9話 簡単なお仕事
私は街の人に声をかけた。
「すいません、このあたりで金を稼げる建物ってあります?」
「うーん、生活系ならあの緑の横断幕がかかってある建物で戦闘系は赤の横断幕がかかってるところかな。ぶっちゃけ赤の横断幕の建物は推奨しないな」
「どうしてですか?」
「あそこのギルドマスターは人相悪くてな……気に入らない冒険者が居たら実力より一個上のクエストを吹っ掛けてくるんだ。逆に緑の横断幕のギルドマスターは美人で巨乳でボンキュッボンなんだよ」
最後の言葉で私の気分は少し悪くなり、後ろで聞いていたセラフィスは早口でこう言った。
「うるせぇてめぇの服を脱がして亀甲縛りして街中に晒すぞ」
「うおっ……早口なガキだな」
「ガキで悪かったね、じゃスイ行こ」
セラフィスは私の手を強引に引いて赤い横断幕の建物に入って行った。
「らっしゃいませ~」
入って数秒、酒の臭いが鼻から入ってきた。
(うおっ……漢臭が凄い)
恐る恐るギルドの人がいるカウンターに向かうと話しかけてきた。
「それで、あなたは新規だよね」
その人の身なりは何処か清潔にしていなさそうな服装で街によくいるモブのようだった
「はい、転生してきたんで何が何だか分からないんですよ」
「そうか、なら説明をしないとな。ここはラッセルの酒場、ここのギルドマスターは私だ」
話す勢いで紙をテーブルに叩きつけた。
「これ、名前を書いて」
「わかりました……」
剣幕に押され私は名前を書いた。
「それで横にいるのも新規だな」
「そうだけど何か?」
「まだガキンチョじゃあないか」
周りからは笑い声が聞こえてきたがセラフィスはまだわからないのかとニヤニヤしていた。
「何笑ってやがるんだ?面白い事でもあったのか?」
「いや、何でもない……続けてくれ」
「紙に名前を書け、話はそこからだ」
ギルドマスターはセラフィスに紙を私と同じように叩きつけ、セラフィスは必死に名前を書いていた。
(そういえばセラフィスの正式名称長いんだっけ)
私は実名で書類を提出し、セラフィスも提出した。
「ほぉ、安達翠憐っていうのか、それでそっちのガキは……ブッ」
ギルドマスターは飲んでいた紅茶を一気に噴き出した。
「どうしたの?」
それと同時にセラフィスの背が縮んでいき、触手が出始めた。
「なんだよその姿……」
「私はあなたたちに危害を加えない。そしてあなたたちも私に危害を加えない。いいね?」
「は……はい!」
一気にギルドマスターは心がぎゅっとなっているようだった。
「それで……クエストは……何を受けます……か?」
ギルドマスターはちらちらっとセラフィスの方を見て様子をうかがっていた。
「私はあなたたちに危害を加えないって言ってるでしょ?」
「だってあなた様は……神様なんでしょ!?」
「そうだけど?」
「どうして神様をこのひよっこが」
その言葉を聞いたセラフィスは圧力をギルドマスターにぶつけた。
「ひぃぃ」
するとギルドマスターは泡を吹いて後ろに倒れた。
「あれ、倒れちゃった」
「セラフィス、圧かけすぎ」
「でもこうしないと上から目線で話してくるから、それに好きな人を散々言われたらこうせざるを得ないじゃあないか」
「転生前はこういう待遇散々受けてきたから大丈夫なの」
「……転生前の世界……いったいどういう修羅!?」
数分後、ギルドマスターが起き、ふらふらと立ち上がりながら私は簡単なクエストを受けた。
「ならいってちょうだい……」
ギルドマスターはふらふらな足取りで個室に入って行った。
「じゃ、行ってみよー」
「うん……」
(セラフィスってもしかして危ない神なの?)
私はセラフィスの正体が何なのかが分からないまま一緒に時を過ごしているけど、弱ったらセラフィスに食べられるって展開無いよね?
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