第四章「始まりの数学」
「………大丈夫か?」
「皆弛んでるぞ!何時までも春休み気分で
いると、期末試験で痛い目にあうぞっ!大丈夫なのか!?」
田宮先生の大きな声が二年一組に響き渡る。
ホンットウザイ。校長だけでもうざいのに…。
コノ学校って何処まで煩いの?
積木は前から三番目の窓側の席でそう思った。
新学期が始まってまだ二日目。
授業もまだやっていなく、今はHR中だ。
「いいな、もう春休みは終わったんだから、
ちゃんと授業に集中しろよっ。一時限目は数学だ!」
そう言って田宮一美先生は出て行った。
ハア…。もう五十上なんだから(推定年齢※実際年齢不明)
そろそろ大人しくなりなさいよ…。
煩くてしょうがない。怒るならもっとクールに、ねぇ…。
積木は数学の教科書を出しながら心の中で呟いた。
「田宮、うっぜぇー。」
デタ。積木はもう一度溜息をついた。
声の主は佐々木 啓祐。
頭はいいけど…、精神的に考えるとクラス一の馬鹿かしら…。
積木はノートを団扇代わりにして扇いだ。
「コラー、ちゃんと席に着きなさーい。」
教室のドアをスルスルと開けて入ってきたのは、
数学担当、前田 香澄先生。通称:前ちゃん。(積木と加奈だけの
呼び名である。)前ちゃんは結構な人気モノで、話しやすくて
生徒からも断然好かれている。(勿論加奈にも。)
「……、だからXイコール1700、Yイコール1500。計3200円。
……、裕美架ぁー、わかるかー?」前ちゃんが元気よく
全然聞いてなさそうな裕美架に叫ぶ。
啓祐が耳をわざと塞ぎ、なんで塞ぐのー、と前ちゃんがまた叫ぶ。
うん、くだらない。馬鹿な学校…。前ちゃんもアノ馬鹿に
乗らなくてもいいのに…。
本でも読んでよっかな…。
積木はノリでちゃんと笑っておきながらも、心では
全然関係ないことを思っていた。
第一、積木は数学が体育の次に一番嫌いなので、集中しようと
思ってもできない。
糞メンドクセェ…、学校なんてなんであるんだろ…。
集団生活なんて大っ嫌い。
家で八時間勉強するのと、学校で四時間勉強するの、
どっちがいい?と訊かれたら、間違いなく積木は八時間を
選ぶだろう。
─キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン─
終業のチャイム。
皆が一斉にヨッシャア、と叫ぶ。
終業の挨拶をしてから、三分の一の生徒はすぐに前田先生の
ところにいく。
前田先生は、皆と話し、五分後、二年一組を出て行く。
「積木!トイレいこっ。」裕美架が積木のところに元気よく
来る。「ウンっいこ!」積木も元気よく返事を返す。
ハァ…、疲れた…。マジでこいつうざい…。
加奈のほうが何倍もいい。
隣の、加奈のいるクラスは家庭科で、
家庭科室に行っているので今は会えないのだ。
次は国語か──、アノ小野寺とかいう先生が、またうざい
西岡みたいな先生じゃないといいけど…。
積木は席に着くとすぐにそう思った。
─まぁ、でも大人しそうな先生だったし大丈夫か…。
今回は大丈夫か?
で始まり、大丈夫か、で
終わりました(゜(゜∀(゜∀゜(☆∀