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ランブル・ディスコード!!  作者: 梶原 煜
第1章 Girl Meets Girl
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第1章 エピローグ

第1章の完結です。

エピローグ


「え、エルレスティア、ま、マクレガーです!!よ、よ、よろしくお願いします!!」

室内に一際大きな声が響く。

「エル”ク”ね。」

すかさずにフォローに入るクリス。


今彼女達がいるのは、ガーデンブルクと呼ばれる街で、周りを山と木々で囲まれた自然豊かな街だ。

あの後エルハイムと別れ、セロの事も気になったが「死にゃしないわよ、あんなんで。」というクリスの一言で、ハルト達が暮らすギルド本部

[ヴァリアントユニオン]があるここへと来たのだ。

まぁ歩いていくにはちょっと遠すぎるので、また転送サービスを利用した。

もちろんハルトのおごりで。

「またかよ!!」

「いいじゃない、あんた商売で稼いでるんだから少しは貧民に分けてちょーだい。10Mダリスくらい。」

Mとは100万という単位の簡略だ。ダリスはこの世界の通貨単位である。

「1000万なんか俺がほしいわ!!」

などと言い合っていると

「いいからそこの方の紹介をしてちょーだい!」

突然横槍が入る。

「ああ、そうだったそうだった。彼女はエリィ、見てのとお・・・あれ?」

ハルトが紹介しようとエリィの方を見たのだが、当の本人は緊張のしすぎか固まって動かない。

「み、見てのとおり超緊張している。」

冷や汗を掻きながらとりあえず現状を説明する。

「ほら、いつまでも固まってないで戻ってきなさい。」

クリスがエリィの後ろに回り両肩を叩くと、ぷはっ!と言って動き出す。

息まで止まってたのか。

そんな状況を見ていてもたってもいられなくなったのか、エリィの前へと黒髪の女性が歩いてきて

シュ 梨燕リエンよ!よろしくね、エリィ!」

とても元気な声で話しかけてきた。

身長はエリィよりも少し小さめで、長い黒髪を両端でお団子状にしてシニョンをつけている。

「彼女はこう見えても拳術の達人だ。下手に手出しできないぞ~。」

と、ハルトが横から言うと

「うっさい、黙れ!」

その顔に向けて軽く裏拳一発いれただけで、部屋の壁際へきりもみ状に吹っ飛んでいった。

「な・・?」

その言葉を最後に彼は崩れ落ちたまま動かなくなった。

さようなら、ハルト。

「勝手に殺すんじゃねぇ!!」

「まぁあれはおいといて。ボクのことはリエンって呼んでね!ボクもエリィって呼ぶから!」

「は、はい!よろしくお願いしますリエンさん!」

深々と頭を下げるエリィ。

「次はオレの番だね!」

へへっと照れながらエリィの前へと出てくる。金髪でツンツン頭が特徴の男性だ。表現的には男の子、だろうか。

「オレはアラン=クロエ!みんなはアルって呼んでるよ!よろしくね、エリィねーちゃん!」

「ね、ねーちゃん!く、クリスさん!私おねーちゃんになりました!」

よほど嬉しかったのかキャッキャッと喜ぶエリィ。

「やるわねアル・・・。エリィのツボを一瞬で押さえるなんて・・。」

「さすが年上キラー・・。」

クリスとリエンが口をそろえて呟く。

「まぁとりあえず。」

ゴホンと咳払いを一つしながらハルトが間に入ってくる。

「あ、生きてたんだ。」

「死んでないわ!!」

キチンとツッコミを返し話を続ける。

「とりあえず今はこんなとこかな。たまにしかこない連中もいるからそれは追々紹介するとして。」

ハルトがギルドのみんなへと目配せを送る。

それに頷く連中。

「ほぇ?」

一人何も知らないエリィが疑問を感じる。

「エリィちゃん!ギルド[ヴァリアントユニオン]へようこそ!!」

ハルトの掛け声と共にみんなが隠し持っていたクラッカーを一斉に鳴らす。

大きな音を立てて割れたそれは赤、緑、黄色など色取り取りの紙ふぶきがエリィへと降り注ぐ。

「わぁーーー!」

歓喜の声を上げているのはエリィだ。

「さぁ今日は歓迎会よ。派手にやりましょ派手に。」

その部屋の奥にはたくさんの料理や飲み物などが置いてあるダイニングテーブルのようなものがあった。

「やったー!今日は芋じゃないんだね!!」

「やめてアル!そういう悲しい事を言わないでください!!」

ハルトがアルの口を塞ぎながら奥へと引っ込んでいく。

なんかさらっと爆弾発言を聞いたような気もするが特に気にしないことにした。

「なんか、こんなに歓迎してもらっていいんでしょうか。」

