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第十七章「レストランにて」

「ねぇー、積木、今日プリ撮りに行かない?」

加奈は一時限目が終わった十分の休み時間、

積木をプリント倶楽部へと誘った。

「オーケー。学校帰ったらすぐね。」

積木は、今日は何も予定がなかったから了解した。






「積木ー、笑って!」加奈は元気に言った。

今は「アップ」で撮っていて、互いの頬がふっつく。

次に「全身」でピースをして写る。







なんか……小野寺先生とプリ撮ってみたいな…。

積木は加奈が積木にあげるため、でてきたプリクラを

均等になるよう、十個ずつ切っているのを黙ってみつめながら

何となく思った。

やっぱピースはないだろうね……。

きっと後ろに手を組んで写るだろうな…。

積木は、小野寺先生がいつも始業の礼をするときの、

後ろに手を組むやり方を思い出した。


「はい、積木のぶん。」加奈は積木にプリクラを渡した。

「サンキュー、おなか減ったからビッ○リ○ン○ー行かない?」

「OK。うちも行きたかったぁー。」

積木と加奈はプリント倶楽部を出、すぐに向かった。






「食いすぎんなよー。」加奈はにやにや笑いながら、

メニューをみている積木に、わざとでかい声で言った。


「やめてやー、恥かしいしょや。」積木はわざと怒ったフリをして言った。

結局、なんとなくゆっくりと積木と話がしたかっただけで、あまり

食べる気はなかったので、二人で食べるよう、フライドポテトを頼んだ。



十分後。楽しく談笑しながら、フライドポテトを食べているときだった。



「いらっしゃいませー」店内にとりわけ大きい声の女性店員が客を

席へと案内する。


「でさー、前ちゃんが…」積木は笑いながら加奈に話しを続ける。



「…あ、小野寺先生だ…。」加奈は驚いた顔で先生が店員に案内されている

所を釘付けされている。

積木は思わずポテトを落としそうになった。

 「嘘……。」




幸い(?)相席にはならなかったが、先生は積木たちの斜め前の

席だった。後ろを見れば、すぐバレるだろう。




積木は心臓が高鳴るのがわかった。緊張する…。

「ほら、いきなってー。」前をみると、小さい声で、

加奈がにやにや笑っている。


え?ま、さ、か……。加奈にバレ…てる?




しかし、よくよく考えるとそうではなかった。

積木と加奈はよくこのような冗談会話をする。

ニッシーのときもそうだった。



「いやーカッコいいー、ごめん、ちょっと行ってくるね。先帰ってていいよ。」

積木もノらないとバレそうな気がしたので、わざと真面目な顔をして、

席を立とうとした。

「ごめん、警察行って来る。」加奈もそれにノリ、積木に負けないくらい

真面目な顔をして立つフリをする。


積木はやめてやー、と笑いながら小さい声で言った。

「普通にありえないから。ごめんっ、ホンットごめん。」積木は、先生の

横顔を見、謝る様に手を自分の顔の前に出す。加奈も低い声で笑う。









見られないかな…積木は見つかってほしい気持ち半分、見つからないで

ほしい気持ち半分で小野寺先生をみつめた。何注文するんだろ…。



「奥さんとかきてないのかなー。」加奈は興味深々で先生を見る。

「やめなってー、喧嘩したんだから……、今親権問題で争ってる

最中なんだから…可愛そうでしょ…。」積木はわざと怒ったフリをした。


加奈は思わず吹き出し、その笑い声でこっちを小野寺先生に見られ、

ついに見つかってしまった。



しかし、小野寺先生はこっちに来ず、積木たちに微笑み、手をあげて

声を出さずに挨拶をした。


積木と加奈も、座ったまま礼をする。


物凄く緊張する…積木の胸は今までにないほど高鳴っていた。

今の話、聴こえてないといいけど……。

でも多分大丈夫だった。先生のほうを気にして、そんなに大声で話していないから。





積木と加奈は小野寺先生が居ることであまり話せなくなり、

帰り際に、先生にまた一礼をし、早くに店内を出た……。

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