19話 守護代
馬車に乗ってギルドハウスに戻ってきた私たちはギルドマスターに報告に行った。
「それで、この子が奥にいたのか」
「うん、今この子は寝てるけど起きたら人を襲うのか分からないからね」
「襲う……?」
「拘束を解いた時、一瞬だけ危うさがあった。その危うさの意味は分からない」
「そうか、それにあの場所に人は居たか?」
「居た。だけど人だったものも居たね」
「人だったもの……?」
「生物兵器によって体を変異させられたような感じだったんだよ」
「へぇ」
ギルドマスターは少しふてぶてしく私が言ったことに相づちを打っていた。そして女の子は奥の部屋に連れていってもらった。
「じゃ、報酬として金を貰ってもいいかな」
「いいけど後ろにいる小汚い男死臭との取り分はどうするの?」
(ウィットフォードさんの呼び名が酷い気がするけど……仕方ないかな)
ウィットフォードさんのやってきたセクハラが今清算されたような気がした。
「俺は全然ナシでもいいぜ。勝手についてきただけっていう人だからさ」
「そうなのね、ならスイに全額ね」
「いえ、1割ぐらいをウィットフォードさんに」
「いやいいぜ。君が稼いだ金だ」
「ウィットフォードさんが居なければ明らかに詰んでいた場面があったんでそのお礼で」
「いいのか?」
「いいですよ」
私は報酬金の1割をウィットフォードさんに渡した。
「ありがとよ、もっとカネならもらうぜ」
「テメェは銭ゲバ野郎か」
ギルドマスターとウィットフォードさんの仲は本当に良いんだなとしみじみ感じた瞬間だった。
「そういえば、家は持ってるの?」
「家ですか……転生したてでそういう類の物はないですよ」
「そうか、この街のはずれにある廃墟、住めなくはないがいろいろと修繕をしないといけないからな」
「そうなんですね……」
「ちょっと出る」
ギルドマスターは建物から出て横にある建物に入って行った。
「セラフィス、あの人何しに行ったのかな」
「知らなぁい」
数分後、ギルドマスターは大人しそうな人の頬をつねりながら帰ってきた。
「こいつが隣の生活ギルドでマスターをしてるやつだ」
「よろひくぅ」
「いやなんかつねられていて涙が出てるんですけど???」
「こいつは昔から泣き虫だからな、仕方ない事なのだよ」
「ウヘェァ」
そして詳しい話は隣のギルドで話すと言われ、私とセラフィスは隣のギルドに入っていった。
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