第九章「笑顔と嫉妬」
「積木っ、私の部屋から
数学の教科書とノート取ってきて!
机の上にのっている筈だから。」積木の姉の
月見は、一階から積木に教科書とノートをとってくるよう
叫んだ。
姉の月見は、積木と同じ中学校の三年一組で、積木より一つ年上だ。
「え〜、私今勉強中なのに…。」積木は文句を
言ったが、月見は聞き入れなかった。
勉強を邪魔されたことに
苛々しながらも、月見の部屋の中へ入り、机のところへ行った。
──何時見ても荒れ放題。片付ける気ないのかコイツは。
積木は月見の教科書とノートを探しながら思った。
…?ノートをみつけ、教科書を探していると、
机の上に一枚の写真がのっているのに気づいた。
どうやら学校の集合写真のようだ。
積木は写真の下のほうをみた。【5/8三年一組修学旅行】
と書いてあった。
積木はなんとなくソノ写真を見た。
お姉ちゃんは左側にピースをして友達と写っている。
なかなかの笑顔。
真ん中に三年一組の担任、英語担当の大山 須恵子先生が
笑顔で写っている。ソノ横に校長先生。
積木は右側を見渡した。三年男子の顔。見覚えのある顔も
幾つかある。
男子の一番奥に、保健の釜藤 杏子先生が写っている。
ソノ隣に──、小野寺先生が写っている。
積木は一瞬誰かわからなかった。
ソノ理由は、 満面の笑顔で写っていたからだ。
顔中に笑顔を満たした、真面目な小野寺先生。
いつも引き攣ったような微笑で授業の説明を
していた小野寺先生が、素敵な笑顔で集合写真に、
両手を後ろに組んで写っている。
そういや、小野寺先生は三年二組の副担だったけ…。
積木はソノ写真をみたとき、凄い敗北感と、
嫉妬に襲われた。
悔しくなった。やはり私たちのクラスで
していたアノ微笑は、偽だったのだろうか…。
正直ショックだった。三年一組のときは
アノ満面の笑顔で、私達のときは、あの引き攣り
笑い。偽笑。作り笑い。
悔しい…。ズルイ。お姉ちゃんのクラスだけ…。
私たちにも、いや私にもソノ笑顔をみせてほしい。
三年一組にみせた笑顔じゃなく、私だけにアノ笑顔を
みせてほしい。
アノ笑顔が、ほしい──。
私だけが手に入れたい──。
積木はそう強く思った。
ハイ、またもや更新(*- -)(*_ _)
ANCHORは一日一回、
アメのちクモリは一日平均二回…、
絶対ぬかされます、ANCHORw