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第六話 ⑨ ~先生から呼び出されたら、いろいろな人から声を掛けられました~

 第六話 ⑨



 拍手が止まったとほぼ同時にホームルームの終了を告げるチャイムが鳴る。


「では、これでホームルームを終わりにする。本日のショートホームルームでの連絡事項は特にない。桐崎以外の生徒はこのまま帰宅していいぞ」

「……わかりました」

「ふふ、なんだ桐崎。わかっていたような顔だな」

「えぇ、何となくですが。いつもの場所でいいですか?」

「あぁ、それで大丈夫だ。先に行って待ってろ」


 先生はそう言うと『進路指導室』とタグがついた鍵を渡してくる。


 俺はその鍵を受け取ると、帰宅するクラスメイトとは別の方向へ歩き出す。


「悠斗くん!!」


 そんな俺に朱里さんが声をかけてくる。


「実行委員の件。ありがとう!!」

「これで少しでも朱里さんが救われてくれるなら、嬉しいよ」


 俺はそう言うと、朱里さんに微笑む。


「学級委員にはなれなかったけど、悠斗くんが他の居場所を作ってくれた。私、頑張るね!!」


 彼女はそう言うと、荷物を持って部活へと向かって行った。


「やるじゃん、いーんちょー」

「……佐藤さん、巻き込んじゃってごめんね」

「いーっていーって。でもさ、後ろであんな表情してる朱里をあそこまで元気にさせられるなんて、やっぱりいーんちょーはすごいね」

「まぁ、朱里さんが学級委員になれなかった時点で、ああいうプランにしようとは思ってたんだ」

「愛だねー。じゃあ私も部活に行くよ」


 佐藤さんはそう言うと、朱里さんと同じように部活へと向かって行った。


「おかあさん!!」

「今日の分のノートはもう写させてやらねぇ」

「それは勘弁してくれ悠斗!!」

「だったら気色悪いことなんか言ってくるなよ」

「すまんすまん。悠斗が俺の保護者だって言うからよ」

「はぁ……まぁいいや。実行委員、押し付けてごめんな」

「なんだよそんなことか?別にいいぜあんなん。てか隣で藤崎さんやべぇ落ち込んでたからな。断る理由なんかねぇよ」

「ありがとな」

「じゃあ、俺も部活行ってくるぜ!!」


 健はそう言うと、部活へと向かって行った。


「桐崎くん」

「……黒瀬さん」

「その……もし良ければ」


 携帯を、くれませんか?


「……え?け、携帯」

「……失礼しました、携帯の連絡先をくれませんか?」


 と、黒瀬さんは少しだけ顔を赤らめながら言い直す。


 あ、あぁ、なるほど。連絡先。


「同じ学級委員ですし、今後もやり取りをすることになると思いますので」

「了解だよ」


 俺はそう言うとスマホを取り出す。

 既にスマホを手にしていた黒瀬と連絡先を交換する。


 黒瀬詩織。と書かれた簡素なRAINが登録された。


「それでは、今後ともよろしくお願いします」


 黒瀬さんはそう言うと、一礼して帰宅して行った。


「……よし、そろそろ進路指導室に向かうか」


 もう誰にも呼び止められないよな?


 俺はそんなことを考えながら、待ち合わせの教室へと向かって行った。

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