげ、近づいてくる3人と向かいあった。

「死ねやぁ!」「どらぁ!」「ぬおおお!!」

それぞれ大声をあげながら襲ってくるが、それよりも先に俺は動き出した。出来るだけ体をかがめながら、一人の敵の腕に木刀をうちつける。

「うぐっ」

そいつが武器を落とした。その男を蹴り飛ばし、残りの二人にぶつける。その二人は衝撃によって倒れた、そこにすかさず面を二発。

「ぶげぇあ」「どぅおぅふ」

謎の悲鳴をあげながら二人もノックアウト。

(残りは二人かこの調子なら…)

「兄ちゃんよぉ、なかなかやってくれるじゃないかぁ。」


突然の声に驚き、声の方向をみた。

そこには一人の男がいた。銀色で長い銀髪と鋭い目をしている。他の奴らと比べると体は小さいのだが、その男の纏う雰囲気が他とは圧倒的に明らかに違う。


「俺の部下どもで遊んでくれちゃってよォ…なかなかやるじゃねぇかァ。」

「なにもんだ、てめぇは」

「あァ、俺かァ、俺はこの盗賊の頭領だァ。強え奴がいると聞いたからなァ、出てきてやっ…」

「おい!お前が盗賊団の頭領か!」

突然の声に驚いた。その声の主は

--おっさんだった。

「いい加減報酬をよこせ!俺はここを早く出たいんだ!!やることはやっただろ⁈」

頭領の男が静かにこう言った。

「…ァん?っせーな黙ってろよ。もとよりてめぇに一銭たりとも渡すつもりは無かったんだからよォ。」

「なっ…!ふざけるな!俺が自分の村まで捨てて協力してやったってのに!俺の夢をどうするつもりだ!老後を一人で街で暮らすという夢は!」

「夢ェ?知るかそんなもん、てめーはおとなしくそこでお寝んねしてなァ。」

そう言い残し頭領の男はおっさんに近づきハイキックを顔面にくらわせた。

「ふにゃあぁ…。」

おっさんは糸の切れた人形のようにその場に倒れこんだ。

元の場所に戻った男がこう言った。

「…これで邪魔物はいなくなったなァ?始めようぜェ。」

「分かった、タイマンでいいのか?」

「タイマン…?まあいい、俺は群れるのは好まないから一人でいかせてもらうぜ。」

「そうか、ならば問題はないな。」

そして男は腰から一本の白く輝く刀を抜いた。

「そんなひょろい木刀でお前はいいのかァ?なんなら俺の刀を一つかしてやってもいいぜェ。」

「お前なんかこれで十分だ。こいよ、泣かしてやる」

「なかなかでけぇ口聞くじゃねーか…よォ!」


といいつつとてつもない速さで突きをぶつけてきた。

「ぐっ…!!」

ギリギリでよけたが口からは小さい声がこぼれた。


そこからありえないスピードでの切り返しからの縦切り。ステップでひたすら避け続けるが、いくら避けてもそいつの攻撃は止まらなかった。

俺は防戦一方で反撃をできずにいた。


「いいのか?そのままじゃいずれやられちまうぞ?」


(村は火に包まれている。このままでは村がなくなってしまう。おそらくこいつを倒せば盗賊達は戦意を失うはずだ。一刻も早くこいつを!)


そう焦れば焦るほど自分の動きは鈍くなっていく。相手の攻撃はさらに鋭さを増す。

そう考えて思考が一瞬止まった、その一瞬の隙を狙って、突きが放たれた。


「ぐあっ!」

敵の刀が肩口を抉った。


「オラオラァ!反撃はどうしたよォ!!」

さらに敵の攻撃は激しくなる。

(…やはり今の俺、僕には無理だ。救世主なんて…この村を守ることなんて…)

ふと彼女の言葉を思い出した。


--この村が無くなるのは絶対に嫌なんです!おじいちゃんがいるこの村を、私の生まれ育ったこの村を、お父さんとお母さんが帰ってくるこの村を、絶対に守りたいんです!!--


(そうだ、僕は…俺は!守らなくてはならないんだ。何かのためじゃない!彼女のためにも!!)


俺は自分にそう言い聞かせた。

そこでふと脳裏に一つの考えが思いついた。

(リスクは高い…でも、やるしかない!)


「うおおおおおお!」

相手が刀を振り下ろす隙を狙って木刀をぶつけた。

木刀は刀とぶつかりその部分から折れたがそのぶん刀の勢いが落ちた。その隙を狙い、俺は刀を左手で掴んだ。


「なっ…!」

刀を捕まれた相手は驚きを隠せないようだった。

掴んでいる左手には熱のような痛みが走っている。


(…だが相手の動きを止めることができた!)


そのまま俺は短くなった木刀で男の手首を全力で叩き刀を落とした。そして刀の柄を相手の首筋に押しつける。


「がはぁっ!」


そこから容赦ない木刀の連撃をクリティカルさせる。


(避ける隙も、息をする隙も与えない!このまま一気に仕留める!)


何発目かの頭への攻撃で敵の頭領は白目をむいて倒れた。


俺は勝った。




--数時間後、すべての火は消え、盗賊もすべて捕まえた。おっさんも命には別状はないらしく、そのあとに取り調べを行い罰を決めるそうだ。僕が、一応言っておいたので死刑になることは無いだろうが、罪に見合った罰を受けるだろう。


今回の戦いで驚くべきことに死者は出ていないそうだ。


「あの!」

「ん?」

あの女の子だった。


「ありがとうございました。やはりあなたが救世主でしたか…。」

「そうだったみたいだね。」

苦笑いしながらそう答えた。

またも沈黙。すると、突然

「…あのすいません。一つお願いがあるのですが、いいですか?」

「んぇ⁈な、なんだい?」

あまりにも突然だったので少し驚いてしまった。


「えっと…」

彼女は顔を赤くしながらこう言った。

「あの…もし、迷惑じゃなければ…ずっと、この村にいてください。そして…そして、ずっと私のそ…」




そこで目が覚めた。

どこだと思ったら自分のアパートのベッドの上だ。

時間を確認したところ今は午後3時、眠りについてからまだ3時間しか経っていない。


「夢…だったのか?」

あの2日間のことがぼんやりと思い返される。

(そうだよな…普通、あんなこと起きるはずがない。夢であって当然だろう。)

僕はとても強い虚無感に襲われた。

そしてふと目についたため、木刀を取り出してみた。

そこで気づいた。


「……!木刀の先端が…折れてる…?」

さらに、自分の左の手のひらと右肩には刃物で切ったような痕が残っている。不思議と痛みは無かった。


(あの世界は…夢なんかじゃなかったんだ。)


だんだんと鮮明に思い出されるあの世界での出来事。




窓の外からはやかましいセミの声が聞こえる。

日差しがつよい。


「…眠いな。」


僕はベッドで横になり、目を閉じた。


はじめまして、梟汰(きょうた)と申します。

ぜひ覚えてやってください。


うつときは「ふくろう」と「た」っていれれば梟と汰が出ますので。


中二病?知らないなぁ。


今回は初投稿ということで、短編にしました。いろいろと駄目なところもあるかも知れないので感想をどんどん言ってください!


これからよろしくお願いします!

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