31話 あうー!
街に着いた私とセラフィスは各々のやるべきことを達成しに別れた。
「私は馬車を何とか手に入れるっていう奴だな……あの人に聞いてみるか」
私はギルドマスターに馬車を何処で買えるかと聞きに行った。
「馬車か?2万は余裕でする、一応ここで買える」
「どういうサイズがあるんだ?」
「一番最低クラスは3人乗りでスペースがない、最上級クラスは8人乗りで荷物置き場もそれなりにある。どうする?」
「なら最上級クラスの1個下ぐらいにしておこうかな」
「なら2万5千ゴールドだね」
「2万……!?」
「そうだね、一応貯金として3万はあるがどうする、だけど貯金残高を見ると最上級クラスは帰ると思うが」
「なら最上級クラスでよろしく」
「了解、今すぐの方がいい?」
「いや、数日だけ待っていてくれ」
「分かった、だがどうして急に馬車が必要になったんだ?」
「この戦争を終わらせるために足が必要なんだ」
「戦争ね……例の戦争か」
ギルドマスターはため息をつきながらこう言った。
「あれ正直迷惑なんだよね。ギルドに入ってくる依頼が半分ぐらいなくなったんだから」
「そうなんですか!?」
「ああ、半数が信仰団体からの依頼だったんだがな、協定でそう言う依頼は軒並み取り消しになったんだ」
「それは少しだけ残念だね」
「まっ、面倒な奴の依頼を受けなくてよくなったっていう点があるがな!ガハハ」
ギルドマスターは高笑いしてそう言った。
「それで神様は今何してるんだ?」
「馬を持ってる人に頼み込んで馬の操縦技術を身に着けてるんだ」
「そういえばあの神様って馬の操縦技術を身につけてなかったんだっけ、頑張ってるんだろうなぁ」
「頑張ってると願いたいですね」
そうして私は馬車を買い、数日後に受け取りに行くと言ってギルドを後にした。だが後ろからペタペタという足音がしてきた。
「だふー!」
後ろから誰かにタックルされ、私は膝から転げた。
「うわぁ!?!?」
「ちょっと!?なにしてるのさ……」
ギルドマスターが走ってこっちに来ると後ろにしがみついている何かを剥がした。
「何があったんですか?」
「ああ、あなたがダンジョンで助けた子が起き上がってね、どうやらあなたに好意を抱いているらしいんだ」
「あうー」
「聞いての通り人の言葉を話さない。私もこいつの扱いに困ってるんだ。いいよね?」
「いいよねって聞く前に何かいう事あると思うけど」
「……黙ってたな」
「あうー!」
「そういうことだから、じゃ!」
「あう」
ギルドマスターは抱えている子を放し、持ち場に戻っていった。
「あうーうー」
「……どうして私、変なのに好かれるんだろう」
この世界に来てからセラフィスに続いてこの子に好かれているが……そんな魅力があるのだろうか?
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