朱里side ② ~少しの嫉妬心と私の決意~
朱里side ②
「はぁ……なんで私、あんなこと言っちゃったんだろう……」
悠斗くんと別れた後、私は自室のベッドに顔を埋める。
あまり、聖女様と仲良くなり過ぎたらやだよ?
「……うぅ」
今日は嬉しい事がたくさんあった。
悠斗くんやゆーこちゃんだけじゃなくて、武藤くんとか彩ちゃんとか去年から仲良くしてる人達と一緒のクラスになれた。
憧れだった聖女様と一緒だったのもびっくりした。
私が聖女様みたいになりたいって言うのも話した。
その後に悠斗くんが言ってくれた言葉がすごく嬉しかった。
「俺は今のままの朱里さんが大好きだよ」
「そりゃあ聖女様も美少女だとは思うけど、俺にとってはいつも明るくて元気で笑顔が可愛い朱里さんの方が魅力的だと思ってる」
悠斗くんはいつだって私が欲しいと思う言葉をくれる。
教室では悠斗くんと通路を挟んで隣の席になれた。
すぐ近くにはゆーこちゃんと武藤くんもいた。
すごい配置だなって思った。
でも、悠斗くんの一番近い席には聖女様が座ってた。
悠斗くんは優しい。
聖女様がわかってなかったくじ引きも教えてた。
聖女様の自己紹介で少しクラスの雰囲気が暗くなった時もフォローしてた。
あとは、学校に来るまでの間。私が知らないところで何かあったような雰囲気もあった。
なんだろう。
ちょっともやもやした。
悠斗くんは、聖女様が学校で過ごしやすくなるように友達になりたい。って言ってた。
それに、私と聖女様が仲良くなってくれたらとも言ってた。
優しくて、思いやりがあって、誠実な男の子
わかってる。悠斗くんはそういう人だって。
だけど、私はわがままだから、そう言う悠斗くんの良いところを独り占めしたいって思っちゃう。
そんなことを考えてたら、あんなことを言ってしまった。
「はぁ……私って、重いのかなぁ……」
悠斗くんを好きになって、恋人同士になって、初めて分かった自分の暗い部分。
でも、きっとそう言う部分も好きだって悠斗くんは優しいから言ってくれると思う。
その優しさに、甘えたくない。
だから、決めた。
「……よし。聖女様と仲良くなろう」
悠斗くんの隣に自信を持って立てるように、私も強くなろう。
悠斗くんは私に振り向いてもらう為に頑張ったって言ってた。
だったら私も、今以上に悠斗くんに好きになって貰えるように頑張ろう。
「朱里ーご飯よー」
「はーい、今行くー」
私は頬をペシンと叩き、気合を入れると、夕飯を食べに自室を後にした。