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第六話 ③ ~今年も学級委員と健の保護者になりました~

 第六話 ③



 そろそろ始業のチャイムがなるかな、という頃。

 教室の扉を開けて山野先生が入ってくる。


「うーし、全員揃ってるな。そろそろ席につけ」


 はーい。


 そう言って皆が席に戻っていく。


 皆が席に座ったと同時くらいに、チャイムが鳴る。


「今日から授業が始まるからな。春休みの宿題の提出は各授業の最初に行われるから、本日の教科の分は本日提出するように。持ってくるの忘れたーはやってないと見なすからな?」


 ……。


「それと、今日は授業開始時に春休みの宿題を問題を使った小テストも行う。解けて当たり前だと思ってるからな?」


 ……。


「最後に、今日の最後はロングホームだ。その時に委員の選出をする。男の学級委員は桐崎に決まっているが、それ以外はまだ未定だ。この時間に決めるように」


「先生!!」


「桐崎。異論は認めない。お前は今年も私の使いっ走りだ」


「……」


 ま、まぁやるつもりだったけどね!!


「それでは以上で連絡事項を終了する。一時間目の授業の準備をして待つように」


 山野先生はそう言うと教室を出ていった。


 その際、ニヤリとした笑みを俺にぶつけていた。


「悠斗くん、今年も学級委員だね」


「うん。まぁやるつもりだったけどね」


「そっかー……じゃあ、私もやろうかな!!」


「ほんと!?」


「うん!!今年も崎崎コンビで頑張ろう!!」


 桐崎と藤崎で崎崎コンビ


 一年前にそう言って一緒に学級委員をやり始めたのが、俺たちの始まりだった。


 そうこうしてると、一時間目の時間がやってくる。


 初老の男性の数学の先生が教室に入ってくる。


 授業開始を告げるチャイムが鳴った。


「山野先生から聞いてると思うが、『ある程度』春休みの宿題から問題を選別した小テストを行う。その後は普通に授業を行う。春休みの宿題の提出は授業の最後だ。持ってくるのを忘れた生徒は居るか?」

「はい!!」


 そう言って健が元気よく手を上げる。


「……桐崎、お前何やってるんだ」

「先生!!なんで俺が怒られるんですか!!??」

「武藤の保護者だろ。しっかりしろ」


 クラスに笑いが起きる。


「先生!!横暴です!!まぁ、健は春休みの最後に俺の数学の宿題を全部移してたので単純に忘れただけです!!」

「悠斗!!丸写しは内緒だろ!!??」


 クラスに再び笑いが起きる。


「武藤は宿題の点数を減点。桐崎は丸写しをさせた罰として、今日の授業での回答時、一度指名する」


 先生はそこまで言うと、小テストを配る。


「『ある程度』は春休みの宿題から選別したテストだ。答えだけ書いても武藤以外はバツにしない。武藤、お前はキチンと途中式も書くんだ」

「ま、マジで?」

「おぉマジだ。どうせ宿題も答えだけ写したんだろ?」

「ぐ、ぐふぅ……」


 項垂れる健。まぁ自業自得だな。


「では、問題は十問。時間は二十分。テスト開始だ」


 ペラリと紙を表に向け、内容を確認する。


 まずは全ての問題に目を通す。


 解ける問題、解けない問題、解けるけど時間のかかる問題。


 それらを判断していく。


 よし。解けない問題は無い。


 解けるけど時間のかかる問題は……意地汚い。一番最初の問題だ。


 俺は二問目から解き始める。


 そして順調に解き進め、残り十分の所で一番最初の問題に取り掛かる。


 なーにが春休みの宿題から問題を出すだ。


 どうりで『ある程度』なんて言う訳だ。


 この問題、二年生になってから習う問題で、


『今日習うところを予習してたら解ける』


 って問題だぞ。


 予習と復習は欠かしてない俺はその問題を何とか時間内に解き終え、ペンを置く。


 隣の黒瀬さんもほぼ同時にペンを置いた。


「……」


 軽く隣を見ると視線が合った。


 黒瀬さんは小さく、


 お疲れ様です。


 と唇を動かした。


 その仕草に少し顔を赤くする俺、


「時間だ。ペンを置け」


 先生のその一言で正気に戻る俺。


 周りを見渡すと、クラスメイトの殆どは項垂れていた。


 一問目にやられた奴が多いな。


 そう確信出来ていた。


「悠斗くん……どうだった?私、一問目につまずいちゃってそしたら時間なくなっちゃったよ……」


 と、朱里さんが話しかけてきた。


「俺は一問目は時間かかりそうだって見てわかったから、二問目から解き始めたよ。てかあの一問目は酷いよ。だってあの問題……」


「今日の授業で習う公式を使う問題ですから」


 俺の言葉を補足するように、黒瀬さんがそう話す。


 すると、朱里さんが


「でも、黒瀬さんも悠斗くんも解けたっぽいよね!!二人ともすごいよねー!!」


 と、明るく返す。


 良かった。どうやら朝に言っていたことを実行出来てる見たいだ。


 俺は朱里さんのその姿にほっと一息を着いた。


 そして、テストの採点を行い、俺と黒瀬さんは満点を取れた。


 他のクラスメイトは五点や六点だったらしい。

 やはり一問目で時間を取られたようだ。

 そこさえ無視すれば九点は取れたと思う。


 そんなことを考えていると、事件が起きた。

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