うれしそうな顔をしているが、やはり少し不安はあるようだ。

「なーに遠慮してんのよ。今日からあんたもウチの一員なんだからこれくらい当然でしょ。さぁ飲め飲め!」

すでに一杯ひっかけているクリスが無理やり酒を飲ませようとする。

「あんたは何未成年にお酒薦めてるの!色々な人に怒られるからダメ!!」

アルを塞ぎ倒したハルトが今度はクリスを止めに入る。

「なにをー!あたしの酒が飲めねーってのか!」

「タチが悪ぃよこの酔っ払い!!」

またハルトが泣きそうだ。

それを見ていたエリィがクスクスと笑う。

「あの人たちおもしろいでしょ?いつもあーなのよ。」

傍にいたリエンが話しかける。彼女も未成年なのか手に持っているのはジュースの類だ。

「だから、エリィも何も心配しなくて大丈夫だよ!ボクなら何かあったらいつでも相談に乗るからね!」

同年齢の友達の様に気軽に話しかけてくれる。

「あ、ありがとうございます!お世話になります!」

そう言うと、すくっと立ち上がり

「じゃあさっそく最初のお仕事してきますね!」

と言って暴れているクリス達の方へと向かっていく。

一応仲介に入っているようだ。ただ、エリィの影に隠れてハルトが文句言ってるのはとても滑稽だ。

「こりゃ大変な仕事引き受けちゃったねぇ~。」

そう思いながら自分もちょっとお酒飲んじゃおうかなーって思ったリエンだった。



その夜、一人外のベランダで夜空を見上げていたエリィ。

ギルドのみんなは暴れまわったあげく、疲れて寝てしまったようだ。

ハルトさんとかが酔いつぶれたのはわかるが、なんでリエンさんからお酒の匂いがしたのかはよく知らない。

ここ最近の出来事が唐突過ぎたので少し整理してみる。

まず、クリスに会わなかったから今の自分はここにはいないだろう。あの洞窟で魔物に食われていたに違いない。それに自分をさらった連中、彼らは自分の事を知っているようだった。

はっきり言うと怖い、またさらわれるんじゃないかと思うと夜も眠れない。

でも、自分の記憶を知りたいという願望もある。

このジレンマに悩まされ、つい大きくため息をついてしまう。

「そんなにおっきなため息ついたら幸せ逃げちゃうわよー。」

ふと後ろから声が聞こえたので振り返ると、そこにクリスが立っていた。

「あ、クリスさん。」

「隣、いい?」

そう言われたので頷くと、自分の隣に座るクリス。

「眠れない?」

「いえ、そういうわけじゃないんですけど・・。何か色んな事が起こりすぎて・・・。」

少し俯きがちに答えるエリィ。

「まぁねぇ。ここんとこちょっとドタバタしすぎたわね。自分で言うのもなんだけどまだ整理できてないわー。」

あははと頭を掻きながら言う。

「私、これからどうすればいいんでしょうか。」

多分言ったところで答えを知っているわけではない。それでも聞いてみた。

「エリィは自分の記憶を取り戻すんでしょ?」

クリスが逆に質問してくる。

「はい・・・。でも怖くて・・・。」

消え入りそうな声でそう呟く。

そう言うと急にクリスが立ち上がり

「自分の道は自分で作り出す!邪魔する奴らがいたらかまわずぶっ倒す!」

そう言いながら右腕を前面に振るう。

「今日も言ったでしょ?」

エリィの方へと向き、微笑みながら言う。

「もしエリィが記憶を取り戻すというなら、それを邪魔する奴らはあたしが全部倒してあげるわ。」

「それか、今のままでいいならそれでいいじゃない。どっちにしろ進まなきゃいけないのよ。だからそんな頭下げてないで上むきなさい、上。」

ほんとポジティブな人だ。

でもその言葉は毎回自分を勇気付けさせてくれる。

ただの言葉じゃない、とても暖かみがあるように感じさせてくれるのだ。

「は、はい!」

そう言って顔を上げる。

「まぁ今すぐ答えを出すわけでもないし。気長にやりましょ。」

またエリィの隣へと腰掛け、夜空を見上げる。

「今日も夜空は綺麗ねーちくしょー!」

「何で畜生なんです?」

「だって気に入らないじゃない。何も無い空でどーせ何も考える事もなくぼけーっと光ってんのよ。」

それは自己中すぎだと思います、とつっこまざるを得ないエリィ。

「まぁ、これからどれくらい続くかわからないけど・・。」

話を戻すクリス。

「改めてよろしくね、エリィ。」

「はい!こちらこそよろしくお願いしますクリスさん!」


長く遠い物語は、今ここで動き始めた。



エピローグ 完

何とか第1章を書き切る事が出来ました。

次章も早めに修正をして投稿していきたいと思います。

よろしくお願いします!


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