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一、進学クラスとわたし


進学クラスとは言っても、別に6組は成績のいい人が集まるクラスではない。


理系の、物理選択者が集められたクラス。医学部に代表される医療系、または機械・情報系へ進学を希望する人はみんな生物ではなく物理を選択する。(当たり前だが)このクラスから医学部に進学する人が多いため、進学クラスと呼ばれるようになった――


と言うのが一番有力な説だ。文系の法学部進学者とかはもちろん進学クラスにはいない。かわいそうだと思うのは私だけか。



だから、進学クラスは決して優等生が集まるクラスではなく―――むしろ「進学クラス」という名前に惹かれてやってきた者やプライドだけが高い者など、変人の多いクラスなのだ。



例えば、私の友達のマヤちゃん。彼女は絵の天才で、賞をもらうことなんか日常である。だが、極度に生活能力がなく、そして怠惰だ。私なしでは生きていけない。このクラスを選んだのは、私がいるからだ。


また、例えばそこの美人は河合紗耶香ちゃん。彼女は美人さんだし頭もそこそこいいが、プライドが高く人を見下す癖がある。そのせいで友達はほとんどいない。このクラスを選んだのは、プライドのせいだ。



私がこのクラスを選んだのは、社会で誰かを救いたいからだ。こんな私でも、きっと誰かを助けられる。誰かを救える私になりたい。私は今までずっと裕福で幸せな生活をしていた。それをみんなに分けてあげたい。いや、本当はただ誰かに必要としてもらいたいだけなのかもしれない。



とにかく、それよりまず身近な人から救わなければならない。私は今年も委員長になるつもりだ。そのためにはみんなのことを知る必要がある。


名前は覚えた。誕生日も覚えた。血液型も家族構成もちょっと調べて覚えた。部活の人間関係。友人関係。ご近所との関係、ご近所から見た家族。将来の夢と、希望する進路。このクラスを選んだ理由。病気歴。出身の中学校。趣味。それらから考えられる悩み。全部覚えた。みんなを幸せにしたいから。好きなだけ頼っていいんだよ。




誰から助けようかな。そう考えたとき、やっぱり真っ先に頭に浮かんだのは不登校のみなみちゃんだ。



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