表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/283

朱里side ⑤ ~自分の彼氏が両親に認められるとこんなにも嬉しいんだ~

 朱里side ⑤



「あぁー悠斗くん……かっこよかったなぁ……」


 夕飯を食べ終わったあと、お風呂に入り、今の私はベッドの上で足をパタパタしていた。


 私の両親の前で話していた彼は本当に格好良くて、惚れ直してしまった。


 あの後私たちが見た悠斗くんの行動は、私の両親に認められたのが嬉しかったのと、あの場は本当に緊張していたんだな。ってのが良くわかる感じだった。

 あはは。ちょっと可愛いなって思ったのは内緒だけど。



 悠斗くんが玄関を出たあと、お母さんがインターホンの前で手招きをしていた。


「なに、お母さん?」

「ほら、まだ悠斗くん居るわよ」


 お母さんが指さす画面には、胸に手を当てて呼吸を整える悠斗くんが居た。


「あれだけ立派に話してはいたけど、やっぱり緊張してたのよねー」

「当たり前だろう。私だって君の両親と初めて話した時は緊張したものだ」

「そうよねーあなたったら、彼とは違って緊張してかみかみだったしー」

「そ、それはもう昔の話だろ……」


 そんな、両親のイチャイチャに少しうんざりしてると、画面の悠斗くんが大きくガッツポーズをしてた。


「あらやだ本当に可愛いわね」

「いや、気持ちはわかるぞ。私も昔同じことをしていた」

「…………」


 悠斗くん、本当に嬉しかったんだね。


「なんか覗き見てるのは悪いわね、このくらいにしておこうかしら」

「そうだな。ここで見た事は見なかったことにしよう」

「うん。わかった」


 そう言って、みんなで画面から離れる。


 私は、お父さんとお母さんに向き合って言う。


「お父さん、お母さん。私、悠斗くんが本当に好きなの」

「うん。わかってるわよ」

「そうだな、彼は今どき珍しいくらいの良く出来た男だと思ってる」


 二人に認められた悠斗くんが本当に誇らしい。

 だから、今度は私が言う番だ。


「悠斗くんは、遊びの付き合いじゃないって言ってるように、私も遊びじゃないの。キチンと将来のこととかも考えててね、その、悠斗くんなら……結婚とか……そう言うのもいいなって」

「うんうん」

「子供の戯言と言うつもりはない。真剣なら尚更好ましい」

「……っ!!ありがとう……お父さん、お母さん」


 嬉しくて涙が出てきた。

 でも、この後のお母さんの一言はいただけない。


「でも朱里。気をつけてよねぇ?」

「え?」

「私はまだ、『おばあちゃん』にはなりたくないわ」

「母さん!!??」

「お母さん!!??」


 声を荒らげるお父さんと私。


「ま、まだチューもしてないのに!!」


「あらぁそうなの?」

「そうだよ!!だってしようと思ったら後ろからお父さんが!!」

「やっぱりあれはそういう寸前だったのか……」

「あら、あなた……それは……」

「い、いや……まだ彼を認めてない状況で、娘のそう言うのを見るのは……」

「お父さんのバカ!!」

「うぐぅ……」


「まぁまぁ、この話はこのくらいにして、ご飯にしましょう」


 今日はシチューよ。


「か、母さんのシチューは美味しいからな!!冷めないうちに食べよう!!」


 お父さんが話題を変えるように声を上げた。


 まあ……良いんだけどね!!








「そんなこんなで色々あったけど、悠斗くんとの仲は絶対深まったと思ってる……」


 二年連続で同じクラス。席は通路を挟んで隣。毎朝一緒に登校してる。

 喧嘩なんか一回もしたことない。


「でも、何でだろう……」


 なにか胸騒ぎがする。


 順風満帆な筈なのに、嫌な予感がする。


 その原因はきっと……


「黒瀬さん……」


 私が去年一年間ずっと憧れていた女の子。


 私がああなりたいと思っていた理想の女の子。


 彼女を『聖女様』と呼び出したのは……私だ。


 凛とした表情で、いつでもひとりで、孤高の美少女。


 今年からは私の友達……


 そんな彼女が悠斗くんの隣に……近づいている気がする


「はぁ……なんでこんなに気になるんだろう」


 ゆーこちゃんが悠斗くんに近づいてもなんとも思わない。


 彩ちゃんが悠斗くんに近づくとちょっとモヤモヤする。


 でも、黒瀬さんが悠斗くんに近づいていくと、なんだかすごい不安になる……


「悠斗くん……」


 スマホを見る。彼からのメッセージで、無事に家に着いたことと、雫ちゃんとご飯を食べたこと、今はお風呂に入ってること、そんなやり取りをしていた。


「大好きだよ……」


 不安な理由は分からない。だけど、今はそんなことを考えても仕方ない。


 私は悠斗くんに、今日は早めに寝るね。とメッセージをして、布団を被った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