15話 味方を利用する攻撃法
通路を歩いて行くうちに分かったことがあった。
(私がいた場所に似ているけど知らない言語が書かれている。だけど理解できる私はどうしてなのだろうか)
私の視覚では明らかに日本語じゃない文字が書かれていたが脳がその言語を勝手に翻訳して理解できるようにしていた。
「何かわかったか?」
「何かの研究所ってのは分かった、だけどその何かってのかが分からないんだよね」
「こんなにキレイな場所だからきちんと人が居るってことだよね」
「そうだな……このまま突撃するか?」
「クエストを受けた以上、逃げるっていう選択肢はないでしょ」
私はこう言い切ったがウィットフォードさんは反論してきた。
「逃げるってのは本当に優秀な人がする戦法なのにねぇ、君はまだ逃げるという選択肢はないのかね」
「無いね、我後退の螺子無し」
「ほぉ」
ウィットフォードさんが通路の奥にあるドアを開けた。
「まっ、人は居なさそうだ。行こうぜ」
ウィットフォードさんがドアをくぐり、鉄球を持ち出した。
「いつ人が来てもいいように鉄球は持っておく」
「その鉄球ってどんな重さなの?」
「持ってみるか?重いぞ?」
私はウィットフォードさんが渡してくれた鉄球を手の上で転がしてみた。
「確かに重いですね、これを投げてるんですか?」
「ああ、これがないと俺のペンタグラムが死にペンタグラムになるからな」
「そうなんですね……」
「だが人気があまりないが人は何処に行った人は」
奥のドアを開けると通路の壁には人が血まみれで倒れていてダクトから音がした。
「……これって何かの企画か?」
「いや、これは企画ややらせとかじゃないな……」
ウィットフォードさんは倒れている人に鉄球を投げて電気を流したが動く気配はなかった。
「うん、死んでいる。だが最近やられたようだな」
「そこまで分かるんですね」
「嘘、死んでいるかはわからないが生きているのかもわからない」
ウィットフォードさんがゆっくりと倒れている人に近づき、首元を見て手首に指をあてた。
「うん、脈がない」
「もしかして死んでた?」
「うん、死んでた」
ウィットフォードさんが真顔でこっちを見ながら言ったので私は少しだけ噴いた。
「だがこれで分かった。ダクトに入った奴がやったと」
「どうしてわかったの?」
「首元がごっそり抉られている。見るのが辛かったら目を伏せてもらっても構わない」
ウィットフォードさんが死体を私たちに見せてきた。私は気分が悪くなり、後ろでゲロを吐いたがセラフィスはじっとりと見ていた。
「ウォエェェェエ」
「ゲロするほどきついのは分かる、だがセラフィスさんがじっくりと見るのが意外だったな」
「当然、だって神だもん」
セラフィスは堂々と言い放った。
「そうなのか……」
すると上からうめき声が聞こえてきた。
「おっと、もうヤツの標的は俺らに切り替わったってわけか」
私はとっさの判断でウィットフォードさんに向かって走り出した。
「これ借りる!」
「ちょ、俺の鉄球!」
私は中にある鉄球を手のひらにある程度ぶちまけ、音の鳴った場所に向かって投げた。
「いっけぇ!!」
その時、私のペンタグラムで威力を増強させたが色が赤色だった。
「ドリャァ!!!」
鉄球は上のダクトを貫き、ヤツは驚いてどこかに逃げていった。
「一旦は退けたのかな」
「俺の鉄球、どうしてくれようか」
「いいじゃんか、鉄球なんてまだまだあるんだし」
「そうだけどなぁ、無限じゃないからな」
私たちはヤツが逃げた方向に向かって歩き始めた。おそらくヤツを今逃せばまずい気がする。
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