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第七話 ⑥ ~友人の好きな人が誰なのか少し気になりました~

 第七話 ⑥




「よし、これでホームルームを終わりにする。桐崎、号令だ」

「はい」


 俺は朝とは違い、山野先生の声にしっかりと反応する。


 俺の号令に従い、クラスメイトが挨拶をする。


「よし。では帰っていいぞ」


 山野先生はそう言うと教室から出ていった。


「悠斗くんは今日はこれからアルバイトかな?」

「うん。朱里さんは部活だよね。頑張ってね」

「えへへ、ありがとう悠斗くん。じゃあまた後でメッセージ送るね!!」


 バイバイ!!と手を振りながら朱里さんは部活へと向かって行った。


 可愛い。


「いーんちょーの目がはーとだ」

「いや、今のは可愛すぎだろ?」

「わかる。朱里ちょーかわいい」

「とりあえず、昨日より元気になってくれて良かったよ」

「まぁね。昨日の部活でも空元気かなーって感じはヒシヒシとしてたよ」


 と、言う佐藤さん


 そんな彼女に言う。


「これはまだ朱里さんには内緒なんだけど、今日の夜にメッセージで今度の日曜日にデートしようって誘おうかなって」

「お?いいじゃん。いーんちょーやるねぇ」


 と、興味を示す佐藤さん。


「まぁ、何処に行こうかとかはまだ詰めてないけど、とりあえずバイトしながら考えようかなって」

「最高だと思うよ。朱里もきっと喜ぶよ」


 じゃあね、いーんちょー!!


 そう言うと、佐藤さんは部活へと向かって行った。


「そろそろ話しかけても平気か?」

「なに気を使ってんだよ健?」

「いやー人気者は辛いよな」

「何言ってんだよ。女子人気はお前の方があるだろ?」


 俺はそう言うと、健の胸に拳を入れる。


「どうでもいい女に好かれてもなんとも思わん」

「お?という事は、気になる女の子でも出来たのか?」


 という俺に、健は珍しく言葉を濁す。


「まぁ……そうだな」


 その様子に俺は少し驚く。


 その相手が佐藤さんならいいな。なんて思いながらも、


「気になる女の子にカッコイイとこ見せたい。ってのは男の最大のモチベーションだからな。部活頑張れよ、健」

「ああ、そうだな」


 俺のその言葉、奴は首を縦に振ると、部活へと向かっていった。


 あいつは体育館で部活してるから俺の様子は見れねぇんだよな。


 なんて声が聞こえてきたが、なるほど、気になる女の子は体育館部活か。


 佐藤さんの可能性がちょっと高まったことに、俺は少し喜びを感じる。


「それでは桐崎くん。本日分の学級日誌を書き終えたので山野先生に渡してきますね」

「ありがとう、黒瀬さん。明日は俺が書くね」

「はい。了解です。交代で書いていきましょう」


 学級日誌をパタリと閉じ、黒瀬さんが立ち上がる。


「では、桐崎くん。アルバイト頑張ってください」

「うん。ありがとう、黒瀬さん」


 黒瀬さんはそう言ってペコりと頭を下げる。


「今日の夜に、読んだライトノベルの感想を送るかと思います」

「うん。二十二時までバイトだからそれ以降ならいつでも返事出来るよ」

「はい。ではそのように」


 背筋を伸ばし、黒瀬さんはゆっくりと教室から出て行く。


「よし。俺も帰るか」


 誰も居なくなった教室の扉を閉め、俺はバイトへと向かった。



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